いくつになっても挑戦し続ける人でありたい~TED初心者が挑んだトークづくりの現場~
「Ideas worth spreading : 価値あるアイディアを広める」という理念を掲げた世界的に有名なトークカンファレンスであるTED。
2020年9月20日、そのTEDとグロービス経営大学院の在校生・卒業生の有志による自主開催のTEDイベント「TEDxGlobisU」が開催されます。
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TEDxGlobisUの中核は他でもない、スピーカーによるトークです。その登壇者とともに長期間伴走し、伝えたい想いのエッセンスを汲み取り、より良いトークへと昇華するパートナー役を担うSpeaker Divisionより、サブリーダーの佐藤知行さんに話を伺いました。佐藤さんは、都内にある高齢者の専門病院で事務のマネージャー職をされています。職責が上がる一方で能力不足を感じるようになり、グロービス経営大学院の門を叩いたそうです。今回は、佐藤さんのTEDxGlobisU参加の動機や挑戦により得られたもの、スピーカーとのトークづくりで苦労した点などを伺いました。
■TEDxGlobisUにスタッフとして参加した動機は何ですか?
参加のきっかけは、クラスメイトから「TEDxGlobisUでスピーカーのコーチングをやってみないか?」と声をかけてもらったことでした。TEDに関しては存在を知っている程度で、特に強い思い入れがあったわけではありません。当初、そんな私に務まるのか?という不安もありました。しかし、「このチャレンジを超えた先には、必ず新しい世界が開けるはず」と思い、飛び込むことを決意しました。
実は、今年で48歳になります。年を重ねるにつれ、いつしか自分の知らない領域に飛び込むことに怖さを感じるようになっていました。そのような中、グロービス経営大学院に入学し、学校の仲間に様々なイベントやプロジェクトに誘われる機会が増えました。始めのうちは面倒に感じることもありました。しかし関わってみると、自分の知らなかった世界を知るワクワク感を感じたり、新たに出来ることが増え、成長を実感できるようになっていました。何事にもチャレンジしてきた経験があったからこそ、今回のTEDxGlobisUの誘いを受けたときも、飛び込むことが出来ました。
■チャレンジした結果得られたものは何ですか?
「自信」だと思います。これまで私は、学校の仲間とグループワークやプロジェクトに関わる際は、主体的にプロジェクトをリードするのではなく、誰かの指示に沿って行動することが多かった気がします。それは、優秀な仲間に対して、遠慮や萎縮を感じていたからです。TEDxGlobisUへの参加を決意した時も「Speaker Divisionのサブリーダーとしての役割を全うしよう」という気持ちでいました。
トークづくりが進む中で、チームで磨きあげたトークに強い愛着を感じるようになりました。気づけば、自分の担当領域のトークづくりだけでなく、チケット販売やパートナー企業の募集を担当するなど、TEDxGlobisUの成功に向けて主体的に行動している自分がいました。
企業のビジョンや、個人の志を考えるときに、「Will」「Can」「Must」(「したいこと」「できること」「すべきこと」)の三つを考えること大事だと言われています。これまでの私は、できないことは、最初から諦めていました。しかし、TEDxGlobisUの活動を通して、こうしたい(will)という思いが、使命感(must)を生み出し、それが自分を突き動かし、できないと思っていたことができるようになる(can)という経験をしています。
■TEDトークをつくる上で苦労された点についてお聞かせいただけますか?
TEDについてほとんど知識がなかった私は、まずTEDについて知る必要がありました。著書「TED TALKS」によると、TEDの真髄は「聞き手にとって価値あるアイデアを発信すること」と記されていました。更に「価値あるアイデア」とは、そのトークを聞いた人の世界の見方を変え、人生を変えるような概念であるとも知りました。
私は、スピーカーは最初から「価値あるアイデア」を持っているものだと思っていましたが、そうではありませんでした。もちろん、それはそれぞれ素晴らしいものでしたが、スピーカーの価値観から生まれたアイデアを、聞き手に深く理解してもらうためには、聞き手が理解できる言葉に翻訳する作業が必要でした。この作業がTEDトークづくりの難しさであると感じています。特にトークづくりの序盤は、堂々巡りを繰り返し「結局、自分たちがこのトークで実現したいのはどのような世界か?」を自問する場面が多々ありました。
この状況を脱するために、チームミーティングでは、スピーカーがそのアイデアにたどり着いた経緯を丁寧に紐解き、テーマ自体を哲学的に深掘りすることを繰り返しました。スピーカーの価値観や思考から生み出されたアイデアを分解し、深掘りをすることで、他の人にも理解できる共通言語に翻訳することができたと感じています。
面白いのは、最初にスピーカーが持ち寄ったトークテーマと、現段階のそれは大きく異なっているのに、本質的なメッセージは変わっていないという事です。私は、紆余曲折を繰り返す内で、A地点からB地点に移動したような感覚でいたのですが、実は、立ち位置はあまり変えずに、視点や焦点を変えながら、独自性と汎用性の両立を実現させていたことに気が付きました。ここが、トークづくりの難しさであり、醍醐味でもあると感じています。
■この活動を通してこだわってきたことは何ですか?
最高のアウトプットを出すためにチーム力を最大化させることです。そのために意識したことは、チームで共通のビジョンを持つという事と、お互いに腹を割って話すことができる心理的安全性を確保することです。
今回のトークづくりで次のようなエピソードがありました。トークづくりは終盤に差し掛かっていました。トークはほぼ完成していましたが、コーチ陣は「まだ、聞き手の行動変容を引き出すような価値あるアイデアに至っていない」と感じていました。ようやくゴールが見えてきたタイミングで軌道修正をすることは、スピーカーとの関係性に悪影響を及ぼす懸念もありました。しかし、「聞き手の人生を変え、世界を変えるパワーのあるトークをつくる」というチームのビジョンに立ち返り、スピーカーに軌道修正の打診をすることにしました。この出来事は、チーム最大の難局ではありましたが、これを乗り越えたことでチームはさらに結束力を高め、加速度的にトークのブラシュアップが進みました。
この局面を乗り越えられたのは、お互いに信頼や尊敬し合う関係が構築されていたからだと思います。準備期間中、ほぼ毎週行われるチームミーティングでは、2~3時間でA4用紙4~5枚がメモで埋まるほど真剣な議論を行いました。「価値あるアイデア」というゴールに向かい、質の高い時間を共有したからこそ、大きな決断にも揺るがない心理的安全性を構築することができたのだと思います。
■今回の経験をどの様に活かしていきたいですか?
今回のトークづくりでは、一つのテーマに向き合い、それを深掘りをすることで、価値あるアイデアにたどり着く経験をしました。
今後の人生においても、自分の興味関心が指し示す方向が定まれば、それを極めていく「探究心」を大切にしたいです。そして、自身のありたい姿に近づくために学び続けていこうと思います。
■TEDについて
TEDは、「Ideas Worth Spreading( 広げる価値のあるアイデア)」を共有するという精神に基づき活動している非営利団体です。 30年前にカリフォルニアで4日間の講演会として始まったTEDは、多様な試みを通してその使命を果たすために発展してきました。 年に2回開催されるTEDカンファレンスでは、世界をリードする思想家や活動家が18分以内でプレゼンテーションを行います。
これらの講演の多くは、TED.comにおいて無料で視聴できます。TEDのスピーカーには、ビル・ゲイツ、ジェーン・グドール、エリザベス・ギルバート、サー・リチャード・ブランソン、ナンダン・ニレカニ、フィリップ・スタルク、ンゴジ・オコンジョ=イウェアラ、サル・カーン、ダニエル・カーネマンなどがいます。
アイデアを広めるための TED のオープンで自由な取り組みは、新しい TEDトーク動画が毎日投稿されるTED.com、世界中の何千ものボランティアから翻訳だけでなく、字幕、対話型の書き起こし文を提供するTED Translators 、教育的取り組みをするTED-Ed 、TEDはスリリングな規模で変化を生み出す可能性のあるアイデアに資金提供を行うThe Audacious Projectを設立し 、世界中の特定地域内で自己組織化されたTEDスタイルのイベントを主催する何千もの個人とグループにライセンスを提供するTEDx、そして、注目に値するプロジェクトと活動の影響を拡大するために世界中から革新者を選ぶTED Fellowsプログラムを含んでいます。
Twitter (https://twitter.com/TEDTalks) または
Facebook (https://www.facebook.com/TED) で TED をフォローしてください。
■TEDxについて
TEDxは、「Ideas Worth Spreading(広げる価値のあるアイデア)」を共有するというTEDの精神のもとに発足しました。
世界各地で自主的に開催されているTEDxイベントでは、TEDのような体験が共有できます。
TEDxイベントは、TED Talksのビデオ上映やスピーカーによる講演を通じて、参加者同士の深い議論や人々のつながりを生み出します。また、「x」は独立して運営されている TED のイベントを意味しています。
TEDカンファレンスはTEDxプログラムの全体的な指針は示しますが、個々のTEDxイベントは、一定の規則および規制に基づき、独立した運営を行っています。
■問い合わせ
TEDxGlobisU運営担当:tedxglobisu@gmail.com
※ご注意
運営者はグロービス経営大学院ではございません。グロービス経営大学院事務局へのお問い合わせはご遠慮ください。
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