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武田薬品が開催した初の「メタバース社内交流会」~運営メンバーが語る成功の舞台裏~

著者: 武田薬品工業株式会社


タケダは2022年5月31日、インターネット上の仮想空間「メタバース」を使った社内交流会「クロスイノベーションカフェ」を組織横断的に開催。デジタル活用を推進する製薬会社であるタケダは、最新テクノロジートレンドであるメタバースをなぜ社内コミュニケーションに活用したのか。その背景や、イベントに掛けた思いを、「仕掛け人」である社内コミュニケーションチームの飯山久美さんと井上隆志さんに聞いた。



「会社」と「仲間」を知るツールとして“メタバース”を導入


――メタバースはかなり新しいトレンドのテクノロジーですが、どのような経緯で注目されたのでしょうか?


飯山:私たちは、社内コミュニケーションの専任従業員と、社内の有志兼業従業員によるクロスファンクショナルチームなのですが、IT企業出身でメタバースに注目していたメンバーや、実際に所属部署内でメタバースイベントの運営経験を持つメンバーがチームにいたことが発端でした。これまで取り組んできた様々な社内コミュニケーション施策の集大成として、「会社」と「仲間」を知るコミュニケーションツールとして運用の検討を始めたのです。

クロスイノベーションカフェ運営チーム


――社内イベントの開催方法としては、リアル会場での開催やMicrosoft Teamsなどを用いたオンライン会議などありますが、あえて今回メタバースでイベントを開催したのにはどんな狙いがあるのでしょうか?


飯山:イベント会場への移動負担の軽減や新型コロナウィルス感染拡大防止のみが理由なら、Microsoft Teamsなどのオンライン会議でもよかったのかもしれません。しかし、あくまでこのイベントのミッションは、従業員の皆さんにより一層タケダのことを好きになっていただき、モチベーションを高く持って仕事をしてもらうことです。あえてメタバースを導入し、従業員に「今までにない新しいことをする」というワクワク感や、アバターで新しい自分を作れるという楽しさを届けることで、「また明日から頑張ろう」という気持ちになって欲しいという思いが強かったと思います。また、バーチャルでありながらもリアルに近い状況での有機的なコミュニケーションが可能となり、参加者の中に自主性が生まれることも、メタバースに期待したことの一つでした。


メタバース空間上での交流の様子


――具体的に社内交流会「クロスイノベーションカフェ」ではどのような企画を実施されたのでしょう?


飯山:タケダではこの半年ほど、「会社を知る、経営陣を知る、仲間を知る」という3点を柱とした様々な社内コミュニケーションのイベントを開催してきました。今回開催した「クロスイノベーションカフェ」は、その総仕上げとして実施したものです。


経営陣による基調スピーチを皮切りに、タケダのトリビアに関する〇×クイズや、28のトークルームを用意して経営陣も参加する自由な交流会を行いました。40分間設けた交流会は、当初は「時間が長すぎるのでは?」とも推測していましたが、実際には時間が足りなくなるほど盛り上がりました。


井上:「アウトドア好き」「読書好き」「筋トレ好き」など、普段の仕事とは直接関係ない趣味のトークルームも作ることで、従業員同士の繋がりやすさや会話のしやすさも意識しました。経営陣と従業員が筋トレの話題で盛り上がるなど、普段のオフィスではなかなか瞬時に実現しないような交流がメタバースでできたのではないでしょうか。また、参加者は所属部署と名前だけを共有してアバターとして交流し、役職や年齢、性別がハイライトされなかった点も会話のハードルを下げることに寄与したと思います。



メタバース空間では経営陣も従業員との交流を楽しんだ(上:広報やサステナビリティを統括する大薮貴子、下:ジャパン ファーマ ビジネスユニットを統括する古田未来乃


――参加者がメタバースで交流する“楽しさの実感”にこだわったのですね。


井上:全員で実施した〇×クイズでは、運動会のようにアクティブで賑やかなアバターの動きがあり、エンターテインメントとして非常に面白かったですね。また参加者同士で話す内容はカジュアルなものが多く、仕事とは離れたプライベートの部分での社内の新たな繋がりが生まれているように思いました。


印象深かったのは、コロナ禍で入社した従業員が、対面での交流が実現していなかった同期とメタバース上で出会えた、入社時の研修依頼、数年ぶりに同期と盛り上がった、という声が挙がったことですね。皆さん、「会う」という言葉を使っているのが印象的でしたし、アバターという分身を介すことでオンライン会議にはないリアルで臨場感のあるコミュニケーションが生まれていたと思います。


飯山:今回のイベントの狙いのひとつは、経営陣も交えた形で部門や個人の属性を超えた交流の機会を作り、互いのバックグラウンドを意識しないカジュアルでフランクなコミュニケーションを促すことでした。オンラインでもリアルと同じようにあちこちで有機的な会話が生まれることを目指していましたので、その狙いは達成できたのではないかと思います。

飯山久美

井上隆志


「クロスイノベーションカフェ」成功体験の波及効果とは?


――イベント開催後、社内ではどのような反響がありましたか?


飯山:反響は非常に大きかったです。イベント終了直後に企画や運営についての問い合わせが15件以上もタケダ社内の各部署からメタバースの提供元企業に寄せられました。イベントの開催前には海外の拠点からも「日本でメタバースのイベントをやる」と聞きつけた従業員からオブザーバーとして参加したいという問い合わせもありました。


――今回のメタバースイベントを終えた感想を教えてください。


井上:私たちチームにとって初めての試みで、かつIT部門を含めて部門横断的に幅広い関係者を巻き込んだ取り組みだったので、準備はとても大変でした。しかし今回多くの人がメタバース活用の利点を実感できるポジティブな経験を築けたことで、タケダのデジタル活用の推進に貢献できたのではと思っています。


飯山:初めてのプラットフォームで不安はたくさんありましたが、参加者に「楽しいイベントだった」「もっと長く交流したかった」という気持ちになってもらえるよう意識して準備してきました。今回の新しいデジタル体験が、タケダのデータ・デジタル活用の次のモチベーションになると信じています。


時代にあったリアル×デジタルを体現できる企業へ


――今後の社内コミュニケーションの更なる活性化、そしてメタバースをはじめとするデジタルの活用に向けて、抱負を聞かせてください。


井上:メタバースのように、新たな価値を持つデジタルツールは今後も積極的に取り入れていきたいと考えています。一方、リアルなコミュニケーションが生み出す価値も十分に理解しているので、リアルとデジタルを相互に補完し合いながら、これからの社内コミュニケーション活性化を推進していきたいですね。


飯山:アバターを通じたコミュニケーションは、役職や年齢、背景に関係なくカジュアルに交流できるというメリットをイベントのアンケートから感じ取っています。一方で、大規模なイベントの開催はITインフラに一定の負荷を掛けるということもわかりました。こうした経験を活かして、今後はより小規模でカジュアルな交流会を繰り返し開催できるような取り組みも検討しています。また、メタバースだけでなく、リアル開催、オンライン会議など様々な選択肢を適材適所で活用しながら、今後も従業員にワクワクしてもらえるような企画を展開できればと考えています。


タケダ240周年特設サイト(https://www.240.takeda.com/)では、社内交流会「クロスイノベーションカフェ」のほか、データ&デジタルの活用、革新的な働き方や環境への取り組みなど、従業員の活躍ストーリーを公開中です。


また、タケダのDXの取組は(https://www.240.takeda.com/list/?keyword=dx)で是非ご覧ください。




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