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80代の著者さんもおられます。

超ネアカな犬たちに支えられたコロナ禍での日本介助犬協会の取り組み

著者: 社会福祉法人 日本介助犬協会

私、高柳友子は社会福祉法人日本介助犬協会の専務理事として、若年で手足に障害がある方々等の自立と社会参加支援をする介助犬の育成・普及活動をしている法人の運営責任者です。そして、人の(笑 よく犬のお医者さんですか?と聞かれます)医師です。


愛知医大4年生で短期留学したUC Davisで介助犬の存在を知り、以来日本での普及を目指して活動をして来ました。介助犬を個々の障害者のニーズに合わせて訓練し、ともに生活する訓練をすることも、病院に犬を貸与する勤務犬などのDog Interventionなる活動も、医療と密接な連携体制が望まれます。医療知識なくしては障害者の支援にならないことも大いにありますし、犬からうつる感染症についての知識も必須です。そのような課題を克服するべく、人畜共通感染症の研究で学位を取り、沖縄県立中部病院で初期研修を受けました。中部病院で、当時は日本に1人だけだったアメリカ感染症専門医の資格を持つ喜舎場先生から感染症診療のいろはを叩き込んで頂きました。

 新型コロナウィルス感染拡大について、2020年3月初旬までは恥ずかしながらSARSやMERSのように対岸の火事と捉えていました。しかし、いよいよ状況を飲み込み、すぐさま中部病院の先輩で感染症専門の先生方のアドバイスを仰ぎ、この感染が史上最悪の感染症になること、感染拡大は国難として長く影響を残す、ワクチンが普及するまで問題はかなり長期化するだろうことを教えて頂き、慌てて対処を考え、リモートで職員全員招集をかけて話し合いました。

<初のオンライン開催となった介助犬フェスタ2020の収録風景>

まずは5月終わりに開催予定の7千人の規模の主催イベントである第10回介助犬フェスタ2020の開催をオンライン発信に切り替えることとしました。オンラインイベントってなに??そんなの見てくれるの?協賛企業の皆さまにご理解は頂ける???不安しかありませんでしたが、「中止」ではなく、やれることを模索したいという想いを理解して頂くために全社に職員で手分けをしてお電話をしてオンラインになるが引き続きのご支援を頂けるでしょうか。とご連絡しました。ありがたいことに全ての企業・団体さんから「頑張って!」と、とても好意的なお返事を頂きました。YouTubeに力を入れるために新たにチームを結成し、動画作りとSNSでの発信に全職員で取り組みました。





<職員のトピックスシェア会の様子>













                    <犬を連れ帰っての在宅勤務の様子>

 職員には全員テレワーク体制を取ることとし、訓練犬も出来るだけ職員が連れ帰り、犬舎にいる犬の数を減らし、犬舎管理の人数を最低限にしました。職員からは「いつまでですか?」「在宅で出来る仕事なんて限られてます」と様々な不安の声があがりました。不安を払拭し、適切に感染予防をするには正しい知識を身につけることが最も重要です。職員には、新型コロナウィルス感染症についてと予防の基礎知識を徹底するべくレクチャーをし、最新情報を集めては1ヶ月に一度、ミニレクチャーを行いました。犬にはウィルス付着はしても犬が人への感染源となることはないことを周知し、介助犬使用者さんやパピーや訓練犬などを預って下さっているボランティアさんが感染した場合にどのように犬を受け取るかのマニュアル整備、介助犬使用者さんにも各担当職員を通じて感染予防徹底をすることを周知すると共に心配なことがあったときにはいつでも直接私に相談をするよう情報集約を図りました。

 職員の家族の職場で濃厚接触者や感染者が出た時も、職員に咳や喉の痛み、発熱があった時もすぐに連絡をもらい、少しでも心配がある時には出勤しないで在宅で仕事を休まなくても済む体制を取る体制は今も、これからもしばらく続きますが、職員全員がしっかり徹底出来ていると自負しています。


<ボランティア向け講習会の様子>


 会議は全てオンライン、イベントや活動等多くが中止せざるを得なくなる中、全くストレスなく、むしろ「ずっとみんながいるー♫」と喜んでいる犬達の明るい様子を多くの方に伝えるべくオンラインで見学会、介助犬使用者さんへの継続指導、パピー指導が出来る体制を作るために担当職員を決めて機材整備にも奮闘しました。それにはこれまでの訓練センターでのネット環境では不十分なことが判明し、またなぜだか非常にネットが不安定になり、場所と日によって、繋がる場所が限られ、オンラインイベントの日、撮影の度にヒヤヒヤしながらの準備の日々でした。そんな中、「コロナ禍で大変でしょう」と頂いたご寄付のお陰で、Wi-fiを含めた環境整備が出来、全国の障害者向けに相談会、体験会の開催が可能となりました。参加された障害者の皆さんから、むしろ移動しなくても体験や相談が出来るから嬉しかったというお言葉を頂くことが出来ました。

           <パピーのオンライン入所式>


           <オンライン見学会>

横浜にある本部と長久手市のセンター往来がなくなりテレワークで実際に顔を合わせる機会が減ったことで情報共有が薄くならないように、職員の一体感を持つべく月に一度「トピックスシェア会」を開催しています。これまでは年に2回の全体会議でのみ全員が集まっていたので、これも、むしろ別部署の取り組みを迅速に把握出来、一体感が増してずっと続けていきたい取り組みとなりました。
















 感染拡大が著しいとき、同僚や先輩、後輩が最前線でストレスフルに闘う様子を聞く度に医師の一人として、役に立てていないことを心苦しく思う日も多く、せめて私に出来ることを、と、新型コロナウィルスについてのセミナーを介助犬使用者さん、協会に関わるボランティアさん向けに開催し、感染予防は一人一人が正しい知識を持ち、責任を持って自分の健康管理としてすること の理解を得られるよう努力しています。これからも最新情報を収集して身近なところからの理解を深めていきたいと思います。 

 

 様々な不安がある中、色々なことを大きくかつ迅速に変えなくてはならず、ピンチ!!だった1年を乗り切れたのは、いつも私たちのそばに犬がいてくれたからだと思います。美味しいことと楽しいことだけを考えて超ネアカに尻尾を振って寄り添ってくれる犬達と共に、これからもっともっと多くの方に笑顔を届ける活動ができるように奮闘します🐾




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