【第24話】離れて暮らしていた父の介護のこと、死んだときのこと、そしてお金のこと。

▲他23件のストーリー
【第24話】離れて暮らしていた父の介護のこと、死んだときのこと、そしてお金のこと。
4

最後のお散歩

夏が過ぎた頃、なぜか父の食べっぷりが復活した。

何食も食べない時もあったのに完食が増え、寝たきりが多かったのに車椅子にも乗れるようになった。何が原因かは分からなかったが、とにかく嬉しかった。


体調もだいぶ安定してきた10月、外出許可がおりた。

とはいっても、出かけられるのは1~2時間程度。それでも嬉しい。


当日はびっくりするくらいの快晴。しかも10月にしては異常なくらい暖かく、風はそよぎ、湿度も少ない「パーフェクト」なお出かけ日和だった。

私達は、父の車椅子を押しながら、神社をぐるっと周り、いつもより少し遠出し、父が好きだった和菓子屋に寄ってきんつばを買い、公園でスカイツリーを眺め、近所にあったパン屋へ行き、父が選んだピーナッツコッペパンを買った。パン屋さんの匂いって幸せだよね。


施設に戻り、デイルームで一緒にお昼ご飯を食べた。

父は完食し、さらに買ってきたパンも完食した。美味しそうに食べた。

きんつばは、さすがにお腹いっぱいで無理そうだったので、また近いうちに行ってまた買おうね、といって持って帰った。

天候、父の体調、施設の都合等がなかなか合わず、近いうちに、は叶わなかった。

そして、父はまた次第に食べられない時が増え、12月、ついに再入院することになり、施設に戻ることはなかった。


この「最後の散歩日」は、今でもまるで映画を見てるかのように脳裏に刻まれている。

雲一つない青空、強い日差し、公園の草の匂い。

こんなベタでよいのか、と思うくらい幸せな時間だった。

まあ、思い出補正はかなり強めなんだろう。

よい補正をかけてくれたな、誰だか知らんがありがとう。


つづく

読んでよかった
このストーリーをブログ等で紹介する

ヨシザワ ハル

介護、親の死。考えないようにしていたことと向き合った日々を書いていきます。

ヨシザワ ハルさんが次に書こうと思っていること

|

自分が考える事・自分についてのタグがついたストーリー

わたしがたった1年でSTORYSさんで第一位を取れるようなライティングができるようになった たった一つの理由

中卒鬱病引きこもりニートのダメ人間が子供10人の大家族の父親になってしまった話

私は日記ープロローグー

私はアーティスト日記ーle debutー

 文部科学省選定ドラマ「愛を乞うひと」を観て感じたこと

第155章*:..。♥(ˇ◡ˇღ)♪ウンザリするような状況の中に今いても流れを変える方法ってあるの?

ゆめカフェ(32歳)

障害があっても好きな事で生きていけるって証明したい!画家本人がファンを募るという前代未聞のファンクラブを開設してみた

人生を狂わせ、人生を変えた大きな気づき

3.11!!いじめられっ子原発難民のその後に関すること。

第154章*:..。♥(ˇ◡ˇღ)♪ウンザリするような状況の中に今いても流れを変える方法ってあるの?

ホームレスと交際0日婚をした私がやっと見つけた幸せの形 ⑦急ですが結婚しました

地下1階から11階へ ~フリーターから3年で会社社長になった弱虫バンドマン~【プロローグ】

現実から逃げちゃだめだ。とはいえ、年末は真田丸とバックトゥーザフューチャーで現実逃避をしていた私だ。そんなメルブ調で語る勇者ヨシヒコも好きな話。

ホームレスと交際0日婚をした私がやっと見つけた幸せの形 ⑥初めての二人きりの夜

ヨシザワ ハル

介護、親の死。考えないようにしていたことと向き合った日々を書いていきます。

ヨシザワ ハル

介護、親の死。考えないようにしていたことと向き合った日々を書いていきます。

ヨシザワ ハルさんの他のストーリー

  • 【第9話】離れて暮らしていた父の介護のこと、死んだときのこと、そしてお金のこと。

  • ヨシザワ ハルさんの読んでよかったストーリー

  • 若年性脳梗塞になってみた  その8(終) ~ 小さくなったって末広がれば大きな幸せ ~