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小さな個人塾が新規事業でICT教材を開発~顧客を得るまでの話

著者: 合同会社フローラーニング

合同会社フローラーニングの前身は、「学び舎しつもん塾」という埼玉県にある小さな学習塾です。「のんびり屋さん、ゆっくり学べる学習塾」というコンセプトで中学生を中心に30名から40名の生徒が今も学習しています。

今回は小さな個人塾がICT教材という「商品」を開発し、実際に顧客を得るまでの話を開発の中心メンバーである代表社員の土岐幸司よりお話しさせていただきます。

土岐幸司:大学時代から個別指導の学習塾で講師をし2003年独立、塾用教材の営業などを経て2014年「のんびり屋さんのための学習塾 学び舎しつもん塾」を開校。合同会社フローラーニング代表社員。flowの問題の9割以上(10000問以上)を制作。


子どもたちが使うICT教材(昔はe-learningと言いました)といえば例えばテレビCMでおなじみのベネッセの「チャレンジタッチ」やジャストシステムの「スマイルゼミ」、塾や学校で導入が進むすららやe-board、また教科書会社や教材会社、システム会社もおのおの販売しています。


私も学習塾でそうした教材を利用する側でしたが、積極的には利用しておらず紙の教材を中心に授業を組み立てていました。

しかしある日、他の学習塾で「うちではもう受け持てない」と見放された生徒がきてからICT教材に関心を持つようになりました。


その生徒は中学1年生でした。たとえば0.1という数を見て「整数か小数か分数か?」という問題も間違えていました。それに対して「ここに点があるのは小数だよ」などと最初は教えていましたが、彼に積極性はなく理解が染みていかない感じでした。


ただスマホアプリやパソコンの教材を利用すると思いの外、集中していました。「パソコンなら、怒られないし間違えたとしても壊せばいい笑」という理由でした。

彼は数学を学ぶ以前に、これまで散々怒られてきた恐怖から落ち着いて考えられなくなっていました。「人間が教えない方がいいことがあるんだな」と私も気づかされました。

日本の教育では「間違えない」ように日々教育されます。でも、まずやってみて間違えることで学んでいくというスタイルが合う生徒もたくさんいます。間違えた時に人が関わると、そこに評価や感情が入ってしまう。ICTなら間違いはただの間違いでそれ以上でもそれ以下でもない。何が違うかゆっくり考えればいい。ICTの利用価値について、これからの教育と言う観点からも見直した時でした。


その後、ICT教材について国内のものや海外のものを調べました。アメリカンスクールに通っている生徒が紹介してくれた海外のものが気に入ったのですが、カリキュラムが日本向けではなく同じようなもので日本のカリキュラムにあったものはないか?と探しましたが見当たりませんでした。


私の兄はフリーのプログラマーなのですが、そのことをなんとなく話していると「自分で作ればいいじゃん」と。


兄は小学校高学年の頃からプログラミングに興味を持ち、高校の合格祝いで当時(今から30年近く前)数十万するパソコンを手に入れてから本格的にプログラミングをはじめていました。パソコン好きの詳しいお兄ちゃんというイメージのまま大人になったそんな人です。


私も面白そうだなと思い、「こういうのがあったら救われる生徒がいるかもしれない」という気持ちで、製作を開始しました。2016年6月のことです。


面白そうだな、と簡単に始めましたがいろいろありました笑

一番辛かったのが「本当にサービスとして完成するのか?」という不安です。ある程度作業が進んだ頃に、「今までの作業が全部無駄になるかもしれない」と不安が夜中に襲ってくることがありました。


理由はシステムの作業の遅れです。初めに作成したシステム要件がなかなか組み込まれず、ものによっては2年後にようやく組み込まれたり。ただ、兄の名誉のためにお伝えすると、生徒が試作品に取り組む様子を見ているうちに、当初想定していなかったシステムが増えていったという背景もあります。


「こんな小さな学習塾が、ICTのサービスを作るなんてそもそも大それたことだよな。」というあきらめのような心の声が聞こえましたが、一方で「このサービス絶対いいよな」と個別指導の塾講師として20年の経験から確信のようなものは常に持てていました。

これがあれば、あの生徒はもっと楽しく勉強できたのでは?自分らしい勉強ができたのでは?そんな顔を実際に浮かべながらコツコツと問題作成を続けました。

(画像 生徒に実際に試してもらって改善をしていきました)


一方でシステムの遅れに関しては、ただ出来上がるのを待つのではなく塾の学生スタッフにprogateなどのオンライン学習を使いプログラミングを学習してもらい、こちらでできることをすすめることにしました。


2019年3月に数学と理科が完成し知り合いの学習塾で試験的に利用してもらい、2020年より外部の塾が実際に導入してくださっています。初めて作ったサービスが問い合わせを受け、利用が始まった時は喜びで興奮しました。

そして現在は利用塾も増え、私立の学校からも問い合わせや体験をしてもらっています。


flowは最終的にサービスの開始にこぎつけることができました。振り返ると計画通り行かなかったことは確かに苦しみでしたが、一方で計画よりもサービスの質にこだわり続けたことも継続できた要因だったと感じています。


ユーザーが実際に利用している様子を目の前で見ながらサービスが作れる、そのことで気づく新しい視点をこれからもflowに加えていきます。今、おそらく他の教材会社さんが気づかない、気づいてもやれなそうな、ちょっと変わったシステムを加えようかと企んでいます笑

そうやって今後も、クラスの中で数人でも「勉強が楽しい」「こうやって勉強していけばいい」と思える生徒の役に立てればと思っています。




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