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「震災の記憶や教訓を風化させることなく、次世代に伝えていく」コロナ禍で東日本大震災の語り部活動を映像化する意義

著者: JCOM株式会社

東日本大震災から11年を迎えましたが、

時の経過と共に、コロナ禍の影響もあり、現地を訪れる方々が減少し、対面で語り部の活動を行う機会が少なくなっているという課題が浮き彫りとなっています。


このような状況下でも、震災の記憶や教訓を風化させることなく、次世代に伝えていくため、JCOM株式会社(以下、J:COM)は、震災伝承の連携組織「3.11 メモリアルネットワーク」と協働で語り部の活動を『震災アーカイブ「未来へつなぐ 語り部の声」』として映像化し、J:COM の特設サイト(https://www.jcom.co.jp/corporate/csr/shinsai/)および J:COM オンデマンドにて現在7本を無料配信しています。

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そこで今回は、語り部活動の映像化までの経緯や想いについて、プロジェクトを担当した西嶋 麻凜がお話いたします。

西嶋 麻凜

「震災アーカイブ」のプロジェクト担当。

2015年J:COM入社。千葉県の木更津局で法人営業等を担当した後、2018年より渉外室(現 渉外・広報室 広報部)でCSR業務を担当。広島県出身。


「震災の記憶や教訓を風化させることなく、次世代に伝えていく」

■まずは今回の『震災アーカイブ』の全体像を教えてください。

(西嶋)

東日本大震災後、当社では中長期的な取り組みとして、震災の復興支援に関する募金の呼びかけ等を実施していましたが、発災から5年を迎えた2016年より、“震災の記憶や教訓を風化させることなく、次世代に伝えていく”ことを目的として、「震災アーカイブ」と題した新たな映像配信の取り組みを始めました。


語り部活動を映像化する『震災アーカイブ「未来へつなぐ 語り部の声」』シリーズは、

昨年(2021年3月)から制作・配信を始め、現在7本を無料配信しています。

これ以外にも、日本ケーブルテレビ連盟東北支部が制作した震災関連の映像作品を配信しており、J:COMオンデマンドでは21作品、当社の特設サイト(https://www.jcom.co.jp/corporate/csr/shinsai/)では、13作品をご視聴いただけます。


また、一部の作品は「募金オンデマンド」として有料配信し、J:COMがその視聴料と同額を加算し、東日本大震災に関する活動を行う団体へ寄付をしています。

コロナ禍において伝承活動の取り組みの継続が難しい現状を知ったことがきっかけ

■語り部活動の映像化したきっかけを教えてください。

震災から10年となる2020年に、震災アーカイブの取り組みをどのような形で継続していくべきかを検討している中で、語り部の方々の活動に出会ったことがきっかけです。


震災に関する支援活動を継続する中で、時の流れと共に世間の震災への関心が低下しつつあることや、コロナ禍において伝承活動の取り組みの継続が難しい現状を知りました。

元々当社が震災関連の映像作品を配信してきたのも、「震災の記憶や教訓を風化させることなく次世代に伝える」という趣旨で、語り部の方々の活動と、目的が合致していると強く感じました。東北の語り部の方々の活動に焦点を当てた映像を全国にお伝えすることで、防災意識の醸成につながり、各地域の減災の一助になるのではないか、そしてコロナ禍で活動が難しい語り部活動への一助になれば、という想いから企画しました。


また、個人的に「伝承活動」そのものに強い興味を持っていたことも一つのきっかけです。広島県出身の私は、幼い頃から戦争を体験した語り部の方々のお話を聞く機会が多くあり、その記憶は今でも鮮明に残っています。戦争を経験した方が語るありのままの言葉が深く心に刺さり、後世に伝えないといけない教訓があること、忘れてはいけない記憶が確かにあることを強く感じる原体験となりました。災害の記憶を伝える活動とメッセージの内容は異なりますが、子どもの頃に感じた「伝承」の重要性は、この企画を進めていくにあたって大きなポイントとなりました。



普段の語り部の方々の活動いかに“忠実に”“熱量がそのまま伝わるように”再現・収録

■語り部の映像化を進めるうえで苦労したことなどはありましたか?

この企画は、語り部の方々の活動を、記録として忠実に残す、というコンセプトのもと制作をしているのですが、いかに「忠実」に再現・収録するか、という部分が特に苦労しました。


語り部の方々は、普段対面でお話をされる機会が多いそうですが、映像でも熱量がそのまま伝わるように再現したい、と様々な工夫をおこないました。普段の講話の様子に加え、インタビューの形で活動されるきっかけとなった出来事をお聞きしたり、現地の風景、実際に案内している場所等も映像におさめたりすることで、前後の文脈も正しく伝えられるよう意識して構成しています。この企画で協働している3.11メモリアルネットワークの皆さまは、語り部の方々の普段の活動をよくご存じの為、そういった「忠実さ」の部分についても様々なご意見をいただきました。多くの方の力をお借りしながら制作した映像です。語り部の方々の熱意が、映像からしっかりと伝わることを願っています。


また、コロナ禍での収録だった為、健康管理や感染対策の点でも常に最新の注意を払う必要があり、苦労しました。関係者・スタッフみな健康に、無事に収録を終えることができ、とてもほっとしました。


全国各地で地域密着の事業をおこなう企業として、映像を通じて地域の防災・減災に貢献することが当社の使命

■J:COMが語り部活動を映像化する意義をどのように考えていますか。

当社は全国に66か所の営業拠点があり、対面での営業・サポートや、コミュニティチャンネルを使った放送等を通じ、様々な地域に情報発信をしています。全国各地で地域密着の事業をおこなう企業として、映像を通じて地域の防災・減災に貢献することが当社の使命だと考えています。


今後発災が予想されている南海トラフ巨大地震は、太平洋側を中心に、広い地域に影響が出ると言われています。東北で起こった災害の教訓を、その場所だけで伝えていくのではなく、東北から全国へ、さらに広い場所に向けて発信することにより、各地での防災・減災につなげていく必要があると感じています。

当社の事業地域の幅広さを活かし、震災の教訓を一人でも多くの方に知っていただき、自分事化していただけるよう取り組んでいきたいと考えています。



映像を見て自分事化してもらい、自分の身に災害が起きた際にしっかり行動に移してもらい防災・減災につなげていってほしい

■語り部の映像をどのような人に見ていただきたいですか?

今後来ると言われている南海トラフ巨大地震等、発災が予想されている地域にお住いの方々や、震災を知らない世代、今後社会を担っていく次世代の方々に見ていただきたいです。


■最後に「震災アーカイブ」に込めた担当者としての思いを聞かせてください。

近年、特にコロナ禍で、被災地や伝承施設に足を運ぶ方が減っていると聞いており、語り部の方々に対しては、是非オンラインを通じた活動の中に活かしていただければと考えています。そして、WEBの映像をきっかけに知っていただき、コロナが落ち着いた際には、現地へ行って直接話を聞いてみよう、と思う方が増えることを願っています。


また、最終的には、語り部の方々のメッセージを自分事化して捉えていただき、自分の身に災害が起きた際、教訓を元に行動できる方が一人でも増えることを願っています。

この映像を通し、少しでも各地の防災・減災に貢献できればと思います。




◆『震災アーカイブ「未来へつなぐ 語り部の声」』概要

<映像タイトル>

『震災アーカイブ「未来へつなぐ 語り部の声」』

<特設サイト>

https://www.jcom.co.jp/corporate/csr/shinsai/

<2021年度作品>

・福島県いわき市編 : 語り部 小野 陽洋さん(いわき語り部の会)

・宮城県石巻市編 : 語り部 髙橋 匡美さん(命のかたりべ)

・岩手県陸前高田市編Ⅱ : 語り部 淺沼 ミキ子さん(陸前高田「ハナミズキのみち」の会)

・宮城県牡鹿郡女川町編 : 語り部 田村 孝行さん・弘美さん(一般社団法人 健太いのちの教室)

・宮城県名取市編 : 語り部 丹野 祐子さん(一般社団法人 閖上の記憶)

<見どころ>

3.11メモリアルネットワークと協働し、語り部の方々の活動の模様を映像化。

今年度は5作品を制作し、岩手県陸前高田市、宮城県牡鹿郡女川町、石巻市、名取市、福島県いわき市で活動されている語り部の方々の映像を新たに公開しました。

今後も、減災・防災活動に役立てていただくため、シリーズとして随時作品を追加していきます。コロナ禍もあり、対面で触れる機会の少ない語り部の方々の体験を、映像を通して次世代へ伝承していきます。




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