全国100万社の決算データから生まれる信頼。「McSS(中小企業経営診断システム)」が目指す「データによる経営支援」とは?
CRDビジネスサポートは、全国の信用保証協会および金融機関が会員として参画する一般社団法人CRD協会の子会社として、中小企業の経営を全国100万社の決算書データでサポートする「McSS(中小企業経営診断システム)」を、中小企業診断士や税理士をはじめとした士業および法人の皆様へ提供しています。
McSSは信用保証協会および金融機関向けの企業財務診断ツールとして15年以上の実績を持ち、2017年の士業向け版のリリース前から業界内での認知度は高かったものの、開発経緯やご利用の様子を広くお伝えできる機会はなかなかありませんでした。
そこで、McSSの源泉であるCRDデータベースの歩み、士業向け版のリリースに至るまでのストーリー、そしてツールご活用の様子を、ユーザーの声を交えてお伝えしたいと思います。
・HP:https://www.crd-office.net/CRD-BS/service/mcsspro/index.html
■国内最大規模のデータベースで「データに基づいた信用力評価」をリード
CRDは2001年に、全国52(当時)の信用保証協会と金融機関の参画のもとに発足しました。
従来の日本の中小企業金融では、決算書の数字よりも不動産担保や社長の個人保証ばかりが重要視されていました。そのような状況への危機感を元に、データに基づいた「共通の物差し」を導入することを目標としたのですが、中小企業の決算書は粉飾だらけで当てにならないとされていた当時、信頼に足るデータベースを構築することは想像以上に困難でした。
そもそも信用保証協会と金融機関において、顧客データの肝である取引先の財務データを(匿名化したものとはいえ)外部へ提供すること自体が前代未聞でした。当時まだ実績のないCRDへのデータ提供を依頼するには、担当者が全国を奔走するところからのスタートだったのですが、電話口で門前払いされることも多く、ようやくアポイントを取り付けても「何に役立つの?」という質問が飛んでくることが少なくなかったそうです。また、データを収集する際にも、各機関によって保有する項目が異なり統一できないなど、解決すべき課題は他にも山積していました。
そのような困難の中でも「データを駆使して、中小企業の信用力評価の情報インフラを構築する」という信念を貫き、会員機関の協力を得て、データ項目の選定、膨大なデータの収集整理、企業の評価結果を算出するスコアリングモデル開発を進め、データベースの有用性の実証を繰り返していきました。今では、CRDには全国の中小企業の財務データが絶え間なく集積されるようになり、集積データは毎年全国100万社を超える、国内最大規模のデータベースへと成長を遂げています。
■キーワードは『地方創生』:地方経済の担い手支援のためMcSSに白羽の矢が立った
その後、第2次安倍改造内閣では、政策課題として『地方創生』が取り上げられていました。そして地方経済を支えている中小企業への支援が不可欠であるとして、政策指揮を執る『まち・ひと・しごと創生本部』から、CRD協会への協力要請があったのです。「地域経済を担うプレーヤーに対する支援のため、企業診断ツールのノウハウを、地方経済の担い手にも広く拡大していくように」という要望書が手渡されました。
それはまさに、データという根拠によって決算書を分析し、中小企業金融の円滑化に寄与してきたCRDのそれまでの取り組みが評価され、今後への期待が示された瞬間でした。そして、CRD会員のみに利用が限定されていたMcSSを、中小企業自身や中小企業を支援する中小企業診断士や税理士の皆様に広く利用いただけるよう、「士業向けMcSS」を新たにリリースすることが決定されました。
■士業向けMcSSとは
・全国100万の中小企業データが集結
全国の信用保証協会の保証料率決定にも利用されている「CRDモデル」により中小企業の財務状況を診断し、全国約100万社の中小企業における信用力の位置付けを偏差値や順位で表示する、中小企業のための経営分析ツールです。
金融機関と同じ目線での評価を、自社または顧問先についてわかりやすく確認できるよう、数字の羅列を避けてグラフや表をふんだんに用いているほか、モデルの評価結果を日本人になじみ深い偏差値に変換して表示することで、企業の立ち位置が一目で認識できるようにしています。
このほか、どのような点を改善すると財務内容が改善し偏差値が上がるのかを図表を用いて解説した財務面の強み・弱み、また同業他社と比較した財務指標の良否やキャッシュフロー分析結果をグラフ等でわかりやすく表示します。
・McSSの詳しい説明はこちら:https://www.crd-office.net/CRD-BS/service/mcsspro/product.html
顧問先や金融機関とのコミュニケーションツールとして、また企業への経営支援ツールとして、幅広くご活用いただいています。
■中小企業診断士や税理士の皆様から、経営改善ツールとして支持されるように
中小企業の財務分析を行うツールでありながら、それまでのMcSSはいわば信用保証協会と金融機関専用のツールであり、融資などで金融機関と接点がある企業しか情報を手に入れられなかった点がネックでした。
利用拡大の結果、企業により近い立ち位置の中小企業診断士や税理士の皆様に情報を届けられるようになり、中小企業の経営改善に役立てられる場面が増え、「金融機関の評価基準が中小企業側からもわかるようになった」と歓迎する声が寄せられはじめました。
評価結果が「金融機関との共通の物差し」となって、「企業が財務において何を改善すれば経営を改善することができ、よりよい融資条件につなげられるのか」を見通せることが反響を呼び、士業向けMcSSは、特に財務分析に造詣の深い中小企業診断士、税理士を中心としたユーザーに広まっていきます。
そのうちのお一人の声をご紹介します。
中小企業診断士 安田 順 様
金融・財務に詳しい「中小企業の外部CFO(財務責任者)」として、実質無借金の会社から再建まっただ中の会社まで、幅広く経営のサポートに携わっている。著書多数。士業向けMcSSはリリース以来のユーザー。
―継続的なご利用の決め手は何ですか?
まずは自分自身の使用感です。私は金融機関出身で、これまで財務を専門に中小企業の経営を支援してきました。決算書のどの辺が悪いと融資が受けられなくなる等は、だいたい分かっているので、McSSがはじき出すスコアがかなりリアルなものであることにはすくに気づきました。たとえば、McSSでは、自己資本比率が15%の会社でも、現金が少なく、かつ借入の多い会社は、最下位のEランク判定が出る場合があります。金融機関の見方をよく反映しているなあと感心しました。それから興味を持つようになり、McSSのスコアと財務指標の相関分析を行ったりして、使い方を研究しています。
実際にデータを見てみると、McSSの下位のEランクやDランク、特にEランク判定の中小企業の多くはリスケしていますね。このことからもMcSSと金融機関の評価がリンクしていることが分かります。下位ランクの大きな特徴に、「売上高支払利息割引料率が著しく高い」という点があります。この指標がポイントなんだな、ということを最近すごく意識しています。
話は変わりますが、消費財メーカーが全国に点在する販売店に対して行う与信管理にMcSSを使って成果をあげています。私が請け負っている業務は、主に販売店の財務内容をMcSSで分析し、メーカーにアドバイスをすることですが、必要に応じて販売店の社長と直接面談することもあります。この取り組みで、財務に対する意識が高まり、多くの販売店がランクアップに成功しています。
■より洗練された「データによる経営支援」を
安田様のように、企業にとって最も身近な経営サポーターである中小企業診断士や税理士の皆様にMcSSをご利用いただくことで「データで中小企業を支援したい」というCRDの理念が広まり、CRDのデータが企業の実際の経営改善にダイレクトにつながる手応えを感じられるようになってきました。
最近では士業の皆様のみならず、自社や関連会社の財務状況を確認したいという企業様によるユーザー登録も増えてきています。
コロナ禍を経て、多くの中小企業がかつてない困難に直面しています。危機を乗り越え地域経済を再活性化するためにも、中小企業の財務の将来像を見通し、現状を改善していく力が今まで以上に求められていると言えるでしょう。このような環境の中でも経営努力を怠らない企業経営者やそのサポーターの皆様をより強力に支援するため、CRDビジネスサポートはツールの提供やレポートによる情報発信などの「データによる中小企業の経営支援」をより洗練させ、地域経済活性化への取り組みを続けてまいります。
■無料トライアルキャンペーンを実施中
2022年9月末まで、サービスリリースから5周年となることを記念して、実際のMcSSの経営診断をお試しいただけるキャンペーンを実施しています。
・キャンペーン詳細: https://www.crd-office.net/CRD-BS/topics/xcpa01.html
この機会にたくさんの方にMcSSを知っていただき、より多くの中小企業の経営支援の一助となれましたら幸いです。
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