日本人留学生が通学バスで出会った大麻の売人に考えさせられた話。~人種とアメリカの貧困~ 【3】
余談ではあるが、大麻の実情を紹介したい。
前述したように、大麻の公衆吸引は法律で禁止されている。しかしながら、実際は日常生活の中でいとも簡単に目にすることが出来る。バス停で吸っている人もいれば、ダウンタウンを歩きながら吸っている人だっている。ほのかに甘い、独特な香りがすれば、明らかにタバコではなく大麻である。そして、驚いたことに一般の大学生やビジネスマンであっても大麻を使用していることにある。以前には、オバマ大統領が過去に大麻を使用していたことが世間を騒がせていた。大麻はいくら合法とはいえども、ごく一部の人達が使用するものだと思っていた。(友人から聞いた話であるが、招待されたパーティに行ったところ着いた先では全員が大麻を吸ってハイになっていたそうだ。)
なぜ、大麻が合法なのか?この疑問は多くの人が抱くであろう。
誤解の無いように言っておきます。決して僕は大麻、またどんな類のドラッグだって擁護するわけではない。
大麻合法化に踏み切ったワシントン州、コロラド州には大きな理由としては2つある。
①大麻が及ぼす健康被害への懐疑。
②規制に費やす税金が膨大であること。
まずは一つ目の理由。調べてみると、大麻に関しては害の有無が未だに議論、調査されているようだ。多くの研究者は酒やたばこのほうが格段に依存性や悪影響があり、なぜ大麻が禁止なのか?という見解を示している一方で、有害なので違法にすべきだという主張を続ける研究者も存在する。
二つ目の理由。大麻の規制に費やす税金が膨大だという理由。大麻を合法化することによって生まれる大きなビジネスチャンスの存在は世界的に認知されている。コロラド州は市場規模も大麻関連税収の見込みを当初の67億円から134億円へと大幅修正をしている。
(http://money-idea.com/column/tag/%E5%A4%A7%E9%BA%BB%E5%90%88%E6%B3%95%E5%8C%96)
つまり、ワシントン州やコロラド州の考え方としては、大麻を禁止にして規制に費やすお金よりも、大麻を管理して税収に回してしまう方が州政府にとっては有益だと捉えている。
現状はヨーロッパをはじめとし、アメリカの地でも大麻が嗜好品としての地位を築き上げている真只中である。
それでは本題の
アメリカの貧困問題について。
おっさんは言った。
お前は恵まれている。
当初その意味を理解するのに苦しんだ。確かに日本人として生まれ、アメリカの地で留学するという、この上なく恵まれた環境であることは事実であるが。
おっさんは悲しそうな眼をしていた。きっと、不本意ながら大麻を売っているように見えた。もちろん背景には経済的な理由が少なくともあるのだろう。
アメリカは裕福な国なのだろうか?
確かに世界的な大企業や、圧倒的な国力、多くの場においてアメリカという豊かな国だと思う人もいるだろう。僕もそう思っていた。
TOP 1%ということばを知っているでしょうか?
これは、アメリカの所得格差を示すフレーズのようなものだ。
(We are the 99%というスローガンもある。)
上位1%のスーパーリッチがアメリカ全体の富の内約40%を保有している。
更には上位20%が全米の約80%、下位70%の人々が全米の約7%の富を分配しているのだ。(https://www.youtube.com/watch?v=QPKKQnijnsM)
ここに大きな歪みが生じているのが分かっていただけるだろうか?
当然ながら、権力者は権力者が生き抜くシステムを作り上げる。(自然なことではあるが。)
"自由の国アメリカ”この言葉には強者のみが勝ち続けてしまう背景が隠されているのかも知れない。本当の”自由”とは何なのだろう?
アメリカという国家自身は一見、裕福なのかもしれない。
しかし実情、多くの国民は貧困にあえいでいる。
キッカケは売人のおっさんに出会ったこと。
変わった出会いではあるが、些細なことである。
でも、こんな小さなことから多くのことを考えた。
おっさんの肌の色、おっさんが大麻を売る背景、おっさんが僕に言ったこと。
おっさんに出会ったあの日から”アメリカを見る目”、”人種という意識”がほんの少しばかり変わった気がする。
あとがき
僕が伝えたかったのは、こんな世界もあるのだということ、こんな考え方もあるのだということ、こんな人もいるのだということ、こんな実情があるのだということ。
意識していなかったことに目を向け考えることは、人を少しばかり変える力を持っているのかも知れません。
あなたの日常には、あなたにしか見えないモノがあると思います。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
川村 純志
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