山下智博が出演・アドバイザーを務める日本語だらけのテレ朝深夜バラエティはなぜコロナ禍の中国でバズったか? 『ブイ子のバズっちゃいな!』ヒットの要因とは?
2020年10月、中国ビリビリ動画にて、山下智博が出演・アドバイザーを務める「V子official」が、開設から2週間足らずで登録者数10万人を達成しました。これはテレビ朝日で現在放送中の「ブイ子のバズっちゃいな!」の公式アカウントとして開設したもので、同アカウントで配信されている番組第一話は60万回再生(11月13日時点)を記録。MCであるVTuberブイ子と小峠英二(バイきんぐ)の「中国語を話せない二人」が、中国のビリビリ動画でバズる動画を作るのは果たして可能なのか、株式会社ぬるぬるはテレビ朝日と中国ビリビリ動画と手を組み、コロナ禍の逆風の中でのこの野心的な取り組みをサポートしています。
「ブイ子のバズっちゃいな!」(テレビ朝日, 2020)
弊社とクリエイターズネットワークB.U.G、そして同番組アドバイザーとして出演中である弊社CCO(チーフクリエイティブオフィサー)山下智博の持つ中国動画配信ノウハウは、過去8年に渡る様々な取り組みから得ています。
ネット規制強化でタイトル変更を余儀なくされたミニドラマ「飛翔少女アンジェリカ 」
「飛翔少女アンジェリカ」(2019)
(※クリックすると動画サイトに飛びます)
山下が世に出るきっかけの一つとなったのが、2013年にビリビリ動画で公開されたネットドラマ「リーベンディアオスー」でした。山下演じる日本のオタクが、中国製の人形と恋に落ちる数奇な様をコミカルに描き、当時ユーザー全体の総数が200万人程度であったビリビリ動画において100万再生を記録する大ヒットとなりました。すると2014年、すぐさま別の動画配信プラットフォームから続編制作と出資の声がかかることに。
しかし山下と制作チームを待ち受けていたのは、中国国内の大手配信プラットフォームや制作会社との間で起こる様々な課題、ひいてはインターネット規制の強化でした。当時大きな後ろ盾や中国大手企業とのつながりもなく、いち外国人の山下は、企画コンセプトやタイトルの変更を迫られ、プロジェクトも度重なる中断に追い込まれることに。「リーベンディアオスー」の第二作目は名前を変え、配信先を変え、配信時期も大幅に延期。2019年にビリビリで公開される頃には、すでに中国の社会状況は劇的に変化し、時代に取り残されてしまった不遇の作品となりました。
激動の中国で映像制作をする際のいろはを学んだ経験が、現在山下が手がける大型旅行番組「窮豪旅游記」シリーズのトータル2,000万回再生のスマッシュヒットや現在の「バズっちゃいな!」のヒットを支えていることは言うまでもありません。ビリビリ動画の10周年記念イベントで「10年間でビリビリの発展に貢献した8人」として外国人で唯一受賞された山下がいるからこその、弊社とビリビリとの信頼関係がなせる技でもあるのです。
数字的には大成功も、日本人だけで番組作りをする危うさを学んだ「窮豪旅遊記2」
「窮豪旅遊記 第二季」(2019)
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先述の山下がプロデュースする代表的な作品の一つ、「窮豪旅遊記」シリーズは、日本のテレビ番組「ザ!鉄腕!DASH!」の初期制作チームと山下が共同で開発した、シリーズトータル2,000万回を超える中国向けの日本紀行バラエティ番組です。訪日中国人観光客の興味が、いわゆる爆買いといった「モノ消費」から、旅行などの特別な体験を重視した「コト消費」に移ろうとしていた折、2016年に制作された第一期は好評を博し、2018年制作の第二期では、ビリビリ動画の大人気中国人タレントたちと共に、東海地方の豊かな海の幸や人間模様を盛り込んでの番組ロケ、制作が行われました。
企画制作の中核を担ったのがほぼ日本人スタッフということで、スムーズな意思疎通のもと制作は進み、第一話は公開後まもなく100万回再生を達成した反面、配信後に寄せられた好意的な意見の中には「ただし中国的にはちょっと地味」「もっと日本ならではの風景や人との交流が見たい」など、多くのヒントとなる意見も寄せられました。第三期では中核メンバーに中国のバラエティ番組のディレクターを招き入れ、本格的な日中合作チームを形成、英語を含めた三か国語が飛び交う日本ロケを敢行。結果は第二期を上回る非常な好評と数字を叩き出し、個人メディアとは制作過程が異なる「日中合同チームでの制作」にも手応えを感じることとなりました。
「ブイ子のバズっちゃいな!」では、企画会議に山下と共に日本在住の中国人も交え、中国人目線を意識することに加え、放送中からビリビリ動画視聴者の弾幕や中国語のコメントをチェックし、それらを番組で紹介。中国のユーザーと日本のチームが、日本の地上波テレビ番組を一緒に作るという、極めて斬新でインタラクティブな試みを実現していることが、ヒットの一因です。
日中合作・スタジオバラエティのプロトタイプ、中国における日本式バラエティの光が見えた「なるほど日本」
スタッフいじりにも挑んだ「なるほど日本」(2019)
(※クリックすると動画サイトに飛びます)
「制服」「VTuber学校」「高級果物」など、中国人が興味を持つ日本と中国の文化ギャップをテーマに、テレビ並みのクオリティと費用をかけて制作されたのが「なるほど日本」シリーズです。今日中国ネット動画はしばしばTVや映画並みの高品質化を進めていますが、その兆しを掴んだ山下が日本のバラエティ番組制作チームと協働し、2019年に配信されました。
演出面の取り組みとして、当時中国の主流であった「大規模予算の大型番組」方式はとらず、シンプルに内容で勝負できるよう、スタジオでは日本バラエティ番組が得意とするいわゆる「グリーンバック方式」を採用、予算配分を意識しながら中国目線でのクオリティも高めました。日本と中国のバラエティの作り方を分析し、日本的な印象を与える「テロップ演出」や「ナレーション」をそのまま中国に置き換える試みや、「何を翻訳して何を翻訳しないか」など様々な実験を行いました。
本件では「日本式の制作方法を現場で学びたい」と、山下は日本の制作チームの中に加入する形で番組作りを進め、出演だけではなく裏方としても作業に従事しています。日本式の制作フローも踏まえた上で、一本配信するごとに中国の視聴者の声を丁寧に拾い、適切なタイミングで意見を番組作りに生かすスタイルはこの頃に確立されました。「このスタイルなら中国で勝負ができる!」と山下が確信を得るに至った、一つのきっかけとなる作品でした。
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以上お伝えした、「プラットフォームとの結びつき」「日中合同チームの重要性」「日本の制作の強みを生かす番組づくり」、他にも大小様々な仕掛けや工夫で、今回のV子Officialと「ブイ子のバズっちゃいな!」の番組制作をサポートしています。コロナウィルスの世界的な流行によって、日中往来が難しくなり、合作方式も新局面に入る今日、日本の制作方式、中国の制作方式、そして中国の視聴者の三つを抑えられるのは、2013年から中国で制作経験を積み重ねてきた山下とその制作チームならではであると自負しています。
日本と中国の文化交流をローションのように「ぬるぬる」と浸透させる、山下と弊社の掲げる理念のもと、クリエイティブを世界に発信していく夢はまだ始まったばかりです。
日中合作の様々なノウハウを、V子Officialをきっかけに、より多くの日本企業の方やコンテンツ制作を生業とする皆様に生かし、活用していただくことで、日本と中国で暮らす人々にとり、より良い世界を実現いたします。
山下智博 株式会社ぬるぬる CCO
♢株式会社ぬるぬる
♢プレスリリースはこちらから:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000035366.html#
♢山下智博 ビリビリ動画メインチャネル
https://space.bilibili.com/1643718/#/
♢記事内でご紹介した関連動画
・飛翔少女アンジェリカ 第一話
https://www.bilibili.com/video/BV18t411T7Dc
・窮豪旅遊記 第三季(最新シリーズ) 第一話
https://www.bilibili.com/bangumi/play/ep314747
・「日本の女性はなぜ冬でも生足?なるほど日本!」
https://www.bilibili.com/video/BV1Wb411W7Na
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