俺だけ帰りのチケットがない!ヒッチハイクで出会った七人のドライバー【ヒッチハイクはじめました編】

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著者: 鈴木 嘉洋

俺だけ帰りのチケットがない! 京都~東京ヒッチハイクで僕を助けてくれた七人のドライバー


あれは僕が大学四年生の秋だった。
僕はサークル旅行で東京から京都に来ていた。
とても楽しい旅行だったとその時までは思っていたはずだ。
誰かが言った。「終わりよければ全て良し」その通りだと思う。
端から見ると破綻しまくりなカップルも綺麗な別れ方をすれば、
それは二人に取ってはセンチメンタルな青春デイズとなるだろう。
でも、もし終わりが良くなかったら。
どんなに楽しかった思い出も一瞬で吹っ飛ぶ。
そう、僕はそれを身を持って実感した。

東京までの帰りのバスのチケットがなかった。最悪な状況だ。
そしてこれは終わりではなく始まりだった。

帰りのチケットがない!!

「HAHAHA、君のバスチケットないから」


秋の京都を十二分に満喫し、西の都京都へのお別れの詩を詠もうかと麻呂モードに入ってる僕の麻呂顔を一瞬で、進む電波少年のドロンズや猿岩石に変えたのがバスのチケットがないという事実だった。

「HAHAHA、帰りのチケットどうするって聞いたら、いらないって言ったからさ」
たぶんお酒の席でそんなふざけたことを言ったのだろう。
たしかに思い出してみると帰りのバスのチケット代を払ってなかった。
っていうかバイトの給料日前で金がなかったから、はぐらかしていた。
でも、なんとかなるだろうと思っていた。
誰かが立て替えてくれていると思っていた。
だってそれが大学生の仲間意識じゃないか。
僕は今でいう「おこ」だった。
「いらないわけないじゃん!!いるにきまってんじゃん!!俺帰れないじゃん!」

当たり前のことを言って僕は噛み付いた。自分に非がある。
でも俺帰れないじゃん、いらないわけがねえ。
でも、そんな僕に対して彼は笑いながら対応する。

「HAHAHAHA、いやなんかノリでなんとかすんのかなーって」
「ノリ?」
「HAHAHA、そうノリで」
なんだこいつは一体。笑いながらとんでもないことをいいやがる。
俺がノリで殺してくれと言ったら、たぶん本当に殺すような人間なんだ。
多分ヤバい奴なんだ。
そうゆう目つきで睨んでいると猟奇的な殺人者は爽やかにこういった。
「HAHAHAヒッチハイクでもすればいいじゃん」
「たしかに」

僕は思わず頷いた。まるで目から鱗みたいな顔をしたのを覚えている。
大学生らしくノリでヒッチハイクいいじゃんって思ってしまったのである。
かくして、どうポジティブに捉えようと僕の帰りのバスのチケットはなく京都に取り残されることなり、ヒッチハイクで東京まで帰るという新しいイベントが追加されたのだ。

そしてこのときの僕はヒッチハイクの大変さを知る由もなかった
みんなの乗っているバスが横転して全員死んだら、奇跡体験アンビリーバボーや世界仰天ニュースに僕が取り上げられてしまうなと思うぐらい余裕だった。

ヒッチハイクはじめました


とりあえず僕はみんなを見送った後にぶらぶらと歩いて、
車を捕まえることにした。

信号待ちしている車なんかに話しかける。
今思えば全くの素人っぷりである。合コンでいうなら自己紹介で、
「今日は誰か持ち帰りたいです。最悪オッパイは揉みたいです」と言ってしまうぐらいの素人だ。


ヒッチハイクしているんですけど
30代女性
あ、はい
これからどちらに行かれますか?
30代女性
スーパーです
「東京とかいったりしないですか?」
30代女性
「いや、しません」
編集

京都人はそんな気軽にコンビニ感覚で東京にはいかないらしい。


これからどこに向かわれますか
若い男性ドライバー
家に帰るんだよ
ここよりも東京に近いですかね?
若い男性ドライバー
はあ?先を急ぐんで
編集


せめて1mmでも東京に近づきたい。そんな気持ちで挑んだが、肝心のドライバーが、自分の家が東京寄りなのか、大阪寄りなのか知らないだなんて。。
全くどれだけ無知なんだ、そんなお前は飲酒中のアイコンで、飲酒運転をしているうにしてやる。

などなど理不尽な難癖をつけてみたが、とにかく全然乗っけてもらえなかった。

Step1 どこでヒッチハイクするかが重要

とにかくいたずらに時間だけが過ぎていき、いよいよヤバいとおもった。
僕は叡智を持った人類らしくちょっと考えてみることにした。
考えるんだ、考えるんだ古畑・コナン・新一・金田一・ホームズ。
頭良い奴のオールスターで考えた結果、僕は気付いてしまった。

工藤!これから京都を出る車が集まるところや!

ピキーン!高速道路!博士後は頼んだ!欄ーー!!

※京都なんで服部平次とコナンのよくある会話風にしてみました。

確実に京都を出る方法。それは京都から高速道路に乗る車を捕まえれば良い。

なんでこんな簡単なことに気付かなかったんだ。

後悔するより先に僕はこんな名言を書いていた。

ヒッチハイクとは確率のゲームである。どれだけ目的地へと向かう車に出会う確率を上げるかが重要だ。

なかなか自分は能天気な人間だなあと思う。

とにもかくにも、僕はgoogoleマップで高速の入り口を探し、
そこまで移動することにした。

僕の中ではもう、we will rock youが流れていて、
もう勝利した気分であった。
高速の入り口が最もハードルの高い難所だとも知らずに。。。

次回!!!

【車が止まらない!ヒッチハイクで車をつかまえる方法編】へ続く


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俺だけチケットがない!ヒッチハイクで出会った七人のドライバー【高速にのろう編】