「舞台芸術に新たなキャッシュフローを」20年間考え続けて生まれたオンライン学習プラットフォーム
DIVA株式会社は芸術を専門とするオンライン学習プラットフォームを2021年1月にリリースいたします。
「アーティストが本業で生活できる社会をつくること」を理念に、アーティストと社会の需要をつなげることを目指します。
同サイトで取り扱うのは、ピアノ、ヴァイオリン、バレエ、演劇、声楽などの舞台芸術です。現役のプロとして舞台に立つ方や老舗教室の教師、留学中の若手アーティストなどが登録しています。
なぜ芸術専門のプラットフォームをつくるのか、そこにはコロナの影響を受けるアーティストを支援したいという思いと共に、「アーティストが本業で生活できる仕組み」を考え続ける20年のストーリーがあります。
<DIVAのビジョン>
アーティストへの道は険しい
舞台芸術はコロナ禍において休業などの影響を大きく受けている業種です。既にDIVAに登録してくださった教師のなかにも、留学中に一時帰国せざるを得なかった方や舞台の休演を余儀なくされた方が何名もいらっしゃいます。しかし、アーティストの生活はもとより楽ではなく、プレスリリース(2020年12月22日)でも背景としてご説明させていただいた通り、本業とは関係のないアルバイトなどで生計をたてるプロのアーティストが多く存在します。
キエフバレエ学校にて
DIVA代表の大和もかつてはプロのバレエダンサーを志し、アメリカやウクライナへの留学を経験しました。バレエでプロになる場合、中学や高校など早い段階での進路選択が求められます。17歳の時にプロとして生活していくことの厳しさを知ることになりました。母子家庭であったなかで高校卒業後にアルバイトをしながら家族を支えていくことには不安があり、バレエダンサーになることを断念しました。
舞台芸術の世界では、同じような理由でアーティストの道を断念する方が多くいらっしゃいます。過去の経験を振り返ると、留学や大学への進学、キャリアについて事前に相談できる人や機会がなかったことが、DIVAの発想につながっています。
公的な助成や献金活動には限界がある
17歳で挫折を経験して以来、「どうしたらアーティストは本業で生活できるのか」を考え続けてきました。
突飛な発想ですが、まず目指したのは官僚です。それまでバレエに費やした情熱を、社会の制度づくりに生かしたいと思いました。3年間の猛勉強の末に試験に合格。大学院では行政学の先生や実務教官から様々な政策分野における政策策定プロセスや社会環境との関わりについて学びました。そうしたことを学ぶうち、「アーティストが本業で生活できる社会」という問いに対する考え方が変わりました。文化予算だけを考えるのではなく、より広い視野で持続可能な仕組みをつくることが必要だと感じ、金融機関に就職しました。
金融時代には、偶然にも慈善活動の一環で劇場の舞台活動の支援に関わる経験をしました。しかしそこで直面したことは、災害対策などほかの支援分野と比較して芸術への支援が後回しにされてしまう現状でした。公的であれ民間・個人であれ、芸術が支援に頼らざるを得ない状況では、アーティストの生活環境も改善しないという考えを持ちました。
金融の本業を通じては、様々な有形・無形資産がマーケットで金銭的に取引され、新たな富を生んでいくという思想を学びました。業務の傍ら、金融のこうした発想を舞台芸術に当てはめられないかということを考えていました。
「オンライン」がつなぐ未来 コロナ禍で起業
コロナ禍で世界中の劇場が閉鎖される状況をみて、何かできることはないかと思いついたのがオンラインのプラットフォームです。
通常のレッスンをオンラインにしようという発想ではなく、オンラインがもたらす可能性に注目しています。
― 長年の修練によって得た技術をマーケットプレイスのように取引できる仕組みがあれば、アーティストが本業を活かせるのではないか。
― 同時に、これからアーティストを目指す人にとってはメンターができるのではないか。
― また、芸術を愛する人々の「コミュニティ」が形成されれば、現役のアーティストの生活を支えるだけでなく、夢に向かって奮闘している人やコロナ禍で在宅勤務をしている人の生活も支えるのではないか。
20年間考えていた細かな考えがひとつに重なったように思い、システム開発に着手しました。
DIVAトップページ
DIVAのプラットフォームでは、通常のレッスンに加えて、留学相談やキャリア相談も受けられる仕組みになっています。これから海外留学を目指す方やプロとして活動しようと思う方、その親御さんが現役のアーティストや留学生、OBから実際の話を聞くことができます。現役のアーティストにとっては自分の経験を生かした仕事ができますし、これからアーティストを目指す生徒は全国どこからでも都内や海外の生の情報に触れることができます。
プラットフォーム全体では、様々な方が交流することで芸術に新たな情報の流れやキャッシュフローが生まれ、次世代のアーティストが育まれる、そんな仕組みができることを目指しています。
オンラインの限界と可能性
オンライン学習サイトではあるものの、芸術分野のレッスンがオンラインで完全に代替できるかというと、全くそのようには考えておりません。
インターネットと芸術という意味では、これまで劇場に行かなければ見られなかった舞台がライブ配信で見られるようになり、SNSを通して世界中のアーティストの情報が発信されるといった動きがコロナ禍で加速しています。しかし、舞台鑑賞や日々の稽古の「生の学び」の価値は変わらないと思っています。また、本格的な稽古にはそれなりの設備が必要ですし、他の生徒と並んで練習する緊張感や連帯感も大事な要素だと思います。
それでも、オンラインを通じて人との出会いの幅が広がり、教育機会が広がることは舞台芸術を長期的に支える礎になるのではないかと期待しています。DIVAのサービスもコロナ支援だけでなく、未来に向けて発展させていきたいと考えています。
"無報酬でもやりたい仕事"
幼い頃から子役などを経験し、舞台に立つことの厳しさや日々の稽古への情熱を色々な方に教わりました。17歳の頃から現在まで20年間絶えずこうしたスキームについて考え続けてきた理由は、芸術を通した学びや人との出会いが自分にとって生涯の財産であると感じているからです。
忘れられない存在といえば、亡くなった留学先のロシア人の恩師がいます。軍人のように厳しい方だったのですが、病に侵されていることが分かった後も最期まで厳しく温かく指導してくださいました。舞台だけでなく、日々の稽古のなかにも言葉では表現できないような思い出がたくさんあります。
DIVAを通して、多くの方に芸術の学びやつながりの素晴らしさを知っていただきたいですし、これからアーティストを目指す方が活躍できる社会になってほしいと願ってやみません。逆説的かもしれませんが、DIVAは無報酬でもやり続けたい仕事です。
利用してくださる教師の方、生徒の方のご意見を伺いながら、企業として、一個人として何ができるかを追求していきたいと考えています。
DIVA株式会社 大和芽萌里
三菱UFJ信託銀行、JPモルガン等で商品開発、内部管理責任者、システム開発、金融法人の渉外等に従事。東京大学公共政策大学院卒。
幼少より橘バレエ学校、キーロフバレエアカデミー・オブ・ワシントンDC等でバレエを学ぶ。
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ