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開発期間3年、妥協なく挑戦した「キャンパスノート」の進化。コクヨを代表する商品への「フラットの気持ちよさ」という新たな付加価値を実現するまでの開発ストーリー

著者: コクヨ株式会社

コクヨ株式会社(本社:大阪市/社長:黒田 英邦、以下、コクヨ)は、これまで、お客様のニーズに耳を傾け丁寧なものづくりに挑み、時代とともに変化することで進化を続けてきました。今回挑んだのは、1975年に発売以来、累計販売数約35億冊を超えるロングセラー「キャンパスノート」のさらなる進化です。本ストーリーでは、若手開発者と工場現場のオペレーターが挑むノートの新しい付加価値である「フラットの気持ちよさ」を引き出すために追求した「キャンパス フラットが気持ちいいノート」の開発ストーリーをご紹介します。


(左)株式会社コクヨ工業滋賀 製作部 小倉琢馬

(右)コクヨ株式会社 グローバルステーショナリー事業本部 ものづくり第1本部 企画開発部 神鳥 遼人

2023年12月13日(水)に発売する「キャンパス フラットが気持ちいいノート」は、キャンパスノート史上最高(※)にフラットに開くことができ、ノートを開いた瞬間に見開き1ページと捉えられるような開放的で広々した感覚を味わえるノートです。真ん中のふくらみをギュッと押さえることなくフラットに使え、ノートの綴じ部分の手当たりや書きづらさを感じずに、端から端まで気持ち良く書き込めます。

(※)当社「キャンパスノート」無線綴じ商品との比較


「キャンパスノート」の強みの原点は無線綴じ

キャンパスノートは1975年に発売。当時、コクヨはノート市場へ後発メーカーとして参入したので、競合製品よりも優れた特徴を持たせる必要がありました。そこで、当時主流だった糸綴じノートではなく、糊でノートを綴じる「無線綴じノート」を製品化しました。背を糸ではなく糊で綴じる「無線綴じノート」は、糸綴じノートよりも見開き性が良く、片方のページをはぎ取ってもバラけないことが特長です。

その後、中紙の原紙を改良したり、長く使ってもボロボロにならない背クロスを採用したり、時代に合わせた表紙デザインや多様な用途や使用シーンに対応する罫線のバリエーションを充実させるなど、進化を続けてきました。


無線綴じノートの見開き性を磨き上げて「フラットに開く気持ち良さ」を引き出したい

これまで、時代に合わせ、使いやすいノートの機能を研究しつくしてきた中で、今回は、「無線綴じノート」そのものの価値を高め、新たな価値をお客様に提供することを目指して商品づくりがスタートしました。また、新学習指導要領の導入やデジタルツールの導入などで、大きく変わる学生の学びの環境変化から自主学習の重要性が高まり、自主学習シーンでのノートの使われ方も変化していることに注目。学生が求めている「使いやすさとは?」の検討を重ねました。

神鳥らコクヨの開発チームが辿りついたのは、無線綴じノートの特長である見開き性をさらに高め「フラットに開く気持ち良さ」を追求することで、見開き1ページを広々と使う新たなノートの使い方を提案できるのではないか。という思いでした。


100通り以上の検証。「不良品を正規品に!」価値観の転換に挑戦

これまでフラットに開くノートはありましたが、今回、より多くの人の手に取ってもらえるように、価格を抑えつつたくさん作るということがとても高いハードルでした。さらに、どうすれば「フラットが気持ちいい」を体感してもらえるかを実現するために製造方法にこだわり続け、約3年の開発期間がかかりました。


「キャンパス フラットが気持ちいいノート」の製造ライン


従来のノートは、使用環境や期間に影響されず綴じたページがバラけないよう、強度の高い糊を使い、糊付けもある程度の深さまで浸透させています。そのため、糊付けが浅く、ページが開きすぎてしまうものは「背割れ」と呼ばれ、工場では不良品として扱います。「しかし、今回のフラットに開くノートでは、この「背割れ」の限界まで挑戦する必要があり、開発当初、安全で確かな品質の商品を届けたい関係者からは本当にそんな製品ができるのかと不安視する声もありました。」と開発者の神鳥は振り返ります。

この不良品とされる「背割れ」の状態を良品として成立させることに挑戦するため、神鳥がこだわったのは、中の紙と背の部分を繋ぎとめる「糊」と、糊の塗り方で決まる「製本」の部分。今回、フラットな開きを実現するために、30種類以上の糊を試し、糊の塗り方のパターンも掛け合わせて100通り以上の検証をくり返し、糊の幅をミリ単位で薄くすることでフラットな見開きを実現しました。


「背割れ」の状態


「バラけない」「フラット」の両立を目指し「糊」を変更

キャンパスノートが採用する無線綴じは、1ページの倍のサイズの紙を半分に折り、折った部分を背側として、背側に糊付けされ製本されます。従来のノートは、強度に特化した糊を用い、使っていてページがバラけないよう、糊付けも深く浸透するように調整しています。今回は、強度とフラットに開くことを両立させるために新しい糊を採用しました。さらに、糊が深くまで入り込むとその分、開きが小さくなってしまうので、バラけないけど最大に、そしてフラットに開く状態のバランスを取ることに試行錯誤しました。

あまりに高かった自動化のハードル。機械トラブルが大きな壁を超えるきっかけに。

今回のフラットに開くキャンパスノートでは、製本技術に革新があります。

「詳細は企業秘密ですが、糊を薄く均一に、そして安定的に塗ることを自動機で可能にしたのです。」と、神鳥。

「本当にしんどかったことは、フラットに開く試作ができたとしても再現性が全くなかったことです。今日はうまくいったと思って、次の日同じようにやると全くできないということがざらにありました。そんな状態が続いていたときに、機械トラブルによりある工程のみ別の機械で行うことになったのですが、これが転機でした。」

トラブルが起こったのは、製本するために印刷された中紙を束ねる「丁合」という工程でした。

丁合工程の機械トラブルにより、試作とは別の機械で丁合を代用していた時に、

「丁合の⼯程には自動化に向けた解決の⽷⼝はないと誰もが思いこんでいたけど、調整したらこの問題を乗り越えられ、求めていた仕様が実現できるのでは︖」 と 神⿃は気づき、現場の⼩倉に相談しました。

「たしかに、 従来品を⽣産する上では当たり前に問題なく進む工程なので、丁合の部分には着⽬していませんでした。また、求めていた仕様を満たすには絶妙な調整が必要なので、自動機での量産には向いていないと考えていました。しかし、代替機を参考に丁合工程の一部設定をアレンジしてみると、糊が深く入り込まず求めていた仕上がりが実現できました。」と⼩倉は振り返ります。

「これだ!」とたどり着いた糊との相性も良く、使用に問題のない強度を保ちながら、フラットな開きを実現できました。これまでの当たり前を見直すことで壁を突破できた瞬間でした。


使いやすさのために、一つの妥協も許さない「1ページ目」へのこだわり

さらに、見直したのが1ページ目です。

皆さん、1ページ目が裏表紙に強く糊付けされているため、1ページ目は使いづらいと感じたことはないでしょうか?神鳥はこの1ページ目にもこだわります。

「お客様からのヒアリングで、1ページ目がめくりづらく、1ページ目を使わない方も多くいることがわかりました。すべてのページを気持ちよく使っていただきたかったので、その課題も今回解消したいと強くこだわりました。」

1ページ目の糊付けが深くなっているのは、ページがバラけにくいよう、強度を守るためです。社内でも当然、そんなことをすれば中紙がばらけてしまうという心配する意見が上がり、激しい議論を繰り返しました。しかし、神鳥や企画開発チームの思いは強く、なんとか糊の性能と独自の製本技術を駆使し、1ページ目もフラットに開きながら、ページをしっかりと保持する強度もある仕上がりに調整していきました。


1ページ目の開きの比較:(左)フラットが気持ちいいノート(右)一般的なノート

数mmのズレも許されない。プロの技による絶妙な調整。

今回の商品は、生産工程のさまざまな部分で絶妙な調整が必要な商品です。

自動化とは言いつつも、実際その機械を熟知し、思い通りに動かせるオペレーター(機械操作者)の存在は、必要不可欠でした。「試作では、数mm単位の調整が必要な場面でも、機械の性能上、数mmのずれが発生することが多々ありました。その誤差をどうやってなくすか、どうやって許容するのかを日頃の生産で培った経験をもとに調整していきました」と小倉は振り返ります。

開発の神鳥は、共に困難を乗り越えた小倉について「試作の度に、次はこんなことをしたいと要望をお伝えするのですが、難しい内容でもまずは一緒にどうすればできるかと前向きに考えてくださりました。また、機械のことを熟知されているので、何ができて何ができないかをすぐに教えてくださり、開発スピードも上がりました。」と感謝します。


フラットの気持ち良さをぜひ体感してほしい

こだわり抜いたフラットの気持ち良さ。神鳥と小倉は、「開発メンバーも工場メンバーも「本当にできるのか?」と今までにないドキドキ感の中で挑戦してきた商品です。また、3年間の開発期間、本当にたくさんのメンバーが協力し、やっとできた商品です。このフラットに開くノートが、新しいノートの使い方や学習の仕方につながってほしいです。」と、商品として紹介できる日が来たことを喜びます。ぜひ手に取ってフラットの気持ち良さを体感してみてください。



『キャンパス フラットが気持ちいいノート(ドット入り罫線)』

プレスリリース:

https://www.kokuyo.co.jp/newsroom/news/category/20231205st2.html

商品HP:https://kokuyo.jp/pr/campus_flat/






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