冷蔵庫夫婦、娘がいない1日をどう過ごすか

著者: むくもと だもの

娘が泊まりのキャンプにつき

今週末は夫と2人の休日



ずっと前から密かにこの日を恐れていた



予想通り 家の中にいると会話がなくて気まずくなってきたので賑やかな場所へ



地域のお祭にやってきた



祭の喧騒は沈黙を紛らわすのにちょうどいい



夫が好きなこのお祭グルメは

名物かすうどん




私がこのお祭りでかかさずやるのは

サイコロゲーム



サイコロ2つをころがして

ゾロ目が出るとボックスティッシュ5箱セット

ゾロ目じゃなくてもタマゴ1パック



何も知らずにママと一緒に列に並んでいる子供たちよ

当たっても君は嬉しくないかもしれないけど

ママは喜ぶから心配は無用だ



さぁ今年はどっちだ




タマゴか…





ティッシュか…





夫婦そろってタマゴが当たった






サイコロゲームの隣で金魚すくいをやっていた



うちの水槽に入れたいと

夫が子供たちに混じってやってみたら3匹釣れて

2匹連れて帰ってきた




すぐさま水槽に入れると

たちまちのうちに その中の1匹の様子がおかしくなった




夫が今や慣れた手つき(半年前にスマホデビューして当初は慣れず隣で見ていてそれはもうイライラしたものだ)でスマホを操って調べてみると金魚用に水質を整えるクスリがいることが分かった




今にもひっくり返りそうな金魚に

いてもたってもいられなくなり



私たちは走った



近所のペットショップへ



自転車で(笑)




ただひたすら無言でペダルをこいだ



ペットショップの入るスーパーを駆け抜け

そのクスリを探した



帰り道も無言



この沈黙は朝のリビングの沈黙とは全然違う



沈黙の中で2人を駆け巡る思いはひとつ




「金魚をどげんかせんといかん」




いつもはなんとも思わない信号の待ち時間にさえも苛立ちを覚えた



2人がこんなに熱くなるのはいつ以来だろうか



おかげでクスリを入れると

金魚はいったん事なきを得た



私たちは心から安堵し

必死になったこの数十分を思い出して笑った



金魚が思い出させてくれた夫婦の愛

…てか



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