フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 26話

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出会って初めてかもしれない。




「それ…言うためにわざわざ来たの?」




拓也は思い詰めたような顔で、わずかに頷いた。


私は無理に微笑みを作って、彼に言った。




「じゃ、もう私がいいって言うんだから気にしないで。

   今後一切、申し訳ないとか思わなくていいから」




私がじゃあと言い、拓也の脇を歩いて

アパートの階段にさしかかったときだった。


拓也が振り向きざま言った。




「俺ら、またやり直せないかな?」




え……     ?

私は振り返らなかった。


ただ、拓也が、息を飲んで返事を待っているのを

背中で感じていた。




「冗談言わないでよ」




「じょ、冗談って何だよ。俺は本気で…」




私は、たまらず拓也を振り返った。




「売春婦って言ったんだよ…!あなたは、私のこと」




私の凄みのある眼差しに

拓也は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして、立ちすくんでいた。




「一流だってよく言ってたよね、自分のこと。

  そんな人が何言ってんの。同情か軽蔑しかないくせに」



「だから、同情とか、そんなんじゃ…」



「学校行ってなくたって、私はこれでも必死で生きてんの!

   とにかく、もうほっといて!!」




それだけ言うと私は階段を駆け上った。



あれ、前にも似たようなことあったな…



ああ…


この人とは前もこうやって別れたっけ…



駆け上りながらボンヤリ思い出していた。





私は、部屋に飛び込むと鍵も閉めず



ベッドに倒れこんだ。




すでにリアルにアパートの外に残されているはずの

拓也のことは頭から消えていた。




私は、ハッとして起き上がった。


そして乱暴にネックレスを外した。


手のひらの上の青い石のついたネックレスを


しばらく眺めてから、それを床に投げつけて


私は膝を抱え泣いた。






1週間前、私は21歳になった。



カジノバーの帰り、店の脇にある小さな露店で

足を止めた私に佐々木が言った。


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