OMOで無人化のその先へ。New Innovations代表・中尾渓人が見据える「OMO社会の実現と課題」
「あらゆる業界を無人化する。」
New Innovations(ニューイノベーションズ)は、このビジョンを掲げ、多くの人々がより人間らしい生活をおくる未来の実現を目指して事業を展開しています。
現在は、AIやIoTなどのテクノロジーを駆使し、自動化を軸にしたハードウェア製造とソフトウェア構築でOMO(Online marges with Offline / オンラインとオフラインの融合)を実現するとともに、様々な領域でDXを推進しています。AIを搭載した無人カフェロボット「root C(ルートシー)」は、事業検証を終え、2021年4月に正式リリース。コロナ禍で非接触ソリューションの注目が高まる中、着実に認知が広まっています。
「root C」の基盤技術を使えば、あらゆる業界の常識が覆る。18歳でNew Innovationsを起業した代表取締役CEOの中尾渓人が「root C」を通じて見据えているのは、今後OMOが広まることで、法も社会も大きく変わっていくということ。root C事業を軌道に乗せつつあるある中尾が考える、New InnovationsとOMO社会の未来とは。
「root C」を通して、既存の社会システムに挑戦したかった
──起業から3年が経った今、会社としてどんな変化がありましたか?
ここ1年で、会社自体の認知が急速に広まってきたと感じています。「root C」の設置や採用についての問い合わせも増えました。正社員も1年で4.5倍ほどになり、事業拡大を見据えてオフィスをコーヒーの聖地である清澄白河に移転しました。
──AIカフェロボット「root C」を街中で見かける機会も増えましたね。
昨年はオフィスビルへの設置が続いていましたが、JR東海やJR東日本クロスステーションとの協業がスタートして公共交通機関に設置されたことが大きいかもしれません。新橋駅など利用者の多い駅に設置されたことで、メディアに取り上げられる機会も一気に増えました。
2021年3月には地元・和歌山県から「第2回先駆的産業技術研究開発支援事業補助金」の交付先として採択。さらに、『ロボットを用いた無人カフェの営業の実証』に関する新技術等実証制度(「規制のサンドボックス制度」)が厚生労働大臣、経済産業大臣から認定されました。今後は地方の企業や施設への設置も増えていくと思います。
──サンドボックス制度の認可について、今振り返ってみていかがですか。
僕たちが掲げる「あらゆる業界を無人化する。」というビジョンに向けて、まず超えなければならない壁だったと思います。
今回は「root C」において「無人店舗ではじめて牛乳の使用」を実現しました。無人店舗でも遠隔で牛乳の衛生管理が可能だということを認めていただいたんです。食品衛生法の牛乳の取り扱いに関する法律は、昭和から約50年間改正されておらず、現代にあっていない古い部分もあり、1年10ヶ月に渡るプロジェクトでした。
カフェラテやフォームミルクを使ったメニューが提供できるようになることは、ユーザーニーズに応えるとともに対象とできるマーケットが広がるという大きな価値があります。
僕たちは、いわゆるメーカー・流通・運営会社などの分断を超えてユーザーニーズを叶えることができるプレーヤーだからこそ、このサンドボックスを実現する意義があったと考えています。
そもそも僕たちは、「root C」で牛乳を取り扱うことだけにこだわりたかったわけではありません。「無人化の促進」という社会変革を行うのに、既存の法律との乖離が起こるのは必然的でした。そのコンフリクトを解決できないと、どのマーケットでも自分たちの強みを活かせない。だからまずは、開発・運営まで自社で行っているroot C事業の中で「これまでの当たり前を変える」経験を積みたかったんです。
──プロダクトとして走り出しの段階からJRという大きなアライアンスができたのも、サンドボックス認可による信頼性は大きかったのでしょうか?
もともと、大阪で南海電鉄という私鉄で実証実験をした経歴があったことと、サンドボックス認可をやりきった事業所に対する信頼性という2軸があったと思います。商談の際に担当者の方が、僕たちがやろうとしているOMO変革そのものに理解を示してくださり、ただテナントに場所を貸すだけでなく、事業レイヤーとしても上流のところで一緒にやろうと言ってくださったことは嬉しかったです。
カフェラテを提供しているroot C マーチエキュート神田万世橋ステーション
「root C」で達成したかったのは、OMOの世界観を自分たちの手で形にすること
──駅への設置やメディア露出でroot Cの認知が広まったことで、会社としてどんな変化が起こりましたか?
まず、いろいろな人に「知ってる!」と言ってもらえることがこれほど嬉しいんだなと思いました(笑)。また、商談や採用など、僕たちの会社に興味を持ってくれている人たちと、前提の説明なしに、議論を展開できるようになりました。「root C」がOMOが社会に浸透するための事例となり、自社の経営課題をOMOで解決したいという問い合わせも増えました。
──OMOにおける、New Innovationsの強みとはなんでしょうか。
New Innovationsの一番の強みは、ハードウェアもソフトウェアも、ワンストップで開発・提供・運営ができること。そういう意味では、ハードとソフトが切り離されている大手ITベンダーとの差別化になっていると思います。
現代、ソフトウェア産業に関しては大きくイノベーションが起こったと思っています。しかし、現実社会におけるハードウェアに関しては、数十年前から大きな変革がない業界もたくさんあります。起きている経営課題に対し、ソフトウェアからもハードウェアからもアプローチできるプロダクトを開発できる企業は、世の中にもまだあまりないのではないかと思います。
──なぜ最初に飲食業界を選んだのですか?
飲食業は、自分たちが変革できる見通しがありました。注文や決済は、ソフトウェアによる管理の方が効率がいいですよね。衛生管理や調理工程においては、ハードウェアによってクオリティに差分がなくなるという意味で標準化できると考えています。
2021年6月に自社で実施した「飲食体験に関するアンケート」では、「飲食物の提供において非接触であることに安心を感じますか」と尋ねたところ、約8割が飲食物の提供で非接触であることに安心を感じることがわかりました。
「飲食業界において、どの過程でのデジタル活用が進むことを期待しますか」と尋ねたところ、「注文」が66.7%で最も多く、「予約」が66.4%、「決済」が54.6%と続きました。
──今後の日本におけるOMOの課題は何だと思いますか?
簡単に機械化できる物事は最近の産業革命で、ソフトウェア産業のためのソフトウェアによる合理化はIT革命でとっくにイノベーションが終わっています。残るは、なにかしらの慣習や倫理で、誰もが「やる」と言い出しづらいものばかりです。
しかし今後は世界規模で、IT革命や産業革命のような、OMOによる社会の大きな変革が起きると思います。
ロボットが得意なのは、広義な意味での標準化と効率化です。
OMOによる課題解決の余地がある業界でも「人のぬくもり」が大切な場面は絶対にあります。その中で「どこまでがオンラインで、どこまでがオフラインであるべきか」という程度問題の議論も起こっていくはず。まさに僕たちは今、簡単に機械化に踏み出せなかった領域におけるOMO事例の知見を積んでいるところです。この経験を、New Innovationsがこれから価値提供できる強みにしていきたいと思います。
OMOが浸透した社会で「非合理性」も大切にしていきたい
──OMOは今後、どのように社会に浸透していくとお考えですか?
現状としては、不測の事態だった新型コロナがOMO変革の背中を押してくれたと思っています。誰も言い出すきっかけがなかった中で、「非接触」を軸にOMOの活発化を感じています。
ただ、これから50年経った未来でも、OMOが社会に浸透する中で程度問題の議論をしているでしょう。センシティブなところでいえば、医療業界における人の生死に関わる事象の責任問題や、裁判における人権問題などです。僕としては、この程度問題を履き違えてしまうと、社会は崩れていってしまうと思います。
──ロボット革命・OMO変革が予測されはじめた頃から、なんとなく横たわっている問題ですよね。
結局僕らは頭で考えて話す、感情のある生き物なので、合理性も大事だけど「よく分からないけど嬉しい、悲しい」っていう非合理な感情も大切なんだと思います。OMO変革で合理化が進んだ社会では、感情論や非合理性の価値も上がるのではないでしょうか。
──今後、OMOが参入していくフィールドとして注目している業界はありますか?
オンラインではなく、リアルな世界で商売をしている業界は、まだまだ改善の余地のある困りごとが多く、そこに関わる事業所の方々からの問い合わせは増えていますね。店舗体験が大事な飲食やアパレル、まだまだ人間がやった方が効率がいいとされている建設や福祉などの業界もそうでしょう。
──ではNew Innovationsは今後、どのようにOMO社会を後押ししていきたいとお考えですか?
僕たちがやりたい「あらゆる業界の無人化」は、より人間らしい社会の実現のために抱える理念ですから、人間が生むことができる付加価値がある工程は、人間がやるべきだと考えています。その中で僕たちができるのは、OMOが代替したことで、誰かが楽になったり幸せになったりする成功事例を増やすことなんだと思います。
「root C」のコア技術を使えば、様々な業界の経営課題を解決することができると思います。オンラインとオフラインの体験創造のかけ合わせは、今世の中からも求められるようになってきています。クライアントそれぞれの事業領域に合わせて、開発として、コンサルとして、メーカーとしてサポートしていきたいです。
──ありがとうございました!
「root C」サービスサイトはこちら:https://rootc.cafe/
法人の方はこちら:https://biz.rootc.cafe/
Facebook:https://www.facebook.com/NakaoKeito
Twitter :https://twitter.com/KeitoNakao
株式会社New Innovationsではエンジニアを積極採用中です。
Twitter/Facebook等でもご連絡お待ちしております。
【会社概要】
あらゆる業界を無人化する。
会社名:株式会社New Innovations
代表取締役:中尾 渓人
資本金:1億7,300万円(準備金含む)
設立:2018年1月
事業内容:AIカフェロボット「root C(ルートシー)」の提供、OMO事業(コンサルティング、ハードウェア製造、ソフトウェア構築)
本店:東京都江東区福住2-5-4 IXINAL門前仲町4F
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ