7日間で総勢20万人が来場したインディーズゲームの祭典「GameVket」の裏側に迫る
世界最大級のVRイベント「バーチャルマ―ケット」を主催しているVR法人HIKKYが、2021年4月29日(木)~2021年5月5日(水)の7日間、ゲームに特化したVRイベント「GameVketZero」を初開催しました。
「GameVket」は、バーチャル空間(VR)で行われる、インディーズゲームの展示会です。VR機器のほか、PCやスマートフォンのブラウザからもアクセス可能で、インターネット環境さえあれば、世界中どこからでも参加できる新しいカタチのゲームイベントです。
VR法人HIKKYは、昨年から「ComicVket」や「MusicVket」などコミック・音楽に特化したVRイベントを展開し、多くの人にVRの持つ可能性を届けてきました。
そして、次にフォーカスした分野が「ゲーム」!
一体、どのような想いで「GameVket」の開催に至ったのか。
HIKKYで最高営業責任者/CSOを務める角田拓志さんと、クリエイティブディレクターのさわえみかさんに話を聞きました。
(最高営業責任者/CSO 角田拓志さん・クリエイティブディレクター さわえみかさん)
コロナ禍で減少しているインディーズゲーム発表の場を新しく生み出し
ゲームクリエイターの支援を図る
ー今日はよろしくお願いします!バーチャルマ―ケットの姉妹イベントとして、
コミック、音楽に続き、ゲームを選んだ背景について教えてください。
角田:HIKKYはこれまで、バーチャルマーケット(Vket)を主体に様々なイベントを開催してきました。そんな中「漫画や音楽といった同人クリエイター向けに特化したVketを開きたい」という話が上がり、「ComicVket」や「MusicVket」を開催するに至りました。
そんな中、イベントの参加者や出展者、関係者の中には3Dモデラーやゲームエンジニアの方が多く、”インディーズゲームの発表の場を設けたい”という意見を頂いたことから、近年盛り上がりをみせるインディーズゲームに特化したバーチャルマーケットを開催すれば面白いのではないかと考えたのが「GameVket」を開催したきっかけです。
最近ではインディーズゲームから大ヒットゲームも多く生まれているんです。
ゲームエンジンやプラットフォームの進歩が、ゲーム開発の敷居を下げた
角田:ちなみに「Minecraft(マインクラフト)」や「UNDERTALE(アンダーテイル)」はインディーズゲームから大ヒットした代表作ですね。
ーそうなんですね。でも、なぜ今インディーズゲームが盛り上がっているんでしょうか?
角田:以前に比べてゲームを作るハードルが下がっているんです。昔はファミコンやプレイステーションといった、家庭用ゲーム機を中心としたコンシューマーゲームが主流でした。それが、スマホの普及に伴いソーシャルゲームやスマートフォンゲームが台頭してきたことで、個人のゲームデベロッパーもゲームをリリースしやすくなったんです。加えて、UnityやUnreal Engineといったゲームエンジンが進歩したことで、ゲーム開発の敷居が下がったことが、理由だと思います。
さらに追い風になっているのが、YoutubeやTwitchで配信されるストリーマー、ゲーム実況文化の成長です。ストリーマーが面白いと思ったゲームを分け隔てなくプレイすることで、これまでランキングや広告の露出量では埋もれがちだったインディーズゲームが、世界中のプレイヤーに届くようになっています。面白くて話題性のあるゲームを作れば、瞬く間に全世界へと広がっていく。こうしたゲーム開発における様々な技術革新や環境の進化が、インディーズゲーム市場を盛り上げる要因になっていると推察しています。
ーインディーズゲームの可能性を感じますね!
角田:最近ではこうしたインディーズゲーム興隆の潮流を受けて、大手ゲーム会社もインディーズゲームクリエイターやデベロッパーに興味関心を抱くようになり、積極的に支援するようになってきました。
ゲームはまさしく「総合芸術」
様々な角度からイベントを楽しめるような工夫を組み込む
ー「GameVket」では、どんなことを意識して設計されましたか?
角田:ゲーム業界に携わる様々な人が楽しめるコンテンツづくりを意識しました。ゲームはゲーム業界の根底を作るデベロッパーの他にも、プランナーやプロデューサー、マーケッターによってつくられる“総合芸術”と言えると思います。「GameVket」にご出展いただいた企業数は30社、一般のサークル・ゲームデベロッパーは96組でしたが、共通しているのは「ゲームがものすごく好き」だということ。ゲームをこよなく愛する人たちが、「GameVket」という空間を通して新たなコミュニケーションや出会いが生まれ、業界の活性化に繋がる。そんな想いを胸に取り組みました。
(「GameVket」来場者の様子)
ー企業ブース、一般出展者ブースの他に、
バーチャル空間上でカンファレンス会場も作っていましたよね?
角田:そうなんです。ゲーム業界におけるカンファレンスの位置づけは重要で、有識者や活躍するデペロッパーのリアルなトークはイベントを盛り上げる要素だと捉えていたので、初めての試みでカンファレンスを開催しました。
当初、ゲーム業界をいろいろな視点から語るトークセッションやテーマを考えていたんですが、アイデアを出していたら止まらなくなってしまい、悩んだ挙句、7個に収めました。
(「GameVket」内のカンファレンス会場)
ーカンファレンステーマもゲームクリエイターのキャリアや自作ゲームのプレゼン、
インディーズゲームの将来性、ゲームリリースのポイントなど多種多様でしたね。
角田:ゲーム制作には様々なジャンルの人が携わるので、皆さんが興味をもてるように、バラけたテーマを設定しました。また、「GameVket」開催を記念した音楽イベントも、8bit cafeとコラボして行いました。次回以降もやりたいテーマはあるので、形にできるよう準備したいと思います。
(「GameVket」ゲームバーチャルカンファレンスの様子)
ー「GameVket」全体を通しての手応えはどうでしたか?
角田:会期中は色々と課題や改善点もありましたが、スタッフや参加者含めて非常に良いイベントだったと感想をいただいています。GW中の7日間で総勢20万人を超える方にご参加いただき、インディーズゲームディベロッパーの皆さんの作品露出に、貢献できたかと思います。
近いようで遠かった「VR界隈」と「インディーズゲーム界隈」の人同士が出会う場を創りたかった
ーここからは制作秘話について、みかさんに伺っていこうと思います。
クリエイティブディレクターとして携わったとのことなのですが、
どんな想いで「GameVket」を制作されましたか?
みか:VRの活動を始める前からインディーゲームのイベントやコミュニティにはちょこちょこ参加していました。私自身も数本、スマホのゲームを開発してきたのですが、どちらの界隈ものぞいてみて思うことは、インディーズゲーム界隈とVR界隈は、近いようで遠い存在だということですね。
このイベントを機に「インディーズゲームを発信したいゲームクリエイター」と「新しいものを体験してみたい来場者」をマッチできたらという想いで「GameVket」を制作していきました。
ーそんな背景があったんですね。
印象的だったのは会場の作り込みです。手の込んだ演出もされていましたね。
みか:今回、会場の制作をするにあたり「現実からパソコンの中にダイブし、ゲームを見て回る」というコンセプトにしました。いきなりバーチャル空間へ踏み込むのではなく、現実の場所からじわじわとバーチャルの世界へ入っていくイメージです。
VRに普段接しない方でも入り込みやすいようにストーリーを作っています。
案内役の存在も大きなポイントかと思います。
まず会場に入ると、ナビゲーターロボットの「すたんどにゃろん」が、来場者に会場案内やイベントの楽しみ方を教えてくれる体験を演出しました。
(「GameVket」ナビゲーターロボット「すたんどにゃろん」)
(「GameVket」ナビゲーターロボット「すたんどにゃろん」制作ラフ画像)
ー「すたんどにゃろん」!可愛いと好評でしたよね!
みか:かわいいですよね!
出展者の情報や見どころを教えてくれたり、デスクトップモードやオキュラスクエスト版ユーザーでも自撮りができる「自撮り機能」を実装したり、どんなユーザー環境でも「GameVket」を楽しんでもうために、チーム内でどんどんこうしよう、ああしようと案がたくさん出てきました。
色も形もかなりのバリエーションがありました。名前もユーザーさんから募集をして決めました!来場者の印象に残ったモノの一つになったかと思います。
ーなるほど。愛がこもってますね!(笑)
みか:「すたんどにゃろん」の案内が終わり、視界が開けると、気づけばVR空間に入っているという形です。宇宙空間をイメージしたエントランスには企業ブースやカンファレンススペースを設けました。更にその先には、ゲーミングPCをイメージした出展ブースが広がっていくという構造です。会場→エントランス→ゲーミングPCと、3段階に分けてバーチャル空間へ徐々に没入していく体験になっています。
ーバーチャル空間に置かれたパソコンの中へ入っていくイメージですか?
みか:そうなんです!本物のゲーミングPCを忠実に再現し、まるでゲーミングPCの中を巡っているような体験ができる世界観を考えました。ゲーミングPC独特の煌びやかで美しい装飾やライトニングを施し、ビビッドな電脳空間に惹き込まれるようなデザインになっています。ゲーミングPCの中を巡るという面白さとワクワク感が楽しめます。ゲーム好きにとっては夢のような空間です(笑)
(「GameVket」出展会場はゲーミングPCをイメージして制作)
バーチャル空間では、ゲームクリエイターの思い描くブース作りが気軽に実現可能
ー他に何か工夫されたことはありますか?
みか:一般出展者の方には、インディーズゲーム制作に注力をしていただきたく、簡単にブースを作ることができる入稿システムを開発しました。
リアルイベントだと、自分でブース構えるのは、準備の時間やお金がかかったりと、かなり大変です。でも、この入稿システムを使えば、バーチャル空間で自分のゲームの特色に合わせたブースを簡単に作ることができる。
決められたフォーマットに、画像や動画を入稿していけば、自分が思い描いたブースを短時間で気軽に制作できる仕組みです。3Dモデルを入稿したい方はUnityを使ってブースを作成することもできます。
会期中に、出展者さんが入稿してくれたブースが並んだ様子を見たときには、チーム内でも盛り上がりました!!想定より何倍もすごかったんです!!
(「GameVket」一般出展者ブースの様子)
ー「GameVket」を終えてみた感想はいかがでしたか?
みか:インディーズゲームの新しい可能性を開拓するきっかけになったかなと思います。「GameVket」のような新しい場所での発表の場を設けることで、今まで届かなかった人に、新たな方法でインディーズゲームの文化を広げることができる。
「きっかけ」はクリエイターのモチベーションにもつながります。そして新しい作品が生まれる・・そしてそれをプレイできる!って最高ですよね(笑)
更に、インディーズゲームに注目する企業や団体も一緒になって盛り上げることで、インタラクティブなコミュニケーションが生まれるきっかけになる。
これからも、まだ見ぬ新しいゲームに出会える回遊体験や、偶然の出会いを提供できるようなゲームイベントに成長させるべく、GameVketをブラッシュアップしていきたいですね。
ー角田さん、みかさん。ありがとうございました!
次回の「GameVket」も楽しみにしています。
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