流れに任せて遊んでいたら、大好きなNYに住めるようになった話。#3 大混雑の空港にこだまする「ビッチ!」の怒鳴り声

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それはわたしがビッチだからよ!!









入国審査のフロアに「ビッチ」という言葉がこだまする…





な、なんだこれ、、、、、








めっちゃおもしろいやん。




わたしはそのふたりの喧嘩を、野次馬根性で見守り続けた。






女性係員は、自分はビッチな女だと公言した後どこかへ姿を消した。



そしてしばらくして戻って来た。






警備員と一緒に。






うひょーこれは面白い展開だ!どうなる!?女性係員をビッチ呼ばわりした男性はここからつまみだされるのか??入国できずにトンボカエリなのか?!



ビッチと呼ばれた係員、ビッチと叫んだ乗客、そして警備員の3人が対面し、緊張感が漂う。



女性係員
…それでこいつ、わたしのことビッチと呼んだのよ!


と、まず女性が警備員に事情を説明する。


彼女は警備員が男性をつまみだしてくれるだろうと思っているのか、かなり上から目線だ。



警備員
まあまて。この人の意見も聞くから

と、かなり冷静な対応の警備員。



発言の機会を与えられた男性は、口角泡を飛ばさんばかりに自分の意見を警備員に主張し始めた。



わたしその様子を見守りながら、まあでもきっと男性が悪いということになるのだろうなあと思っていた。




しかし思わぬ事態は思わぬ展開へ。


なんと警備員が男性の意見の方が正当だと考え、男性を擁護する発言を女性係員にしだしたのだ。



これで一気に形勢逆転。男性は「それみろ」という顔で女性を見る。



女性はさっきまでの余裕の顔はどこへやら、慌てた様子で警備員に「だって…!」と抗議する。そしてそれを制する警備員。





これはなかなか面白い展開になってきたぞ…!




……とここで時間切れ。入国審査の順番が回ってきた。どうなるのか続きが気になったが、審査の男性に呼ばれ、しぶしぶ(?)従った。あんなに早く順番が回ってきてくれよと思っていたくせに、いまは喧嘩の行く末がどうなるか気になってその場を離れたくないと思うのだから我ながら都合がいい奴だ。







入国審査は思っていたよりもあっさり終了した。カナダ行きのチケットを取ったためか、ちゃんと不審者だと思われずに入国することができた。




ああ、長かった…とても長かった…14時に空港に着陸したのに、もう17時半だよ………。



疲れた体に鞭打って荷物を受け取り、空港内を出ようとすると、 空港から出る前に軽く列ができている。



とそこに、見覚えのある派手なシャツ。



ん????







さっきのあの男性ではないか!



なんと彼はまんまと自分の主張を通し、警備員によって先にゲートを通してもらえたようなのだ。


なんとまあ……。


「このビッチが!」


と言い放ったおかげで、早く通れることになるとは……。



というか本当は、早く通れるべき人だったってことだよね。それはそれで災難でしたね…。



当の本人はさっきの騒動はどこへやら、飄々とした顔をしてさっさと空港を出て何処かに去っていった。



気を取り直して、わたしも空港を出る。やっとこれで自由に動くことができるぞ!


体は疲れ切っていたが、気分は高揚していた。



これからニューヨークでどんなことが待ち受けているのか、楽しみで仕方がない。またそれは、次の話。 

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