26歳の僕がヴィンテージマンションを買ってフルリノベーションした話

著者: 江口 亮介

昨年の終わりごろから先月にかけて、私は築45年の中古マンションを購入し、フルリノベーションをしました。ヴィンテージマンションの明確な定義はありませんが、築50~30年くらいの、立地がよい土地柄に建てられ、今のある程度の人気・知名度があるようなマンション・棟のことを指しているのかと思います。(本当に有名なヴィンテージマンションもありますが、私のはそこまではありません。)

金額の詳細は伏せますが、だいたい同じエリアの今売りだしている新築マンションの約半額強の値段で部屋を作ることが出来ました。お風呂やキッチンなどの設備は、むしろこちらのほうがグレードいいくらいでしょう。

大変でしたが、満足できる部屋に住めることになりました。これから家が欲しい、リノベーションに興味がある。という方のために、初歩的なことも含め、私の経緯などお伝えさせて頂きお役に立てればと思い、長くて恐縮ですが文章を書きました。

もし私でよければ可能な限りお力になれればとも思っておりますので、個別の相談など何かあればfacebookからでもご気軽にご連絡ください。


ビフォーアフター

アフターから



写真よくないですが、ビフォーです。シャンデリアに赤絨毯のお部屋でした。


目次

・なぜ家を買おうと思ったか
・家さがし~最初~
・いい家探しの仕方
・家探し~軸ずらし・購入まで
・中古マンションの買いづらさ
・リノベーションでも変えられないところ
・値段交渉について
・購入~リノベーション会社決め
・リノベーション~コンセプトぎめ
・リノベーション~細部にこだわるほど大変だし楽しい
・リノベーション~コスト管理能力
・DIY~ウッドデッキ
・DIY~玄関塗装
・リノベーション~工期中
・完成!でもまだまだ終わらない!
・家具・家電
・まとめ・最後に



なぜ家を買おうと思ったか

詳細は省きますが、

1.賃貸はいやだった。なぜなら、これは感覚の問題ですが、人にお金を払い続けて、しかもその人がちょっと儲かる(もちろんリスクを背負っているのですが)というのが個人的に嫌だった。

2.不動産売買のビジネスに従事しており、知識もあり、こうやればうまく買えるんだろうなというイメージがあった。

からです。2に関しては実際うまく出来た部分と、とは言え初めてなのでこうしたほうがもっとよかったなということがありました。


家さがし~最初

最初は、金額の上限をロックし、希望エリアを決め、築25年以上(新耐震)50平米以上の条件で探し始めました。

ただ、自分の求めるエリアでその条件では予算が少し足らず、数ヶ月探しながらも条件に見合う物件は見つかりませんでした。また、築25年以内といえど、設備面が古い物件が多くそのまま住むには難しそうな物件も多かったです。


いい家探しの仕方

これは私の持論かつ、都心の中古マンションに限った話ですが、まずはSUUMOなどポータルサイトで相場観を掴みつつ、自分の条件を明記して大手仲介会社幾つかにメールを送り、いい物件があったら紹介してください。とするのが良いでしょう。そのメールに対するレスポンスや、紹介してくれる物件の質などを見て、やり取りする人を絞り込んでいく。

メールで物件紹介をしてもらううちに、気になる物件があれば見に行きましょう。ただ、1社、1人の人とだけやりとりするというのはおすすめできません。なぜなら、中古物件といえど実はそれをあつかえる会社というのは限られることがあります。特に都心中古マンションでは大手数社から常に情報をもらっている状態がいい物件に出会える条件となるでしょう。実際、物件を買うと物件価格の3%+6万をお支払いすることになりますので、存分に働いてもらうのがよいかと思います。

また、少しここでは書きにくい部分もありますが、本当にいい物件というのは、ネット上に上がってくる前に決まってしまうことがほとんどでしょう。

本当に何から始めたらいいか全くわからない。という人は、まずは1人の営業スタッフに会い、まずは1つ物件を内覧に行ってみてください。築〇〇年のマンションってこんな感じなんだ。みたいな感覚を掴んでいくことが大事です。



家探し~軸ずらし・購入まで

最初に書いたとおり、自分の条件で見つけるのは難しかったです。一瞬モノが出たものの、すぐに決まってしまったりと途方にくれる状況に陥りました。そこで改めて問い合わせ先を広げ、自分の条件を伝える中で、古いマンションをリノベーションという形ではどうなんだという話になりました。(相手はリノベーション会社だったのでそういう風にいわれるのは当たり前なのですが)

正直、ノリ気ではなかったのですが、ちょうどその日に情報公開された物件があり、築45年ながらも広さも50平米以上、価格も当然安くリノベーションコストを踏まえても自分の条件をクリア出来そうな物件でした。何より自分の希望エリアかつ駅近で抜群の立地。翌日すぐ内覧に行きましたが、まさに45年前の状態。通常古いマンションは人が暮らしていく中である程度設備の交換など手入れをしてしまうことがほとんどなので、逆に珍しいくらい。(セカンドハウスとして購入し、実際使っていなかったようです)。

そして購入の決め手になったのが、そのマンションがヴィンテージマンションとして有名なブランドだったためです。自分は聞くまでまったく知らなかったのですが、実際ネットで調べてみると、管理体制がよく、一部の人にはそこのブランドにこそ住みたいという人もいるようで。将来的にはもちろん売却も考えている身としては、資産性の高さも当然重要。ブランドがあり管理がいいマンションは値崩れしないだろうという予想。また最初は全く検討していなかったのですが、フルリノベーションもやっていたいなという思いもあり、不安はあったものの、築45年ヴィンテージマンションの購入を決めました。また後述しますが、サッシ交換の修繕も予定されていたことも購入の決め手となりました。


築古マンションの買いづらさ

ただ、購入に際して不安は大きかったです。

リノベーションの醍醐味の1つとして、天井を表しにて天井高があげられることが1つあると思いますが、実際購入して壊してみないとどれくらい上がるかわからない。(私は幸運にも15cm天井が上がりました)

また配管関係も古いマンションだと開けてみないとわからない・剥がして壊してみないとわからないことが多く、結果的に予想外のことが起こりリノベーション費用がかさんでしまうこともある。最後はえいやと買うしかないところが築古マンションの買いづらさでそしょう。

私の場合は、脱衣洗面所にトイレ、洗面台、洗濯機をまとめたかったのですが、ダクトスペースの都合上、洗濯機を別の部屋に置く必要があり、、ということがありました。ただまぁ、良かったほうだと思います。

最近は仲介会社が不具合のあった場合の保証をしてくれるサービスも広がっており、買いやすくはなってきているかと思いますが、リノベーションしてこだわりの住まいにしたいという場合の不安はまだまだあるでしょう。


リノベーションでも変えられないところ

リノベーションをしたからといって、変えられないところは以下かと思います。

・既存の天井を抜いた、さらに上の天井の高さ(だいたい10~15センチあがることもありますが、やってみないとわかりません)

(天井が上がる分、ハリがはより大きくなります)

窓・冊子

コンクリート壁(ない場合もありますが)

玄関ドア

また変えるのに難易度が高いのが、水回りの「位置」です。変えようと思えば変えられるのですが、水が流れるように勾配を付ける必要があるので、その分下のコンクリートと床の高さを取る必要があり、結果として部屋の天井高を削ってしまうことになります。そのため、キッチン・お風呂・トイレの位置は大きくは変えられないと思っておいたほうがいいでしょう。

余談ですが、私の家は幸運にも住み始めてからすぐに、マンションの大規模修繕があり、窓サッシが最新のものに取り変わりました。静かだし、温かいし、よかったです。購入の際には、予定されている大規模修繕のスケジュールも把握しておくのがよいでしょう。

交換後の窓サッシ



値段交渉について

必ずするべきです。不動産というものは流動性の低さ故に、株や為替のように価格が多数決では決まらず、個人個人の都合によってのみ価格が決定されます。

つまり、同じ物件でも、気に入れば高くても買いたいといういう人もいますし、早く売って現金が欲しいという人は、相場よりも安くても早く売れれば嬉しいのです。そんな事情を踏まえつつ、売り出すときはある程度の値引き幅を持って売りに出します。故に、買うときは3~5%くらいは引けることが多いと思っておいて良いと思います。ケースバイケースですが、必ず値段交渉をしましょう。


購入~リノベーション会社決め

リノベーション会社ぎめは難しい。なぜなら、違いがわからないから。

あの会社でしかできないこと、この会社だとこれができないことというのはほぼ無いです。ただ、大手ほど、資材などの仕入れ量が多いので、価格交渉力を持ち単価が安くなることはあると思います。

また、こういったスタイルが得意だ。という会社もありますので、自分の希望を明確にしつつ(予算だけは特に)、時間が許せば様々な会社と会い、現場を見てもらい、プラン提案をしてもらうのがよいかと思います。

間取りに正解などないですが、これがいい!と思う間取りはありますし、面白いほどに会社によって提案してくるプラン・間取りは違ってきます。そしてその中で自分の要望も磨かれてきます。そうしてこのプランでやりたいなと思う会社を選択するのがよいでしょう。金額も含めてですが。

ちなみに私は、当初お願いしていたところがあったのですが、知り合いの会社にも相談したところ、非常に気に入るプランをご提案頂き、また価格も安かったため、途中で乗り換えさせていただきました。(違約金は発生してしまいましたが、それでも安く済みました。本当に良くして頂きました。)


リノベーション~コンセプトぎめ

実際のプラン、間取り、どういった素材を使うのか、の具体なところは設計士さん・プランナーさんが考えてくれますが、何よりも自分の要望が大事です。こうしたい!という思いが強ければ強いほど、満足する家ができると思います。そのために、とにかく事例を見ることでしょう。

SUVACO

iemo

リノベりす

Houzz

あたりで事例を見まくって、これのここはいいな。という風にストックしていきましょう。そしてそれをそのまま先方へ伝えつつ、ただ実際部屋の全体感と折り合うのかわかりませんので、その辺りはプロの意見を存分に聞きましょう。

ちなみに私の場合は、最初「ロンハーマンみたいな感じがいいなぁ~」なんてふわっと思っていましたが、実際色々事例を見ていくと、ちょっと違うなと。いいなと思うのはもう少しモダンなデザインだったり、上品な感じが好きだったり。結局今流行りの塩系が好きだったり。とはいえリノベーションなので、ラフな感じを活かしたかったり。という風に変わっていくものだとも思います。

とにかく一切の遠慮をせずに、要望を伝えていきましょう。


リノベーション~細部にこだわるほど大変だし楽しい

リノベーションは大変です。なぜなら、壁の色、床の色、材、大きさ、タイルの色、キッチンのグレード、色、棚の形、、、などなどをすべて決める必要があります。当然いいものは価格が高いですし。

フローリングの床の木の幅を何センチのものにするかで1時間悩んだり。タイルの大きさに悩んだり。毎回の打ち合わせは4時間以上かかっていたりしました。それらにすべて付き合っていただいたのには感謝です。とにかく妥協せずに、やりましょう。

また出来る限りサンプル品や、実際に使われている施工例など、イメージを持てるようにしたほうがいいですね。

あと注意点としては、毎回議事録などは作ったほうがいいかもしれません。毎回長時間に渡りすぎたせいということもありましたが、何をどう決めたか、結構忘れます笑。あとは、自分としてはまだ決めてなかったのに、決まってしまっていることもあったりするので。棚の色などちょっとしたことが多いのですけどね。この辺りはすべてが決まったであろう段階で、一回すべてを再確認するという作業が必要でしょう。


リノベーション~コスト管理能力

当たりまえですが、いい設備、材は高いです。同じ木でも3倍以上値段違いますし、タイルを貼ろうとするとそれこそ数十万違ってきます。またキッチン、お風呂、トイレの設備3兄弟はグレードと値段の幅が大きいです。

で、総額が上がりそう…となった場合、じゃあまだ支払い余力があるから…となってしまいがちだと思います。ただ、そうなると際限なくなってしまう。リノベーション予算の上限は必ず抑え、それを超えないように色々やりくりしましょう。

制限があるから工夫も生まれると僕は思っています。ただ、今回1人でやったから楽しかったしやりやすかったのかなと…。夫婦で取り組む場合、それはもう大変でしょう。そこのアドバイスは全くできませんが、いつかそういう機会が来た場合、初めての人よりもうまくやれる自信はあるので、それもまた楽しみです。


DIY~ウッドデッキ

今回の家の工事はすべて工務店さんにやっていただきましたが、自分で2箇所、手を入れたところがあります。1つはベランダのウッドデッキ、1つは玄関ドアの塗装です。

ウッドデッキは大変だった。。年末年始の工事が休みの期間に、のべ5日位くらいかけ作りました。

・情報収集・設計書づくり
・ホームセンターで木材の購入・切断
・ヤスリがけ
・塗装✕2
・土台作り←これが何よりも大変だった!ベランダは水はけのために斜めになっているので、それに対してレンガ・ラバーシートなどで水平を作る必要があり、まぁ大変でした。
・ネジ止め
・ニス塗り

という工程を経て、完成!フローリングとほぼおなじ高さになるように設計したので、部屋が広く見える効果があります。部屋の中からみるとまさにつながっているように見えて気持ちいいです。

見積もりを取ったところ20~30万円程度とのことでしたが、自分でやったら3万円でつくれました。大変でしたけどね…。


DIY~玄関塗装

アイアン塗料という、鉄のザラッとした質感を出せる塗料の存在を知り、玄関ドアの内側がいわゆる古い、テカテカした感じで好きでなかったので、塗りました。簡単です。注意点としては、ラッカー塗料なので、乾くのが非常に早いので、ベタベタ塗っていってしまった結果、デコボコ汚く見えてしまう可能性があるかなと。(あえてそのような質感も出す)容器に入れているほうもどんどん乾いていって濃くなっていくので気をつけましょう。塗るのは楽しいですね。また色はブラックではなくチャコールグレーにしました。そのほうが重たくなりすぎず正解でしたね。


ビフォー


アフター

マットな感じで好きですね。



リノベーション~工期中

工期中には、出来る限り見学に行ったほうがいいと思います。というか、気になっていきたくなってしまうと思いますが。私はほぼ毎週行っていたような気がします。

また、多少出来上がってきたら、現場での設計士さんとの打ち合わせも非常に有意義なものであると思います。実際の幅や大きさを確認できるので。私の場合は、洗面台の高さや、奥行きなどを、現場で、これは前に出すぎていると気付き、ギリギリまで奥に入れてもらい、部屋が広く使えるようになりました。現場に行って、嫌われない範囲で様々確認しましょう。


完成!でもまだまだ終わらない!

私の場合は、9月末に物件購入をし、3月頭に完成と、かなり時間がかかりました。もちろん、リノベーション会社を変えていたりしたからなのですが。(普通にやれば3ヶ月くらいでしょう)

そしてめでたく完成!なのですが、これで終わりではありません。実際に住んで見て、出来上がりを見てみて、不満がある点は遠慮せずにいいましょう。よっぽどひどい会社でないかぎり対応してくれるはずです。(私のところは本当に良くしていただいたので、正直わかりませんがたぶん、、)

私の場合、

・床鳴り(踏むとキシキシなる)
・キッチンドアの立て付けが悪い
・収納ドアの開き方が逆
・天井パイプの色
・コンセントの接着ミス

これらはすべて直していただきました。


家具・家電

今回ほぼすべての家具家電を1から揃えました。リノベーションの中盤から平行して家具家電探しをしていたのですが、その際も設計士・プランナーさんと相談するのがいいと思います。

この色にしようと思うんだけど、どう思います?といった相談も乗っていただき、気に入ったものが買えました。

あとこれは完全に余談で、よりよいやり方があるかもしれませんが、家電に関しては大手量販店の展示品を買うのが一番オトクだと自分は思っています。(現金値引きではなく、ポイント値引きになりますが)。いいか悪いかは置いておいて、そしてその展示品に対しても、ゴリゴリ値段交渉してましたし、安くして頂けました。その際大事なのは、あんまり欲しそうに見せないことでしょう。


まとめ・最後に

まさか自分がここまで部屋やインテリアに凝ることになるとは思ってもいませんでした。が、当然高い買い物になるのでこだわってしまうのは当然かなと。

住む場所が変わると生活も変わります。家にいる時間は増えたような気はしますし、まぁできたてだからなのもありますが、人を家に呼びたくもなりますよね。

ただもちろんこだわればこだわるほど、予算の都合上やりたくてもやれないことも出てきます。そこはさらに稼いで次の家選び・家造りではもっと贅沢してやろうと思いますが、今の自分としてやれることは全て出来たので満足しています。

フルリノベーションは大小の意思決定の連続です。キッチンの高さに悩んだり、戸棚がうまく入らず悩んだり、照明1つ取ってもいろいろ種類がありますし。ただそれらをすべて自分で悩み、好みを選び、それらが集まって自分の家ができるというのが、まさにリノベーションの魅力です。

部屋の中で、自分が決めていないところは1つもない。お気入りに囲まれて暮らす。その究極系は注文住宅だったりするのでしょうが、中古マンションを買ってリノベーションというかたちでそれが実現できるということを、知って頂ければと思いますし、検討をしている方の1つの後押しになっていただけると幸いです。


今回、自分の家造りにあたって自分の周りには幸運にも力になってくれた知り合い・友人がいて下さったおかげで、満足できるリノベーションが出来たと思っています。次は自分が何かお手伝いできればといいなと思っておりますので、この文章が参考になれば幸いです。

以上です。


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