自殺企図から始まる うつ病 との出会い1

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著者: 井上 直彦

私は首吊り自殺を失敗した。



2010年10月 朝8時 私が当時住んでいたアパートのロフトのはしごに紐をかけたのだ。



インターネット上では、首吊りは苦しいなどと書かれているが

首を吊った瞬間はむしろ気持ちいいというのが印象だった。


脳への血流が止まることで少しずつ意識が薄らいでいき眠くなるような感覚があった。



息が苦しくなる前に気を失ったのでこのままであればさぞ 快適に 死ぬことができたであろう。



しかし、残念ながら死ぬことはできなかった。




ロフトにかけたジャージのズボンの細い紐では私の55kgの体重でさえ支えることができなかったのだ。

今となればよくあんなに細い紐で自殺をしようと思ったなと思う。



そして、紐が切れたため床に落ち痙攣している自分に気づいた。首吊りから3分程度経っていた。



首から耳の後ろにかけて残った濃い索状痕が

私が無意識に死にたかったんだと思っていたことを物語っていた。



この痕が消えるまでの三ヶ月、会社や外に出る際は

舞台用の特殊なファンデーションで首の傷跡を隠すことが毎日の日課になった。



朝起きてすぐの衝動的な行為だった。



うつ病との出会いである。



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自殺企図から始まる うつ病 との出会い2