食器を通じて豊かな時間を。洋食器文化を牽引してきた創立120年の食器メーカー『ノリタケ』による新たな価値提案とウェルビーイングへの想い。
2023年11月17日 22時27分
株式会社ノリタケカンパニーリミテド
1904年の創立以来、約120年にわたり世界中で愛されてきた食器メーカー、株式会社ノリタケカンパニーリミテド(以下、ノリタケ)。1914年に国産初のディナーセット、1935年には日本初のボーンチャイナを完成。その後も、それぞれの時代に求められる商品開発や取り組みによって日本の洋食器文化を牽引してきました。そんな老舗食器メーカーノリタケでは今、直営店における体験型イベントや、WEBコンテンツという形で、新しい価値提案に力を入れています。本ストーリーでは、こうした取り組みに込めた想いについてお伝えします。
ノリタケ アーカイブコレクション カップ&ソーサー(黒絵瓔珞文)
いつの時代も愛されるブランド力と企業精神
優れた品質と高いデザイン力はもちろん、一貫して「良品主義」にこだわり、これまでノリタケは支持されてきました。創業者である森村市左衛門が掲げた「我カ社ノ精神」に基づいて定められた社是、「良品」、「輸出」、「共栄」が社員一人ひとりに受け継がれ、現在でもその精神はノリタケのものづくりやサービスに息づいています。
長く世界中で愛されてきたノリタケですが、国内一般市場においては、高度成長期における良い食器を持つことがステータスだった時代は終わり、手頃さや実用を重視する消費者の増加、核家族化や未婚・非婚家庭の増加、長く続くデフレ、そしてSPA(製造小売業)の台頭など、食器市場を取り巻く環境が大きく変化し、他の食器メーカー同様この20年間は苦戦を強いられてきました。そんな環境の変化の中、ノリタケスクエア名古屋をプラットフォームにした活動を開始し、それが実を結びつつあります。
お客様から寄せられる食器との歴史や思い出
2001年にノリタケは100周年記念事業の一環として、創立の地に複合施設「ノリタケの森」をオープンさせ、日本最大の直営旗艦店舗「ノリタケスクエア名古屋」を開店しました。それまで国内市場において、百貨店などを中心に販売してきた私たちにとっては、ノリタケスクエア名古屋の運営は発見の連続でした。
開店以来、近隣からはもちろん、海外を含む遠方からも多くのお客様に来店していただきました。中でも、ノリタケ食器を長く愛用してくださっている方々と会話する中で、一人一人にノリタケ食器への思いがあることを知りました。祖父母の代から受け継いできたディナーセットの謂れを知りたいという外国人や、ノリタケの食器をコレクションしていた母親との思い出を懐かしく語って聞かせてくれる方などにご来店いただきました。多くのお客様との会話の中で、家族や仲間と囲む食卓で使われる食器には、食器そのものの価値だけでなく、使う人それぞれの歴史や思い出が生まれるのだということを実感しました。同時に、そんな商品をユーザーのもとへ届けられる誇りと大きな責任を感じる機会となりました。
こうした経験からノリタケスクエア名古屋では、食器の販売だけにとどまらない食卓文化の発信に力を注いできました。紅茶やコーヒーについて学ぶセミナーやシェフによる盛り付けのデモンストレーション、子供たちを対象とした参加型の卓育イベントなど、「食卓から広がる心地よい暮らし」をテーマに発信を続け、これまでに実施したセミナーの数は150回以上に上ります。
このように食卓文化の発信を続けてきたノリタケですが、新型コロナウイルスの発生に伴う行動規制により、他の小売業同様、ノリタケスクエア名古屋の来客数は大きく減少しました。これまで積み上げてきたユーザーとのタッチポイントが分断される状況となってしまったのです。
成長するオンラインショップと体験共有という課題
一方、ノリタケスクエア名古屋の来客数減と反比例する形で活況となったのがオンラインショップです。新型コロナウイルス発生前の2019年度と比較してオンラインショップの売上は3倍以上に成長しましたが、同時に課題となったのは、顧客への提案とコミュニケーションの機会をどのように作るかという点です。数少ない直接のコミュニケーションの機会である電話やメールでの問い合わせを特に大切にし、ユーザー目線での提案を重視しました。また、顧客の購入履歴等に基づき、それぞれに合った提案を強化するなど、データを駆使し、コミュニケーションに注力することで、顧客とのつながりを構築することができました。しかし、顔が見えないオンラインショップでは、実店舗で可能だった“”ユーザーと体験を共有する”ことが難しいという点が課題でした。
そこで改めて、「私たちノリタケが今、食器ブランドとして提案できるものは何だろうか?」という問いに向き合う中、ノリタケ食器には食器そのものだけでなく、その食器に込められた思いや、食器を使って過ごす時間にも価値があるのだという、実店舗で接してきたお客様からの気づきを思い出すこととなったのです。
過去の名作デザインがモチーフ「アーカイブコレクション」の発売
「ノリタケ食器と過ごす時間」の伝え方を模索する中、ノリタケの過去の名作デザインの中からモチーフを選び生まれたカップ&ソーサー「アーカイブコレクション」の発売が決定しました。過去の名作デザインをモチーフとしたクラシカルなデザインの「アーカイブコレクション」の発売は、まさに、ノリタケらしい上質なレトロ食器の誕生でした。
「このカップの魅力を最大限に伝えたい。」、「このカップと過ごす時間の価値を、ウェブを通じて提案するにはどんな場所が良いのだろう?」。その答えを模索する中で辿り着いたのが、ノリタケ創立の地、名古屋の喫茶文化です。
いま伝えたい「食器と共に過ごす豊かな時間」
ノリタケ食器は長い歴史の中で、家庭用やギフト、ホテル・レストラン・航空機内食器など、さまざまな食のシーンを彩ってきましたが、日本独自の喫茶文化を作り上げてきた「喫茶店」でも多く愛用されています。そして「喫茶店」は、昨今の「レトロブーム」で若い世代からも注目され、老舗喫茶店はもちろん、喫茶文化を再構築したニューレトロな店舗などが人気を集め、幅広い世代に利用されるようになってきました。
「喫茶店なら、このカップと共に過ごす時間の価値を幅広い世代に提案できるのではないか?」そう考え、生まれたのがウェブコンテンツ「ノリタケとめぐる、名古屋の喫茶店」。古き良きくつろぎの場所、美意識やおもてなしの気持ちが詰まったお店全体が作り出す豊かな時間を、ノリタケのカップがガイド役となってめぐっていくというコンセプトのウェブコンテンツです。
改めて注目される食器の魅力と、共に過ごす時間
訪れた喫茶店は、地域の人たちに長く愛されている老舗喫茶店から、若き女性焙煎士が営むお店まで、カップのデザインが似合う喫茶店を幅広く選びました。そして、私たちは、そのアプローチは正解だったとすぐに確信を持つこととなります。それぞれの喫茶店で取材・撮影をする中で、撮影されたガイド役のカップは、まるで生命が吹き込まれたように魅力的に映ったのです。食器は使われる空間にあることで、本当の価値が見えるのだと、改めて実感した瞬間でした。ウェブコンテンツとして目に見える形となった「食器と共に過ごす豊かな時間」が、お客様に届けられることを予感しました。
それぞれの店主がお店やコーヒーに込める思いとともにノリタケのカップを紹介していくこのウェブコンテンツは、大きな反響を呼び、1客1万円からという比較的高単価な商品にもかかわらず、発売初日に完売という記録を作ることとなり、現在でも入荷待ちの続く人気商品となりました。
そして、新型コロナウイルスの収束を受け訪日客数も回復し、ノリタケスクエア名古屋には従来以上に、国内外を問わず、幅広い世代の人たちが来店するようになりました。ノリタケスクエア名古屋では、再び、食卓文化の体験を提供する場所として、様々なイベントや提案を続けています。
ワークショップの様子
食器を通じて人々に届けたい思い
ノリタケは2030年度を見据えた長期ビジョンのひとつとして、「人と社会を幸福に」という思いを込め、「ウェルビーイング」を掲げました。食器メーカーからウェルビーイング創出ブランドへ。ノリタケスクエア名古屋から始まったノリタケ食器の価値提案の形は、リアルとデジタルの壁を越え、さらには全社を挙げたコミットメントとして、次の時代のノリタケの食器事業の形を描いていきます。
ノリタケ食器公式オンラインショップ
https://tableware.noritake.co.jp/
ノリタケとめぐる 名古屋の喫茶店 vol.01 とっておきの珈琲時間「西原珈琲店」
https://tableware.noritake.co.jp/feature/details/000963.html
ノリタケとめぐる 名古屋の喫茶店 vol.02 心地よい雰囲気に誘われて「コーヒーハウス かこ」
https://tableware.noritake.co.jp/feature/details/000970.html
ノリタケとめぐる 名古屋の喫茶店 vol.03 受け継がれていくもの「珈琲舞姫」
https://tableware.noritake.co.jp/feature/details/000973.html
ノリタケスクエア名古屋
https://tableware.noritake.co.jp/f/shop_noritake/nagoya.html
ノリタケの森
https://www.noritake.co.jp/mori/
直営店イベント情報
https://tableware.noritake.co.jp/news/event/
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ