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中が見えない飼料タンクをセンサーで可視化。毎日の確認作業から農家を解放する「Milfee」(ミルフィー)開発秘話

著者: 株式会社YE DIGITAL


最新の技術で畜産農家の負担を軽減


福岡県北九州市に本社を置く、株式会社YE DIGITAL(ワイ・イー・デジタル)は、〝モノのインターネット〟IoTを活用した、さまざまなサービスを提供しています。今回は、飼料タンクの残量をセンサーで管理する新システム「Milfee」(ミルフィー)の開発者、マーケティング本部事業推進部の小舟に話を聞きました

6メートルのタンクを毎日上り下りする、畜産農家の苦労

鶏や豚、牛などを肥育する農家では、飼料をタンクで保管しています。この飼料タンクが新しいうちは、のぞき窓から残量を確認できるのですが、次第に窓の汚れなどで見えにくくなってきます。また、タンク内の飼料は砂時計のように真ん中から減っていくので、外からでは正確な量がわかりません。


動物には毎日飼料が必要で、切らさないよう残量を把握するために、毎日タンクを巡回しては一基ずつはしごで上り、目でタンク内を確認しています。タンクは通常4~6m、大きなものではおよそ8mの高さがあります。大規模な農場には50基を超えるタンクがありますから、雨の日も雪の日もタンクに上る作業は、農家にとって大きな負担になっています。

飼料タンクは通常4~6m、大きなものでは8mの高さ

燃料タンク残量管理の技術を飼料タンクにも応用できないか

当社は2019年に、ビニールハウスで使う加温機用燃料タンクの残量管理システムを開発しています(ASPIC IoT・AI・クラウドアワード「データ活用系ASP・SaaS部門審査委員会賞」を受賞)。その技術を、飼料タンクの残量管理に応用できないだろうかと考えました。他社の製品はすでにありましたが、計測の精度に満足されていないお客様が多かったからです。


「なんとしても当社の技術力で、この課題を解決する製品を作りたい」。毎日飼料タンクに上る苦労や、残量の目測が違っていて急に発注することになったお話を畜産農家の方からうかがううちに、強く思うようになりました。

マーケティング担当/小舟啓介

株式会社YE DIGITAL マーケティング本部 事業推進部

ひとつひとつ課題を解決した新システム開発

しかし、開発は一筋縄ではいきませんでした。液体の燃料と、粉や粒の飼料とでは計測の仕組みがまったく違います。また、従来の他社製品では計測できなかった、「マッシュ」とよばれる粉状の飼料を、どのように精度よく計測するかという壁も立ちはだかりました。


当社はこれまで畜産分野との接点がなかったため、一から勉強を始めてようやく畜産農家の方に直接お話を聞きにいけるだけの知識を得ました。実際に農家を訪問して、農場での厳しい防疫対策に驚いたり、飼料の残量を把握するために、毎日高所で危険な作業をされている実情にも接したりしました。


飼料の正確な残量がわかれば、飼料メーカーや配送業の方も、効率的に製造や配送を進められるようになります。大きくいえば「飼料流通の合理化」に貢献できることを実感し、開発にもいっそう熱がこもりました。


飼料タンクの残量見える化が「飼料流通の合理化」につながる

センサーでタンク内が見える、新システム「Milfee(ミルフィー)」誕生

従来品の超音波センサーでは計測精度に限界があるため、新システムではセンサーの方式から検討しました。さまざまな飼料とセンサーを取り寄せ、どの組み合わせなら計測できるか、研究室では数百パターンの実験を地道に繰り返しました。また、計測値から残量を算出するロジックを開発しました。


製品化には、農場での検証が不可欠です。幸い当社は、「畜産分野の課題を解決する製品だ」と考えていただけるお客様のご協力により、十分な検証を重ねることができました。飼料タンク内にカメラを設置して飼料の減り方をモニタリングし、センサーによる計測値と合わせて、算出精度を検証しました。開発したセンサーはバッテリーで動くので停電にも影響されず、防水防塵で屋外での利用も安心です。


タンクの窓からは見えない「飼料」(フィード)を、センサーで「見る」ことができるという意味で、新しく生まれたシステムを「Milfee(ミルフィー)」と名づけました。


高精度の計測に「すぐ試してみたい」という期待の声

「計測さえできれば便利なのに」。多くの畜産農家は、飼料の残量管理に要する時間や作業量に頭を痛めています。しかし、そもそも技術で解決できるとは思ってもいなかったり、従来品の検証ではうまくいかなかったりしたお客様もあり、「マッシュも計測できます」と説明すると、「すぐに試してみたい」という反応が多いです。高精度に計測できる製品がついに出てきたという意味で、「黒船来航なみの衝撃だ」という言葉も別のお客様からいただきました。


「Milfee(ミルフィー)」は2021年9月に導入を始め、2021年12月現在、50農場(養牛、養豚、養鶏の各農場合計)で稼働しています。

資料タンクへの「Milfee(ミルフィー)」設置イメージ

ITの力で「日本の畜産をハッピーに」

日本の畜産業は今、深刻な人手不足に悩んでいます。生き物相手の仕事で休暇が取りにくい上、きつい肉体労働もあるからです。しかし、もしIT技術の導入で負担が軽減できるなら、農家の方には「ひと」にしかできないこと、たとえば生き物に向き合う仕事に専念していただくことができます。


「みんなの仕事をもっとハッピーに」をめざす当社は、ソリューションの提供で、日本の畜産をもっと魅力ある仕事にするお手伝いができたら、と考えています。



ーソリューション紹介ページ

 飼料タンク残量監視システム

 「Milfee(ミルフィー)」

 https://www.ye-digital.com/jp/lp/tank.php





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