滅菌・プラズマ処理を”色”で見える化?老舗企業のあらたなるチャレンジとは?
描画材料の会社 サクラクレパスがエレクトロニクス分野に
サクラクレパスは、1921年(大正10年)に創業、来年には100周年を迎える老舗企業です。1925年(大正14年)には「クレパス」を開発し、サクラクレパスを代表するロングセラー商品となりました。
“サクラクレパス”と聞くと、皆さんはまず何を思い浮かべるでしょうか。幼いころに使った「クレパス」や「クーピー」、またはお絵かきをしていた当時の楽しい思い出が頭に浮かぶ人もいるかもしれません。そんな“色”に携わり、色に関する知見を深めたサクラクレパスはいま、5年ほど前からある分野に力を入れています。
それは、サクラクレパスというイメージからはなかなか結び付かないエレクトロニクスの分野です。この分野で私たちは、工場の製造工程でプラズマ処理が正常に行われたかを可視化する評価ツール「PLAZMARK®」を開発しました。
1975年に医療分野に参入
エレクトロニクス分野の事業をはじめる前、サクラクレパスは医療分野に参入し、「滅菌インジケータ」という高圧蒸気、エチレンオキシドガス、オゾンガス、過酸化水素による殺菌、滅菌条件を色変化で検知できるケミカルインジケータを開発しました。
医療機関にある医療機器類を再使用する際には必ず、滅菌インジケータとともに滅菌作業が行われ、インジケータの色で滅菌済みのものかどうか判断されます。そのほかにも食器などの消毒ができたかどうかの確認、また食品をつくる工場ではレトルト殺菌などの工程管理、医薬品やバイオ系の製造施設の環境殺菌の確認としても活用されている技術です。
”色”をつくる技術を応用
医療機関で使われていた滅菌インジケータの技術を応用し、開発されたのが先に説明したプラズマ処理を可視化する評価ツール「PLAZMARK®」でした。2014年に最初の製品を発売、新エネルギー・産業開発機構(NEDO)の支援も受け、2015年には耐熱色材を利用した製品を開発しました。
医療機関が行う滅菌方法には、プラズマを利用する手法もありますが、滅菌におけるプラズマは主要工程ではなく、補助的な工程のため医療現場のニーズとマッチしていないことがわかりました。そこで、プラズマ処理を色で可視化して評価する技術をエレクトロニクス分野のプラズマ処理評価に活かせないかと考えたことが「PLAZMARK®」開発のはじまりです。
プラズマ処理効果を”色”で可視化
プラズマは、半導体基板やチップなど、いろいろな電子部品の製造過程で使用されています。回路の形成、洗浄、成膜など用途もさまざまです。高性能の半導体は原子レべルで表面が加工されていますが、プラズマ処理の再現性や分布制御がそのカギを握っているのです。ところが、プラズマの計測は非常に専門的なため、評価を必要としている製造現場の方が容易に使えるものではありませんでした。そもそもプラズマ処理をした後も見た目が変わらず、特殊な計測をしないと結果がわからないという難しさがありました。
(※プラズマとは、固体・液体・気体に次ぐ、物質の「第4の状態」と言われるもので、高温や高い電圧をかけることでガスなどの分子や原子が陽イオンと電子に分かれた状態。半導体製造をはじめ、最近では医療機器の部品や自動車の車体の加工などにも使われる。)
そんな中「PLAZMARK®」は、プラズマ発生装置の不具合を”色”の変化で検知、そして不良品の発生を防ぐことができ、狙った通りに処理ができたかを“色”で可視化できるようになりました。
従来は、プラズマ処理の評価に数百万円する高価格の専用計測機器が必要でしたが、この評価ツールを活用すれば、高額な設備投資をせずに100枚入り2万5千円(カードタイプ)や5枚入り2万円(シートタイプ)で手軽に評価することが可能となりました。カードタイプやシートタイプのほか、貼付けのできるラベル型や半導体製造で使用される規格品シリコンウエハーで作成したタイプなどご要望に合わせて商品展開も広げています。
自動車の電気化・電子化、あらゆるモノがネットと繋がる「IOT」、高速大容量の「5G」通信の普及により、エレクトロニクス分野は今後も高い需要が見込まれます。エレクトロニクス分野の工場の現場では、大量生産に対応した自動化製造ラインが増えることで、今まで以上の生産性アップやコスト削減が加速していくことでしょう。 “色”でプラズマ処理を簡単に評価できる「PLAZMARK®」は人間が見てもわかりやすく使いやすい評価ツールですが、AIによる画像解析技術の応用も期待できることから、今後も、多くの現場のニーズに応え、サポートをしていきます。
今では国内外に150社を超えるお取引先企業
事業が立ち上がった当初は、半導体関連の見本市に出展しても、「なぜサクラクレパスがここに?」と首を傾げられることもしばしばありました。2016年には韓国・台湾で代理店を設置、その後は日本企業の工場が多い中国、ASEAN諸国への販売網も開拓、また欧米への販売実績も出てきました。今では、お取引先企業の数も半導体大手企業をはじめ、150社以上(国内外)に上ります。
最後に
2014年に「PLAZMARK®」を開発して以降、商品の銘柄数は、当初1銘柄にはじまり、2016年には27銘柄、2019年には36銘柄と幅広いニーズに対応しています。そしてそのニーズにお応えするべく苦心した結果、毎年約2倍の売上につなげることができています。
”色”にこだわりつづけるサクラクレパスは、これからもおえかきをする子どもたちだけでなく、医療現場やエレクトロニクス分野の工場などの幅広いシーンでお役に立つ商品づくりを進めていきます。
▼商品に関するお問い合わせはこちら(「PLAZMARK®」営業担当まで)
https://plazmark.craypas.co.jp/contact/
▼取材に関するお問い合わせはこちら(サクラクレパス 広報担当まで)
https://www.craypas.co.jp/contact/contact-form/
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