日本人留学生が通学バスで出会った大麻の売人に考えさせられた話。~人種とアメリカの貧困~ 【2】

前話: 日本人留学生が通学バスで出会った大麻の売人に考えさせられた話。~人種とアメリカの貧困~ 【1】
次話: 日本人留学生が通学バスで出会った大麻の売人に考えさせられた話。~人種とアメリカの貧困~ 【3】




おっさん
ドラッグなんてやめておいたほうがいい。


いや、あんたが売ろうとしたんやん。

っていうツッコミはさておいて、おっさんの言葉は深く胸に突き刺さった。


おっさん
俺は黒人だ。お前は恵まれている。それが分かるか?


おっさんはバスから降り、僕は学校へ着いたものの、おっさんとの会話が脳には鮮明に残っていた。


考えた。というよりは、考えさせられた。


この違いは今まで意識してこなかったことに気付かされたことにある。

(これは物凄く大事なことだと思う。)



注目したいポイントは2つある。


1つ目は人種、おっさんが黒人であったこと。2つ目はアメリカの貧困について。

(※念のために、ここでいう【人種】とは肌の色によって区別されていることを意味しています。)



ここでは【人種】について思うことを書いてみたい。


実はアメリカにおいて、人種に関する話題は一種のタブーとして見られている。南アフリカ出身のルームメイトとドライブしていたときのことである。

I wanna have a girlfriend from "ASIA". (俺やっぱアジア人の彼女欲しいわ、そう思わん?)
ルームメイト
Noooooo!!!Stop it!!!
(何ゆうてんの!?その話やめ!!)
What's wrong!? (え、何があかんの!?)
ルームメイト
Here many people are sensitive about something "RACE". Be careful.
(アメリカではめっちゃ人種に関する発言とかめっちゃ気にする人いるから、ほんまどこでもかんでも言うたあかんで?)


なんとも、純日本で育った僕にとっては理解に苦しんだ。

(少々彼が敏感すぎるのかも知れないが、彼によると同僚が、職場でこんな軽く聞こえる話が発端で大きく揉めたことがあるらしい。)


個人的な意見としては、多くの日本人が人種に関して考えることは大変難しいことだと思う。なぜなら、アメリカや他国に比べて肌の色の違う外国人はそう多くないので、それに関する問題もあまり露呈せず、意識することも少ないからだ。僕もその一人だった。日常生活の中で、黒人や白人を見ることはそう多くないことは容易に想像できるだろう。だからこそ、おっさんの一言は、はっと思わされたというか、考えもしなかったことを不意に与えられたような感覚に陥ったのだ。


なぜ、おっさんは自らが黒人であることをあえて僕に言ったのだろうか?そこがどうも引っかかっていた。一つはっきり言えることは、黒人(おっさん)が他の人種に比べて社会的地位が低いことをおっさん自身が認識していることだ。でなければ、この文脈で「俺は黒人」だという表現はつじつまが合わない。


なぜ、おっさんはそんな風に感じるのか?

いや、感じなければならないのか?


僕は思った。タブーだとしてもあえて言おう。



黒人差別はいまだ確かに存在する。


もちろん、これは個人の見解に他ならない。しかしながら、調べてみると個々の所得、職業、資産などに人種による差がデータにはっきりと現れている。


歴史的な背景
誤った先入観
優勢意識
メディア
etc…


挙げればきりがないほどに、差別の原因は溢れているだろう。


この中でも特に先入観には納得がいく。

知らず知らずのうちに僕、そしてきっとあなたも、無意識の内に人を何の根拠もなく判断することが一度はあっただろう。それは良くないことだ。間違っている。確かにそうだ。ただ、とても簡単な方法であることに違いはない。この無意識は本当に恐ろしい。


僕はきっと人種差別者だった。


正直に言えば、アメリカに来るまでは、黒人はほとんどみんな貧しいと思っていたし、黒人は何だか暴力的で怖いとさえ思っていた。でも、実際どうだろうか?考えてみてほしい。僕らが抱く先入観なんて、必ずしも当てはまるわけではない当たり前のことであるが、その当たり前にすら僕は気付いていなかった。現に僕のルームメイトは黒人である。でも、一度たりとも怖いとなんて思ったことは無いし、むしろアメリカで出会った中でも一番優しい人であるとすら思う。全てとは言わないが、僕は彼のおかげで多くの先入観を取り払えたことは言うまでもない。(彼との話はまたいずれ書こうと思います。)



僕はここで、おっさんが黒人であったから大麻を売っていたと言いたいのではない。しかしながら、おっさんがそう捉えている、もしくはそのことが一部の原因であったと考えていることに無性に悲しく思うのだ。きっとそう思わせている周り、自分を含めた社会にも責任があるのではないだろうか。そして、もちろんおっさんはきっと自分の身を以てして今まで差別を感じたことがあったのだろう。僕は自分の肌の色について、そんな風に考えたこともない。だからこそ、恥ずかしさすら覚えるのだ。



おっさんは朝、目が覚めて鏡を見るたびに思うのかも知れない。
今日も俺は黒人なんだって。

著者の川村 純志さんに人生相談を申込む

続きのストーリーはこちら!

日本人留学生が通学バスで出会った大麻の売人に考えさせられた話。~人種とアメリカの貧困~ 【3】

著者の川村 純志さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。