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石川県のソウルフード「さぶろうべいの ”とり白菜鍋”」を100年ブランドに。 〜さぶろうべい事業承継ストーリー〜

著者: 株式会社SU-BEE

「さぶろうべいの”とり白菜鍋”を、石川県のソウルフードとして次世代へ繋ぎたい」

創業70年を目前に控えていた2014年、「さぶろうべい」は同じく石川県で葬儀業を営んでいた株式会社サイエン(後に飲食事業部が分社化し、株式会社SU-BEEとなる)に、想いと共に事業を引き継いだ。


【さぶろうべいのこれまで】

さぶろうべいは、昭和25年(1950年)に高橋三郎平氏が、石川県かほく市で創業。創業前より営んでいた自動販売機センターとゲームセンターの営業を行いながら、養鶏場を営み、土日にはその卵をゆで玉子にして、当時は珍しかった直売所として販売し大成功した。その後、ゆで玉子の直売所を営みながら、隣に三郎平氏が自ら建てた小屋で「さぶろうべい食堂」をスタートした。しかし、開業時のメニューには、現在のメインメニューである「とり白菜鍋」は無く、丼や定食をメインとしたメニューだった。


ゆで玉子の直売所は好調が続いたが、卵を産まなくなった”ひねどり(廃鶏/親鶏)”の廃棄も増加していた。そのことに目をつけ、廃棄されるひねどりを使ったメニューを考案。身は具材として使用、皮を煮込むことにより抽出される鶏油を味のアクセントとし、卵まで使用した「とり白菜鍋」が誕生した。また、炊いた鶏皮も「とりかわ」として提供。現在では「とり白菜鍋」に並ぶ人気メニューである。幼少期は野草を食べて飢えを凌いでいた三郎平氏による、生命を無駄にせず使い切ろうとする精神があったからこそ、産まれた産物が「とり白菜鍋」と「とりかわ」なのだ。

写真:とり白菜鍋

写真:とりかわ


高橋三郎平氏の息子である、高橋誠治氏が後継として二代目店主となり、誠治氏の妻である千恵子氏が、女将として40年以上にわたって休みなく働き「さぶろうべい」を守っていた。そんな中、誠治氏が病気を患い、お店に立てなくなってしまった。誠治氏は、父から引き継いだ「さぶろうべい」を絶やしてはならないと、常日頃から口にしていた。年齢的にも、千恵子氏だけでその想いを引き継ぐのは難しい。そう考え、誠治氏と千恵子氏は、事業を引き継ぐことを決意し、地元の金融機関に相談することにした。


【株式会社サイエンとの出会い】

相談を受けた金融機関から、リストにいっぱいの候補企業を提案された。また、それ以外にも取引のあった醤油屋や、食材卸業者からも直接打診があった。それくらい「さぶろうべい」は、地域に欠かせないソウルフードとして根付いていた。誠治氏と千恵子氏は、借金がない事と社長の人柄が良い事、この2つの条件をもとに、一社一社面談をしていった。そこで出会ったのが、石川県で葬儀業を展開する、株式会社サイエンだ。


株式会社サイエンの社長である山﨑は、父親から事業を引き継いだ2代目社長である。山﨑は、北陸エリアではいち早く家族葬を取り入れるなど、事業の拡大を図るだけでなく、自身の代で新しい事業を創造しなければならないという想いを持っていた。そして2013年、金融機関を通じて、さぶろうべいの事業承継の提案を受けた。もちろん、さぶろうべいは顧客としても利用しており、山﨑にとっても身近なお店だった。飲食業の経験はなかったが、合理化されたオペレーションに魅力も感じていた。


山﨑は、プロ視点での客観的意見が聞きたいと思い、当時大阪で飲食店を数店舗運営する企業を立ち上げていた田端に連絡をした。同郷の先輩である山﨑から、「見てほしい飲食店がある」と電話を受けた田端は、山﨑と一緒にさぶろうべい高松店に向かい、初めて「とり白菜鍋」を食し、衝撃を受けた。そして山﨑に対し、その場で「絶対に受けるべきです!」と伝えた。


そして両者の面談の時。山﨑と面談した誠治氏と千恵子氏の意見はその場で一致した。まさに“一目惚れ“のような感覚だったという。まずは株式会社サイエンの飲食事業として引き継ぐ事となり、その後、株式会社SU-BEEとして分社化した。事業を引き継いだ数年後、誠治氏が他界。想いは株式会社SU-BEEに引き継がれた。

写真:(左/女将の千恵子氏、右/株式会社SU-BEE 代表取締役 田端)


【スタートは課題だらけ】

株式会社SU-BEEの社長として田端を迎え入れ、まずはお店の現状とスタッフ達の事を知ることからスタートした。50店舗以上を展開する上場外食企業で、副社長としてチェーンオペレーティングを経験していた田端が、自ら現場に入り現状を確認。すると、知れば知るほど深さを増すスタッフとの溝、そして山積みの課題。手を打てば打つほど離職者が増え、ついには店舗の営業ができない状況に。募集をかけるも、地元では職場の評判が悪く全く集まらない。同じ時期に売上金の横領も発覚するなど、スタートは困難の連続だった。気付くと、事業を承継した際のスタッフの8割が離職。社員からの反発は特に強く、残ったのはたった1人だけだった。


「さぶろうべい」には唯一無二の魅力があり、ビジョンが間違っていないという自信はあった。しかし、これまでの個人店特有の、旧態依然の考えが当たり前となっている既存スタッフにはなかなか伝わらない。田端は「さぶろうべい」を石川県を代表するソウルフードにするため、外部から飲食のプロをスカウトした。大手回転寿司チェーン企業で、複数店舗を統括していた現在の事業部長山田だ。山田とともに、まずは店舗の衛生管理、採用、メニュー改変と、ひとつずつ着実に進めていった。


【きっかけは“新規出店”】

変化をよりわかりやすく伝える方法として、田端は大きな決断をする。石川県小松市に新規開業するイオンモールへの出店である。地方在住の人にとって、商業施設は特別な存在。そんな大きな施設に「さぶろうべい」が出店する。スタッフはみんな信じられない様子だった。オープン初日には、事業譲渡を決断してくれた千恵子氏を招待した。千恵子氏からは、何度も「ありがとう」と伝えていただいた。そして「もっと”さぶろうべい“を有名にして!」との励ましもいただいた。

写真:さぶろうべいイオンモール新小松店


2017年3月のイオンモール新小松への出店以降も、様々な手を打ってきた。老朽化し、暗いイメージになっていたさぶろうべい本店である高松店を「三世代で過ごせる、もう一つの食卓」をテーマとして、お座敷やテーブル席、洋式トイレを増設するなどリニューアルを実施。同時期に、メニュー構成も大幅に改変。少しずつ、高齢者中心の客層から、30〜40代のファミリー層や女性グループの割合が増えてきていることを実感した。


2019年には、金沢市のベッドタウンであり、「住みよさランキング2020」にて全国総合1位に選ばれた野々市市にも新規出店をすることができた。オープン直後からコロナ禍に突入してしまったにも関わらず、売上は順調に推移。承継した2店舗(藤江店、高松店)に関しても、承継当初と比較して2021年実績で150%と好調だ。


【個人商店から会社への変化】

実は女将の千恵子氏は、さぶろうべい本店にてパートとして勤務し、さぶろうべいを守っている。誠治氏のお墓参りの際は、「いい人たちに継いでもらったね」といつもと伝えているという。承継以前から残ってくれた社員は1人だけとなったが、今では9人の正社員が在籍してくれている。男女の比率もほぼ半々となり、9人のうち5人はアルバイトから社員の途を選んでくれた。

写真:本店にパートとして勤務する千恵子氏(左)


承継前から、ただ1人残ってくれた社員の紺谷さんは、2022年5月31日で定年を迎える。「あの時、自分も辞めようと思っていた。でも、これからさぶろうべいがどんな風に変わるのかという興味が勝った」と言う。実際に、様々なことが少しずつ変わっていった。まともに数値管理もしていないところから、「原価とは?人件費とは?水光熱費率の適正値とは?昨年対比とは?」といった、飲食店にまつわる数値を当たり前のように管理するようになり、まさに「個人商店」のような感覚から、しっかりと「会社」に変化したのだ。

これ以上「お店を増やす」ことなど考えられなかったのが、「増やすことができるかもしれない」というふうに、未来を考えられるようになるなど、気持ちの面でも大きな変化を感じていた。紺谷さんは、定年後も嘱託社員として、さぶろうべいの裏方として勤務してくれることが決まっている。それは、「さぶろうべいへの恩返し」だと語ってくれた。

写真:社員の紺谷さん


【さぶろうべいを石川県のソウルフードに】

事業を引き継いだ際に、2代目店主の誠治氏と女将の千恵子氏に3つのことを約束した。


1)「さぶろうべい」の名前を絶やさない

2)「さぶろうべい」を大きくする

3)三郎平氏が開発した”秘伝のたれ”の味を変えずに守る


この約束を守りつつ、田端は下記2つをミッションとして掲げている。

・「さぶろうべい」を100年ブランドにする。

・「さぶろうべい」を石川県を代表するお店にする。


2022年時点で、さぶろうべいは創業72年。100年まであと28年ある。そうなると大きな課題となるのは、お客様とスタッフの高齢化である。次の世代に繋がなければ、未来の繁栄は見込めない。子どもたちや若い世代にも、さぶろうべいの味を伝え、たとえ石川県を離れても、帰ってきた時に食べたくなるソウルフードとして、さぶろうべいを繋げていきたいと考えている。石川県を代表するお店になるために、まだまだ県内でも出店余地がある。当面の目標は県内に10店舗。直営だけでなく、フランチャイズ展開も視野に入れて取り組んでいく。


【事業承継成功請負企業を目指して】

さぶろうべいを引き継いで約7年。様々な苦労もあったが、ようやく拡大路線に入った。さぶろうべいの拡大はもちろん、株式会社SU-BEEとしても、強みであるオペレーションと企画力を活かして、地方では特に深刻になっている”事業承継問題”の解決に、積極的に取り組んでいくつもりだ。さぶろうべいの事業承継の成功により、地方の小規模事業者の事業承継に関する相談を、様々なところから受けるようになった。地方ならではの問題を解決するために、株式会社SU-BEEは事業承継成功請負企業として、今後も積極的に“事業承継”に関わっていく。



【さぶろうべい店舗一覧】

■さぶろうべい 高松本店

石川県かほく市高松丁42

TEL: 076-281-0529

営業時間 : 11:00~21:00 (L.O 20:45)


■さぶろうべい 藤江店

石川県金沢市藤江北4-472

TEL: 076-266-1555

営業時間 : 11:00~14:30 (L.O 14:00)、17:00〜22:00 (L.O 21:45)


■さぶろうべい イオンモール新小松店

石川県小松市清六町315番地イオンモール新小松1F

TEL: 0761-46-6736

営業時間 : 11:00~21:00 (L.O 20:30)


■さぶろうべい 野々市店

石川県野々市市本町6丁目13-29

TEL: 076-259-1751

営業時間 :平日11:00~14:30(L.O 14:00)、17:00~22:00(L.O 21:40)

      土日祝 11:00~22:00(L.O 21:40)

 

■さぶろうべいSTORE

https://saburoubei-shop.stores.jp/



【公式アカウント】

HP: https://saburoubei.jp/

Twitter: https://twitter.com/saburoobei

Instagram: https://www.instagram.com/saburoubei_326/

TikTok: https://www.tiktok.com/@saburoubei

 


【会社概要】

会社名: 株式会社サビー(SU-BEE.CO., LTD.)

所在地: 石川県金沢市玉川町9-15

代表者: 代表取締役社長 田端 弘一

設立 : 平成27年11月

URL : http://su-bee.jp/

事業内容: 飲食店の経営及び運営、飲食店の企画及び経営、運営に関する

コンサルタント、コントラクト事業、グリーン事業、農業





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