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ストーリーの著者は、読者でもあります

老舗和菓子屋の羊羹が、年間売上75,000円から1,000倍になった裏側 【スライスようかん】

著者: 亀屋良長株式会社


四季折々の和菓子から、時代の流れを取り入れた菓子づくりも行う、1803年創業「亀屋良長」の女将を務める吉村 由依子。

今回は吉村より、昔ながらの煉羊羹に、あるアイディアを加えたことで、大ヒット商品誕生の裏側についてお話しさせていただきます。


【吉村 由依子について】

大学卒業後、Le Cordon Blue Paris校に留学し、フランス料理を学ぶ。亀屋良長8代目との結婚を機に和菓子の世界へ入り、販売・商品企画・商品開発を手がける。

■ 【はじめに】和菓子業界と羊羹の現状

和菓子業界は、洋菓子人気に押され、年々売り上げが下がっております。

特に10〜40歳台位の若い方の和菓子離れが大きく、業界として課題となっております。


中でも、羊羹は20年前の約半分の購入額になっています。

弊社も昔ながらの羊羹を販売していましたが、年々売り上げは落ち、年間50本程度しか売れない状態となっていました。

こうした傾向の中、羊羹の“形状を変える”ことで、売り上げが年々伸び続け、1年目は160倍、2年目550倍、3年目には1,000倍になりました。

直近では、年間で15万袋を売り上げる異例の大ヒット商品となりました。

■ 大ヒット商品誕生の瞬間

きっかけは、私の2人の子供の朝食を作るときに思いつきました。



長男は甘いものが苦手でスライスチーズをのせてトーストに、一方次男はあんこが好きで、トーストしたものに餡をぬっていましたが、餡は冷えると固くてぬりにくく、めんどうくさいなぁ。スライスチーズみたいに、パッと簡単にできたらいいのに。」と思ったのが最初です。


羊羹を薄くスライスして食パンにのせて焼いてみたら、何となくいけそうなものになり、その後、試作を重ね、誕生したのが「スライスようかん」です。

■ 完成までの試行錯誤

試作では、羊羹の小豆の味・厚みを何度も試して調整しました。


薄くスライスするには、粒あんではカッター(針金)に小豆の皮がひっかかってしまうため、こしあんの羊羹を作ったのですが、パンと合わせると小豆の香りが負けてしまいました。


そこで、粒あんを炊き、それをミルで細かく潰したものを羊羹にすることで、小豆の風味も残すことができました。


また、粒あんには最高品質の丹波大納言小豆を使っています。

この小豆は、大粒で香りが芳醇なのが特徴で、潰して使うことは通常しないのですが、味は妥協しないということで使うことにしました。



厚みは、2mm、2.5mm、3mm、3.3mmと試し、食パンとの馴染み、バランスが1番よかった2.5mmになりました。


上にのせるバターも、羊羹製で仕立てました。


販売当初は、冗談半分で生まれたようなお菓子でしたので、こんなに売れると全く考えていませんでした。

有り難いことにメディアの取材を頂くことが増え、度々品切れを起こしてしまうくらいでした。

販売当初から3年間の累計売り上げ高は1億円を超え、今は、創業当初より続く代表銘菓の「烏羽玉」を超えて、年間売り上げNo.1になり、本当に驚いています。


製造は全て手作業で行っておりますので、スライスする工程だけでも機械化ができないかと検討し、大手メーカーさんにも色々と試して頂いたのですが、

薄さとサイズと、羊羹という特性が非常に難しく断念し、今も、1枚ずつ手作業で切っています。

■ なぜ「スライスようかん」が大ヒットしたのか?


羊羹をパンにのせて焼く、というのが面白さがあったのだと思います。

また、販売をはじめてみて印象的だったのは、男性のお客様が増えたことです。

おやつシーンから、より日常の朝食シーンに入ったことが大きな要因かと思っています。


今までお客様の大半が女性で、若い女性客に向けたものを意識して展開していましたが、男性が増えたことで、新たな視点が生まれました。


和菓子を普段口にすることがない方にも、あんこを食べてもらう機会が増えたことはとても嬉しく思います。


今年2月にはバレンタイン向けに「小豆×カカオ」の味を、9月には秋季限定で「小豆×焼き芋」の味を販売しています。


羊羹を層に流して固めるのも和菓子の技法ですので、アイデア次第で色々なスライスようかんが作れる可能性があると思います。


思いがけず沢山の方に興味を持っていただくことができ、和菓子の未来もまだまだ可能性があると感じました。


全く新しいことを生み出すのではなく、伝統の延長線上であったり、誰もが知っているものをより魅力的にみせることを考えていければと思います。


そして、これからも若い方にも和菓子の魅力を広めるべく、からだにやさしい素材をつかった新ブランドの運営、他業種とのコラボ企画等をSNSやオンラインショップなども活用し、時代に寄り添い、軽やかに発信していきたいと考えております。





■会社概要

会社 :亀屋良長株式会社

所在地 :〒600-8498 京都府京都市下京区四条通油小路西入柏屋町17-19

代表者 :吉村 良和

創業 :1803年 

設立 :1989年


URL :https://kameya-yoshinaga.com/


Instagram:https://www.instagram.com/kameyayoshinaga/?hl=ja

Twitter  :https://twitter.com/yoshimura0303 (八代目店主)

https://twitter.com/YuikoYoshimura (女将)


■スライスようかん(小倉バター):https://kameya-yoshinaga.com/?pid=142516073


■スライスようかん(焼き芋):https://kameya-yoshinaga.com/?pid=163009076





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