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不動産売却を信頼できる人に任せられる「仲介エージェント」マッチングサービス『TAQSIE(タクシエ)』。大手不動産会社の若手社員がプラットフォーム事業を立ち上げまでの軌跡

著者: 三菱地所リアルエステートサービス株式会社

日本では不動産を売却する場合、不動産会社は選べても仲介担当者(エージェント)を選ぶことはできない──そんな不動産業界の構造に一石を投じるのが、不動産の売却希望者と仲介担当者をマッチングさせるサービス『TAQSIE(タクシエ)』です。

タクシエでは、美容師やかかりつけのお医者さんと同じように、大事な家の売却を依頼する信頼できる不動産仲介担当者(エージェント)を選べるサービスです。

このストーリーでは、三菱地所リアルエステートサービス新事業推進部の落合が、タクシエ立ち上げの経緯とサービスの先にあるビジョンについてお伝えします。


三菱地所リアルエステートサービス 新事業推進部 落合晃


不動産会社は選べても、信頼できる仲介担当者に大切な家の売却を託せるかはわからない

不動産市場はこの1~2年好況で、価格はかつてのバブル期以来といわれるほど上昇傾向にあります。こうした状況の中、所有する物件の売却を検討している方も少なくありません。

不動産を売却する場合、仲介業者である不動産会社に直接問い合わせる方法が一般的ですが、最近は一括査定サイトを利用して高い査定額を付けた不動産会社に相談するケースが増えています。

ただ、あくまでも査定額ですから、実際にその価格で売れるとは限りません。不動産会社が媒介契約を獲得するために高額査定をした結果、買い手がなかなか決まらないことも多々あります。

お客さまもできるだけ信頼できるエージェント(担当者)に相談したいはずですが、日本では不動産会社を選ぶことはできても、仲介担当者を直接選ぶことは現状では難しいです。

 こうした状況を打開すべく、居住用不動産の売却検討者と仲介担当者をマッチングさせるプラットフォームとして、2022年5月にサービスを開始したのが『TAQSIE(タクシエ)』です。

 サービスの特徴として、実績の多い担当者の方々にご参画いただき、各担当者のプロフィールや実績を公開し、売却物件と仲介担当者のマッチ度を表示することにより、売却検討者が相談する仲介担当者を選び、チャットで気軽に相談や依頼ができるようにしました。



米国視察で痛感した日本の不動産業界の遅れ

タクシエ誕生のきっかけは、2019年経営企画部で新規事業を担当していた時に、新規事業の方向性を探るため、米国の不動産会社やテック企業を複数社視察したことです。そこで目の当たりにしたのが、不動産取引を取り巻く環境についての日本との違いでした。

 日本では不動産の取引情報は基本的に事業者にしか公開されていませんが、米国ではそれが一般に公開されています。そのため、消費者と仲介業者の間に日本のような情報の非対称性がありません。それに加えて、消費者はエージェントを直接選ぶことができるため、取引が非常に活性化していました。

当初は米国の商業用不動産のプラットフォームビジネスを日本で展開する可能性について、約1年かけて検討しましたが、まだ情報の非対称性が強い日本に導入するのは時期尚早との結論に至りました。

 その後、日本で展開できそうな領域を検討する中で、米国のプラットフォームビジネスの一部であった、仲介担当者のマッチングサービスに着目し、商業用不動産よりも情報開示が進んでいる居住用不動産でのサービス展開を想定し、2021年春にタクシエのビジネスモデルを構想しました。

 情報の少ない消費者には、不動産会社にうまく言いくるめられてしまうのではないか、という不安があります。そのため、不動産を売りたいと思っても、そうした不安が行動を起こす障壁になる可能性があります。そこで、マッチングサイトを通じて信頼できる仲介担当者に安心して取引を任せられるような商習慣が定着すれば、もっと気軽に相談できるようになり、日本でも不動産取引がさらに活発になると考えました。

 


新たなビジネスモデルへの挑戦、可能性を探る関係者へのヒアリング、PoCの実施、説得力ある企画の提案

 事業化に向けては、実際にニーズがあるかを把握するため、まずは不動産売却の経験者や仲介担当者へのヒアリングをとにかく繰り返しました。

 不動産取引にわかりづらさや恐さを感じていた方々が一定数存在することや、仲介会社側も一括査定サイトなどで複数社との査定価格競争になりがちで、売却への行動障壁や依頼後のミスマッチが起こっていることも分かりました。

 その後、マッチングサービスのプロトタイプを作り、夏から秋にかけてPoC(概念実証)を実施しました。PoCでは不動産売却と不動産購入双方で実施しましたが、不動産売却は信頼できる担当者に頼みたいというニーズが強い一方、不動産購入は物件ありきで探している方が多いことや、仲介担当者も売却物件を起点に顧客を探す傾向があったため、初期段階では双方のニーズの高い「売却」に絞る方向性を固めました。

 事業化に向けては利害関係者全員の承認が得られないと実現しません。タクシエは全く新しい領域の事業だったため、早い段階から役員会議の場を設けて頂き、定期的に進捗を報告し、その中で出てきた疑問点や課題については、PoCやヒアリングなどを通じてできるだけ答えを事前に集めて説明できるようにしました。役員個々の気になるポイントも異なるため、最終ジャッジ手前のタイミングでは、この事業と特に関係性の近い役員には個別に時間を取ってもらい説明を繰り返しました。

 また個別に想定される質問に対する回答の準備や、分かりやすい資料作りなどにかなり時間を掛けました。




分かりやすくするために説明ポイントを絞り、質問が上がった際に対応できるように、根拠となるデータなどの詳細な資料を巻末に添付しました。中でもやはり最も説得力を持ったのが、PoCによって得られたユーザーや仲介業者の声でした。

 事業化に向けての取組中は誰もいない会社にいることも頻繁にありましたが、このビジネスモデルの可能性や、新しいチャレンジを任せられていることへのモチベーションがありましたし、上司や周囲のメンバーの協力や、役員が味方になってくれたこともあり、大変ながらも何とか乗り越えることができました。

 2022年冬に事業化が決まってからも、決して落ち着くことはできません。参画会社の勧誘、システムの開発、マーケティング施策準備、規約の整備、運営体制の構築などサービス開始までに解決することは山積みの状況でした。

 その中でスピーディーに仕事を回すためのインフラ整備を最初に行いました。サービス開始までの限られた時間の中でPDCAの高速化を図るためには、社内外のメンバーとのコミュニケーションを円滑に回すことが重要だと考えていたので、いつでも関係者とのコミュニケーションをスマホでタイムリーに取れるようにし、他にもプロジェクト管理ツールなどの業務効率化ツールをいくつか導入しました。これらが功を奏し、サービス開始前の膨大な量のタスクや課題を解消することで、2022年春にサービス開始まで漕ぎつけることができました。

事業を前に進めるために方向性を絞ることに腐心、お客さまの喜びの声は励みに

 しかしサービス開始後については、当初立てた計画通りにはなかなかいきません。確たる正解がない中で進めているため、チーム内での議論も拡散しやすく、メンバー間の意思統一も大変だと感じていました。その中で、事業を前に進めるために方向性を絞ることに腐心してきました。

 目下の課題は、ユーザーの認知・登録をさらに増やすことです。現状は、リスティング広告に力を入れることでサイトへの流入は増えているものの、会員登録の割合が低下する状況にあるので、リスティングワード選定やランディングページの訴求内容、登録までの動線、設問の順番などの細かいチューニングを行い、改善を図っています。



またSEO(検索エンジン最適化)対策として、タクシエの独自性を示すためのコンテンツづくりにも力を入れています。成約者のインタビューでは、タクシエを利用して良かった点や、依頼したエージェントの良さなどを記事化し、エージェントへのインタビューでは、「信頼できる担当者の選び方は?」「仲介担当者によって売却価格は変わるのか」「相続不動産の売却をスムーズに進める方法」「このエリアにはどのような特徴があるのか」など、ユーザーが感じる素朴な疑問などにも答えてもらって記事化しています。



そんな中で、タクシエを通じて売却をされたお客様の喜びの声は励みになります。

「信頼できる担当者と出会えた」「またタクシエで売却したい」「不動産売却のハードルが下がるタクシエの良さを世間に知ってもらいたい」といったお声を頂き、より頑張って事業を成長させようという想いになります。

 またタクシエは新しいサービスなので、どんなところが評価されるサービスなのか、タクシエで成約に至ったユーザーの声を発信することが重要になるのは当初から考えていたため、成約者インタビューを実施し、サイト上に掲載もしています。

 ユーザーに向き合い続けたことで、信頼できる仲介担当者と出会えたことや、チャットで時間を気にすることなく快適にやりとりできたという点、担当者のプロフィールが開示され、安心感があることで踏み込んだ相談もしやすかった点など、サービスの強みやユーザーの潜在的な悩みも徐々に明確化されてきました。今後も更に選んで頂けるサービスにしていくため、日々アップデートを繰り返していきたいと思っています。



売主と仲介エージェントをマッチングさせる「タクシエ」の目指す世界

現在、対象エリアを当初の東京23区から東京・神奈川・千葉・埼玉の115市区町(スピード売却コース(買取)は165市区町) に拡大しました。不動産会社の参加数、登録エージェント数もそれぞれ30社、350人以上に拡大しています。また、サービス開始以来、ユーザーインタビューを積極的に実施するとともに、登録エージェントから寄せられる意見や、サービス内のユーザーと仲介担当者の動向をチェックしながら、システムの改善を進めています。

 そういった声を元に、マッチ度上位3名の担当者からのアプローチ機能や、AI査定機能、買取サービスの追加実装など機能改修も積極的に行ってきました。

 こうした中、徐々に反響や成約も増えてきておりますが、まだまだサービス認知やサービス改善などの課題は山積しており、日々奮闘を続けております。

まずは何とか今年度の目標計画の達成を是が非でもしたいです。

そして当社は「不動産流通市場の発展と信頼性向上」をミッション・ビジョンに掲げています。タクシエを通じて、不動産売買のハードルを下げることで、ミッション・ビジョンの実現を目指していきたいです。まずは売却において、良いエージェントが選ばれる世界をタクシエが広げていき、信頼できる人に任せることが大事だという商習慣にしていきます。また、不動産取引のデジタル化は日本でも避けて通れませんので、来るべき時のために、先行して構えておきたいと考えています。

 その中でタクシエでは、「住み替え先や買い替え先が決まっており期限が迫っている」「売却活動を周囲に知られたくない」「室内が汚れていて内覧が難しい」「相続や離婚が発生したのですぐに現金化したい」といったニーズから、3日以内に信頼の3社から買取価格を提示するスピード売却コース(買取)のサービスを2023年7月に新たにスタートするなど、日々進化を続けています。今後ますますお客さまに選んで頂けるサービスに成長させていけるよう、一日一日を大切に頑張っていきたいと思います。


プロフィール

落合 晃(おちあい・ひかる)

三菱地所リアルエステートサービス株式会社

新事業推進部参事

2008年入社。人事部門で福利厚生制度などの企画運営、住宅賃貸部門でタワーマンション営業所長、賃貸マンション企画などを経て、2018年より経営企画部で主に事業開発を担当し、複数の新規事業立上げに従事。2020年度三菱マーケティング研究会ビジネスプランコンテスト最優秀賞受賞。「TAQSIE」では初期構想から推進役を担い、現在もプロジェクト全般に関わっている。2022年4月より現職。


■「TAQSIE(タクシエ)」について

【TAQSIEのサービス概要】

家を売却検討中のエンドユーザーと仲介・買取担当者を直接マッチングするサービス    サイト

大手不動産会社30社の中から、さらに厳選された350人以上の精鋭が売却をサポート

あなたによりそうプロを無料で紹介します

サイトURL :https://www.mecyes.co.jp/taqsie/ 



【サイトの特長】 

・担当者の豊富な売却実績がわかる

・店舗に行かずに気軽にチャットで相談

・住み替えや相続など様々な売却ニーズに対応


【参加不動産会社・登録担当者】 

 大手不動産会社 30社

 登録担当者数 350名以上


 【対象エリア】

東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の主要都市115市町 (スピード売却コース(買取)は165市区町)

※詳細はTAQSIE(タクシエ)下記サイトよりご確認いただけます。

 サイトURL :https://www.mecyes.co.jp/taqsie/course/





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