フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第29話

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ショーの練習中、真昼間のように照らされる下で

すっぴんの2人と向き合う時

同じ女としても目を背けたいくらいだ。


それが客にも伝わってきたのか

ルイの指名は少しずつ減り

代わりに私の指名が増えていった。




ある夜、早めに店に着いた私は

店の薄暗い通路を進みながら、視界に入ってきた

テーブルを拭いているボーイの安田に目配せした。


更衣室に入って鏡を見ていると

戸口に玲子が立っていた。


私は気配を感じて振り返った。



「おはようございます。どうかしたんですか?」


全く、この人は…

いるならいるって言ってよ、もう


玲子と2人きりのなるのは

佐々木が去った日以来だ。


玲子はおはようと言って薄笑いをこちらに向けた。

私はうまく微笑むことができなかった。


佐々木から聞いた話を、あれから幾度となく反芻してきたからだ。


「早いのねえ、本当にあなた最近、見違えたわ。

  すごくよく頑張ってるものねえ」


「褒めて頂いて光栄です」



着替えたいのでサッサと話を終わらせたかった。

それに、何かの弾みで玲子に恨み言でも

言ってしまいそうだったから。



「あの、着替えたいんですけど。まだ何かあるんですか?」



玲子は、フッと笑い、ごめんなさいねと言った。


「そうそう、あなたが来たら

   一番に言いたくて来たんだったわ」


それから玲子は少し間を置いて、言った。




「おめでとう。ついにナンバーワンね」



「え?」



「昨日までの指名の数、計算したらね

  あなたの方がルイより上回ってた。

  それをね、ルイに伝えたら彼女ったら

  引退するって。実は前から相談されていて

   再来月までの予定だったんだけど、早めるんだって」


私は、大して驚きもなく

まるで人ごとのようにその言葉を聞いていた。



「やっぱりナンバーワンってプレッシャーあるのよ。

  彼女もやっと自由になれるって顔してた。

  さあ、次はあなたの番ね。いつぞやはごめんなさいね。

  あなたのこと3位止まりだなんて言って」


「別に…全然そんなの気にしてません」



そりゃ、あなたは私の価値が上がったら

そう言うに決まってる

なにしろ大事な収入源だから。



「玲子さんに見る目があるからじゃないですか?

  もともと普通だった私をここまでにしてくれたんだから」



「ええ。そりゃ、私があなたをここに連れて来たけど」



「感謝してるって言ってるんですよ」



「ありがとう、あなたのそういうとこ好きよ」


玲子の微笑につられるように

私は少し微笑み、着替え始めた。

コートをハンガーにかけ、シャツも脱いだ。



玲子の視線がまとわりついているのを感じたが

無視してジーパンまで脱いだ。



「綺麗な肌ねえ」



玲子がつぶやくように言ったので

思わず私は彼女を見た。



「ふふ、ごめんなさい、見惚れちゃったわ」

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