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日本の掃除をストレスフリーに。ゴミを自動で収集できるセパレート掃除機ができるまで

著者: パナソニック株式会社 コミュニケーションデザインセンター

パナソニックは、2021年に国内で初めて(※1)のセパレート型コードレススティック掃除機「MC-NS10K」を発売した。スティック本体とダストボックスを分離させた次世代の掃除機は、発売から約2年で国内累計出荷台数13万台(※2)を突破。多くの方にご愛用いただいている。


さらに進化させた後継機「MC-NS100K」「MC-NX700K」「MC-NS70F」を11月下旬より順次展開(*)。これら3つの新モデルは消費者のニーズや掃除スタイルにあわせて選べるラインアップとなっている。

*MC-NX700K(左)2024年3月下旬発売予定、MC-NS100K/NS70F(中央・右)2023年11月下旬発売


【動画】日本の掃除をストレスフリーに。ゴミを自動で収集できるセパレート掃除機ができるまで【パナソニック公式】https://youtu.be/_8BLudeIWHQ

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国内初となるセパレート型コードレススティック掃除機のアイデアはどのように生まれたのか。また、新たな3モデルにはどんな特長があるのだろうか。商品開発の裏側について、商品企画担当の北口和美とマーケティング担当の川合悠加に聞いた。


<担当者プロフィール>

北口 和美

パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 ランドリー・クリーナー事業部 クリーナービジネスユニット 商品企画課



川合 悠加

パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 ランドリー・クリーナー事業部 国内マーケティング部 クリーナー・トワレ・電気暖房課



国内初のセパレート型コードレススティック掃除機 誕生の裏側

新商品の開発は、本来であれば使用するスペックや価格を設定し、それを実現するためにデザイン設計を行うといった手順が一般的だ。ところが「MC-NS10K」は、デザイン先行で開発が進められたという。開発当時について、川合はこう振り返る。


「『NS10K』はデザイナーの発案で生まれた商品です。掃除をもっと楽にするにはどうしたらいいか考えたときに、ホウキくらい気軽に使ってもらえるような、棒状の掃除機というデザインにたどり着きました。これなら取り出しやすく、戻しやすい。インテリアにも馴染み、リビングに置いてサッと使えるだろうと考えました」


無駄を削ぎ落としたシンプルなデザインは、社内でも好評だった。しかし、それを実現できるかは別問題だ。実際に商品化までにはさまざまな壁があった。

なかでも、さっと取り出せる本体の軽さと、ゴミをしっかり吸引できるパワーを両立させるのが大きな課題だった。パワーを上げるには相応のバッテリーを搭載しなくてはいけないが、バッテリーを増やすと本体が重くなってしまい、ゴミを溜めるスペースも確保できなくなる。


決められたデザインの範囲で、何を優先するべきか悩んだときに参考にしたのは、日頃から収集していたお客様の声だったと北口は話す。


「当社では、お客様の困りごとやニーズを定期的に調査しています。コードレススティック型の掃除機が普及し、掃除は以前よりも楽になりつつありますが、それでもお客様からは本体の重さやメンテナンスに関して不満の声があがっていました。『NS10K』はそうした不満を解消し、掃除をストレスフリーにすることを優先しようと考えました」


本体を軽量化するために、搭載するバッテリーは最小限に抑えた。その分使用できる時間は短くなるが、最近の調査でお客様の掃除スタイルが「一気に家じゅうを掃除する」から「気づいたときに局所的に掃除する」に変化していることがわかっていた。それならば、使用時間が多少短くなっても問題はない。


また、コードレススティック掃除機はサイクロン式が主流であるが、ゴミを捨てるときにホコリが舞ったり、フィルターに付着したゴミをブラシや直接手で取らなくてはいけないというデメリットもあった。そうしたメンテナンスの課題を考慮し、掃除機の中のゴミを自動で収集するクリーンドック(充電台)を搭載した。クリーンドックの中には紙パックが入っていて、いっぱいになったら紙パックごと捨てられる。ゴミに触れることもホコリが舞うこともなく処理ができ、ゴミ捨て頻度も減るのだ。



釣りの動きをヒントに開発された、クリーンドックの移送技術

ゴミを自動で収集するというアイデアは、パナソニックでも初めての試みだ。掃除機本体に溜まったゴミをクリーンドックに移送させる技術は、想像以上に難しいものだった。

単純に強い力で引っ張れば移送できるかというとそうではない。まずは強い風力で吸い取り、一度力を弱めてフィルターにはりついたゴミを緩め、再度強い力で吸い取ることでクリーンドックへ移送させる方法に決まった。このツーステップ吸引は、意外なことからヒントを得ていると北口はいう。


「釣りをしていると釣り針やルアーが障害物に引っかかったりしますよね。それを引き剥がそうとしたときに、ただ一方向に引っ張るだけでは取れません。一度反対方向に釣竿を動かして、引っかかっている部分を緩めてから引き上げることで取れるようになります。それを応用してクリーンドックのアイデアが生まれたと、技術担当から聞いています」


何気ない普段の行動から生まれたクリーンドックの技術。実際に使えるものになるまでには、何度も試作を繰り返した。


またクリーンドックは、その他にも良い影響をもたらした。常時コンセントに接続され電源が入った状態になっているため、ナノイーXで紙パック内を除菌*(※3)脱臭*(※4)できるのだ。クリーンドックに長くゴミを溜めておいても衛生面で安心できる。


*紙パック内において、除菌は約4時間後の効果、脱臭は約3日後の効果。効果の発現時間は、実使用での試験結果ではありません。 


試行錯誤の末に商品化した「MC-NS10K」は、発売から約2年で国内累計出荷台数13万台(※2)を突破した。国内初のセパレート型コードレススティック掃除機は、多くの方に受け入れられたのだった。



掃除スタイルにあわせて選べる新モデルへの挑戦

「MC-NS10K」の後継機として3つの新モデル「MC-NX700K」「MC-NS70F」「MC-NS100K」を展開した。


人気商品である「MC-NS10K」に小さな変更を加えるという商品展開も考えられるなかで、あえて本体ごと見直して、新たなモデルとして打ち出すことにしたのはなぜだろうか。その理由を川合に聞いてみた。


「『NS10K』は気になったときにサッと掃除したい方にはご好評いただいておりますが、一方でそうではない掃除スタイルの方を取り込むことはできませんでした。多様化する住環境やニーズに合わせて選んでもらえるラインアップを揃えるためには、『NS10K』の良い部分は残しつつ、新たな要素を加えた新モデルの開発が必要だと考えたのです」


3つの新モデルのうち、一番大きく進化したのは「MC-NX700K」だ。ゴミをクリーンドックで自動収集することは前モデルを踏襲しているが、それに加えて家じゅうを一気に掃除できる長時間対応のバッテリーやハイパワーモーターなどを搭載している。本体構造の変更により、新たにクリーンドックを作り直さなければならない点には苦労したが、戸建てや広めのマンションでメインの掃除機として使いたいというニーズに応えることができた。


「MC-NS70F」は、フローリングと畳専用の「動くノズル」を採用している。家具の脚まわりや隙間にあわせてノズルが変形し、掃除がしにくい場所もきれいにできるのだ。またシリーズでは最軽量で、持ったまま階段で別フロアへの移動も楽々。フローリングがメインのコンパクトな都市型住宅に住む方のニーズや、気軽に使えるセカンド掃除機としての需要も満たす商品として開発された。なお、開発当初は新ノズルの独特なデザインを見て、社内からは「すぐ壊れるのではないか?ゴミはちゃんと吸えるのか?」など疑問の声があったが、最終的にはそのような心配を払拭する商品を作り出すことができた。


紹介した2つのモデルは特徴的な進化を遂げているが、「MC-NS100K」は「MC-NS10K」を継承したモデルとなっている。「MC-NS10K」の愛用者が多くいたことから、トータルバランスがいいモデルを主力の位置づけとして残しておくという判断だ。


住宅の広さ、掃除の頻度、床の素材(フローリング、畳、絨毯など)にあわせて選べる3つのラインアップが実現した。


商品開発で大切にしているのは、お客様の心の声に耳を傾けること

「MC-NS10K」を発売した2021年から現在までのおよそ2年間で、お客様が掃除機に求めることに変化はあったのだろうか。消費者のニーズを調査している北口はこう話した。

「ここ2年に限ったことではありませんが、共働き世帯が増えたことで掃除にかける時間を減らしたいといったニーズは高まっています。またコロナ禍の影響で、清潔さに対する意識も強くなっています。そういった理由から、気軽にサッと使えるセパレート掃除機が選ばれているのではないかと思います」


デザイナーの提案から始まった、国内初のセパレート型コードレススティック掃除機の開発。さまざまな壁を乗り越えながらも、お客様に支持される商品へと成長できたのはなぜだろうか。川合は、パナソニックが大切にする考えにヒントがあるのではないかと話した。


「当社は、お客様の声にしっかりと耳を傾けることを大切にしています。Webアンケートなどの定量調査をはじめ、モニターの方と直接お話しをする定性調査など、さまざまな方法でお客様の声を聞く場を作っています。そこで重要視しているのは、お客様の『心の声』を聞き出すことです。例えば、アンケートの自由記述欄は、Yes/Noではなくお客様自身が考えて書き込む貴重なスペースです。そのような心から出たご意見を一つひとつ大切にして、次の商品開発につなげています」


人々の生活スタイルが多様化し、掃除機を選ぶ基準も十人十色になっている。そんな時代だからこそ、パナソニックはお客様一人ひとりの生活に寄り添った商品をこれからも生み出すべく挑戦を続ける。



 

※1:国内スティック掃除機市場において。2021年10月25日発売。

※2:2021年10月~2023年9月。当社出荷実績 13.8万台​ 

※3:[紙パック内の除菌効果]試験機関:(株)テクノサイエンス 試験方法:紙パック内において布に付着させた菌数を測定 抑制の方法:ナノイーを放出 対象:付着した菌 試験結果:4時間で99 %以上抑制 試験成績書発行年月日:2021年7月5日 試験成績書発行番号:21070134-002 

※4:[排気のゴミ臭の脱臭効果]試験機関:パナソニック(株)プロダクト解析センター 試験方法:250 LのBOX内において排気をにおい袋に捕集して6段階臭気強度表示法により検証 脱臭の方法:ナノイーを放出 対象:生ごみ臭(家庭じんあい・ペット毛) 試験結果:臭気強度1















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