静岡茶の良さ伝えたい。「茶の間」にかける想い
公益財団法人するが企画観光局は静岡県中部エリアの観光活性化に取り組んでいる観光局、静岡茶の振興にも取り組んでいる。魅力を知ってもらおうと山間部や駿河湾を見渡す景観と地産地消を生かし、茶畑の真ん中で静岡茶を味わう「茶の間」を運営。ひと月先まで予約が度々埋まり、県外からの利用者も多く、人気を集める。するが企画観光局の鈴木さんに、この取り組みへの想いについて聞いた。
公益財団法人するが企画観光局 企画開発部 鈴木杏佳さん:
静岡の地域資源を活用した茶氷や茶事変プロジェクトのリーダーとして活躍中。
◆静岡茶の為にできることはないか
「茶の間」は、茶畑の中に作られたプライベートティーテラスを少人数で貸し切ることが出来て、大自然に囲まれた絶景の中、茶師が厳選したお茶を楽しんだり、のんびり過ごせる、空間貸し出し型のサービスとして2019年より運営している。
鈴木さんたちは仕事で茶農家と接するうちに若手不足や売れ行きの落ち込みを知った。人が離れ、畑が手放され、業界の衰退を憂う中で静岡茶の為に何かできないかという想いで企画された。
「静岡は日本一のお茶の生産地でありますが、茶業界全体でみるとリーフ需要が減り、茶葉の単価は年々下落しています。美しい茶畑の風景が年々失われているのは観光の視点から見ても残念なことに思えます。「茶の間」は茶園で飲むお茶が一番美味しいのではないかというシンプルな仮説と、前述のようなお茶が抱える課題を踏まえ着手した取り組みです。茶農家さんたちにとっては、茶畑は生産の場で、当たり前の風景ですが、ここでしかできない体験を作り、茶畑に人を連れてくる「茶の間」の取り組みに「面白そう!」と協力してくれました。」(鈴木さん)
◆コロナで1,000件以上の予約がキャンセル
訪れた人の口コミや投稿したSNSの拡散などをきっかけに「茶の間」の利用者は、少しずつ増えていった。そんな中で迎えた、2020年。コロナウイルスの影響で、観光にまつわるサービスやイベントは止む無く、オンライン開催または中止になるものも多くあった。「茶の間」も一時は1,000件以上の予約がキャンセルになった。
「新茶シーズンに向け本格的に茶の間サービスを展開する矢先だったので、残念な気持ちでいっぱいでした。また当時は「茶の間」を予約する方の8割が県外の方で、3か月前から楽しみに予約してくださった方も多かったので、キャンセルのご連絡をする際はとても心苦しかったです。」(鈴木さん)
緊急事態宣言が明け、「茶の間」が再開されたのが6月。「このまま何もしないわけにはいかない」とコロナ禍だからこそうまれるアイデアを形にしていった。
例えば、新型コロナウイルス対策で大規模な披露宴などができない…という話が様々な所で聞かれるようになった頃には、三密を避けて結婚式が出来る「茶の間ウエディングプラン」の予約も開始。360度、茶畑に囲まれた絶景の中で、地元のプロのウエディングカメラマンが最高のウエディングフォトを撮影してくれるというプラン。
茶師による世界でひとつだけ、ふたりだけのお茶に出会う合組プランや築150年の古民家を一棟貸切できる古民家プランなども用意されており、「茶の間」に新たな層のお客さんを呼びこむことにも成功した。
◆課題から生まれたアイデア
「茶の間」は直感的に面白い、行ってみたい!と思ってもらえる体験をきっかけにお茶の消費につながることが狙いだが、若い世代のお茶離れが叫ばれる中、お茶の購入に繋げることに苦戦していた。
そこで考えたのが、「茶の間」のお茶にベストマッチするオリジナルスイーツを、地元で人気のチョコレート専門店と共同開発し、パッケージにもこだわったタブレットチョコレートとそれに合うお茶を販売することだ。
「かわいい上に個包装でお土産として買って帰るのにちょうどいい!」と若い世代を中心に徐々に浸透している。
◆SNSで広がる体験者のリアルな声
「茶の間」は発信力のある20代~30代の若い世代の利用が多く、SNSなどで絶景の写真が多く投稿されている。
こちらの写真を投稿してくださったお客様からは「他の投稿よりも保存数やシェア数が大変多く、皆さんすごく注目されている場所なんだなぁと感じました。私もまた是非訪れたいです!」と体験者のリアルな声がSNSを通じ多くの方に響いている。
◆一人でも多くの方に静岡茶の魅力を伝えたい
二度目の緊急事態宣言が明ける3月7日には「茶の間」の全国からの受け入れも再開する予定。(現在は緊急事態宣言地域に在住の方の受け入れは停止中)
「試行錯誤の連続でしたが、茶農家さんと二人三脚で進めてきた「茶の間」サービスが徐々に芽が出てきたのは嬉しいです。静岡県中部地域の旅の目的地となるよう、コロナが落ち着いたら多くの方に「茶の間」に来てほしいですし、静岡のお茶をもっと多くの人に知ってもらい、日常的にお茶を飲む人が一人でも増えてもらえたら嬉しいです。」(鈴木さん)
「茶の間」では、今後も、静岡茶の魅力を伝える企画を実施していく。
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