ある小さな女の子の生きた姿

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翌日には小児専門の病院へ転院。

産まれて初めて乗る救急車。



まだ血小板の数値は低いままなので、

寝たまま絶対安静のまま、

約一時間ほどかけて転院先の病院へ向かいました。



小児専門病院で詳しく調べてもらうと、

考えられる症例としてあげられたのは

再生不良性貧血という血液の難病。



100万人に何人かという極めて稀な病気。

その病院でも扱った症例は数えるほど。

そして、原因は不明・・・



自分の娘がまさか・・・とパニックになりました。

どうしたらいいのか?

いや、何が悪かったんだ?

思い当たることを考えて、

あの時のあれが悪かったのか?

色々なことが頭をめぐりました。



でも医師は原因について考えるのではなく、

これからどうやって病気を治していくかということについて、

話してくれました。



原因についてはいくら考えても分からない部分が多い。

そして血液の病気は進行も早いので、

すぐ治療にとりかかる必要があると。



まず輸血の同意を求められました。

先ほどお伝えしたように、

娘は現在血小板数一万を切っている、

非常に危険な状態にあります。



体のことを考えて輸血をした方が良い。

もちろん輸血のリスクはあり、

その説明を受けて同意した上で輸血をお願いしました。



自分の娘がまさか輸血をしてもらう日がくるとは。

次から次へと起こっていく現象に

ただただ身を任せているような状態で、

しっかりしなければと思いなおしました。



幸い小児専門病院ということもあり、

娘と同じぐらいの年の子が入院していたり、

看護師さんや保育士さんたちといった職員さんも

こどもの対応に慣れていたのは助かりました。



そして混乱している私たちにも、

大変だったでしょうと声をかけてくれました。



自分のこどもがそんな状態になり、

ショックが大きく呆然となることもあったと思います。

そうした言葉かけで救われた部分がありました。



今までママやパパといるのが当たり前だった環境。

それがガラッと変わるので、

少しでも娘の不安を軽減できればと思っていました。



でもその病院は24時間付き添えるわけではなく、

夜間は完全看護となります。

面会時間が終わる20時になると、

私たちは娘を病院に残して帰らなければなりません。



初めての夜は泣いた泣いた。



「帰らないでぇぇー」

と泣き叫ぶ娘。



それまでに20時になったらママもパパも帰らなければいけないこと、

明日またちゃんと来ることを伝えてはいましたが、

娘は嫌がりました。



それはそうです、

今まで3人毎日一緒にいるのが当たり前だったのですから。

今まで3人川の字になって寝ていたのですから。

今夜から一人で寝るなんて、

まだ2歳の娘にとっては理解できなかったことでしょう。



なくなく夜勤の看護師さんに抱っこしてもらい、

私たちは何度もごめんねを言い、

病棟を後にしました。



病棟の前のエレベーターに乗る時も

娘の泣き声は聞こえてきます。

妻も私も切なくて切なくて

ボロボロ涙を流しながら帰途につきました。



その夜は娘のことが気になってあまり眠れませんでした。

泣き止んだかな、

おしっこ行きたいって看護師さんにちゃんと言えてるかな。



妻も私もあまりしゃべらなかったと思います。

ただ娘への思い、

それだけで時間が過ぎていたと思います。



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