パーソルビジネスプロセスデザインが目指す、BPO事業のあるべき姿
パーソルグループでは、中期経営計画2026において目指すべき方向性として「テクノロジードリブンの人材サービス企業」への進化を掲げ、グループの各事業・サービスがテクノロジー活用の取り組みを加速させています。
今回は、“人” と “プロセスデザイン”、そして “テクノロジー” の力でお客さまの組織において生産性向上の実現をミッションとするパーソルビジネスプロセスデザインで、執行役員として中核事業をリードする小野にインタビュー。AIやIoTなどのテクノロジーを活用して顧客のビジネスプロセスの変革を支援する同社のこれまでの経験や現在担う役割と、小野が見据える組織としての展望や今後の取り組みについて、話を聞きました。
パーソルホールディングスが運営するWebメディア「TECH DOOR」では、パーソルグループ内で取り組んでいるITプロジェクトを紹介しています。本記事と併せてぜひご覧ください。
テクノロジーの力で、社会や産業の変化に苦しむ“現場”を支え続ける
―現在の役割を教えてください。
2022年からパーソルビジネスプロセスデザインの中核事業であるビジネスエンジニアリング事業の事業部長(現・ビジネスエンジニアリング事業本部 本部長)を、2023年からは併せて執行役員を担当しています。
―小野さんが管掌されるビジネスエンジニアリング事業について、概要を聞かせていただけますか。
お客さまのビジネスの “エンジン” になろう。という思いで立ち上げられたアウトソーシング事業で、単純に業務を「代行」するのではなく、さまざまな部門の業務や実務をサポートしながら業務と組織を継続的に改善していくことを目指しています。
全部で5,000人弱のメンバーのうち8割ほどが正社員なのが特徴で、一般的なコンサルティングとBPOの中間に位置するプロフェッショナルサービスと捉えていただくと良いかと思います。
事業領域としては主に3つで、
・BPOやコンサルティング、PMOなどのサービスを、IT業界をはじめとする
さまざまな顧客企業のITセクション向けに提供する「ICTアウトソーシング統括部」
・同様のサービスをエネルギー業界向けに提供する「エネルギービジネス統括部」
・コールセンター機能を提供する「コンタクトセンター統括部」
という体制で各サービスを展開しており、これらの事業を支える営業や人事、R&Dなどの組織も内包する体制となっています。
―各事業領域において展開されているサービスについてもそれぞれ詳しく伺えますでしょうか。
ビジネスエンジニアリング事業では、前段でお話したICTアウトソーシングとエネルギー事業があります。それぞれ、DXや働き方改革などニーズに合わせたサービスを展開し、事業を伸ばしています。
サービスは多岐にわたりますが、代表的なものを挙げると、
l BPOサービス:総務、人事、情報システムなどのバックオフィス部門や各種ヘルプデスクなどのフロント部門の業務を預かり、運用設計、運用、業務改善を一気通貫で対応
l PMOコンサルティング:ICT領域を中心に、新規事業やサービス企画フェーズのプロジェクト支援から、BPR業務改善までを提供
l デジタライゼーション:プロセス効率化による生産性を向上させるため、デジタルソリューション(RPAなど)の導入から定着・保守までを支援
l エネルギー業界向け支援:エネルギービジネス参入に向けた立ち上げ支援から運用、専門事務、営業まで幅広く支援
l GXコンサルティング:脱炭素化に関する課題に対し、コンサルティングから算定・実行支援、サービス開発支援に至るまで提供
l ドローンソリューション:ドローンの社会実装に向けて、サービス事業社およびユーザー企業を対象に運用プロセスの設計、構築、運用、定着化まで総括的に支援
l コンタクトセンター:非対面の営業代行や各種カスタマーサポート窓口、事務領域の代行、DX推進を支援
など、業界や特定の業務領域に特化したサービスを提供しています。
―パーソルビジネスプロセスデザインのビジネスエンジニアリング事業ならではの強みはどのようなところにあるとお考えですか?
明確な差別化のポイントは、
BPOに欠かせない“ビジネスプロセスの変革”と“デジタルorテクノロジー” です。
パーソルビジネスプロセスデザインでは、過去に1600を超えるプロジェクトの運営に携わり、業務改善からビジネスプロセスの設計、運用までを支援してきました。その豊富な経験やプロセスデザインの知見を活かし、さまざまな業界・業種でBPOサービスを提供しています。また、それらのノウハウをナレッジ化したパーソルビジネスプロセスデザイン独自のメソッドによる支援は、品質・コストパフォーマンスともに多くの企業さまから高いご評価をいただいています。
プロジェクトに関わる全社員のデジタル技術の習得を必須としていて、全社員がコーディングやRPA構築などの技術を持っているため、現場の業務に携わりながら見つけた課題に対してそのままデジタル化、自動化を行うことができます。
このように課題を見つけた際に、社内の専門セクションや外部のITベンダーと連携することなく、現場の社員が業務内で改善に取り組むことができるため、課題解決過程で認識のずれなく、素早く、追加のコストをかけずにいいシステムを作れます。この点は、お客さまに価値を感じていただけるポイントではないかと思います。
生産性向上を実現する最大の武器となるのが “デジタル”
―パーソルビジネスプロセスデザインでは、中期経営計画2025において「生産性向上プロフェッショナル」と「デジタル武装」というキーワードを掲げていると伺いました。それぞれの背景にある思いについて教えてください。
私たちの会社はさまざまな事業が合わさってできており、出自はそれぞれ異なります。そうした各事業にとって共通のよりどころとなるのが、パーソルグループが向き合う「労働人口の減少」という課題を背景にした「生産性向上」というテーマなのです。
生産性向上というとコスト削減に目が向けられやすいものですが、手段はそれだけではありません。「付加価値÷資源」で考えるのが生産性ですから、分母を小さくすることと分子を大きくすることの両側面にしっかりと取り組んでいこうという思いで、「生産性向上プロフェッショナル」という軸をおいています。
―「デジタル武装」についてはいかがですか。
付加価値を高め、資源を削減して生産性を高めるための最も有力な手段はデジタル活用だという考えに立ち、私たちの新たな武器、強みとなるデジタルで身を固めていこうという思いを「デジタル武装」と表現しています。
ビジネスエンジニアリング事業部では全社員がコーディングやRPA構築の技術を持っているとお伝えしましたが、これも「デジタル武装」というテーマがあったから実現できたことです。2020年から4年の時間をかけて研修を重ね、延べ4,000人の社員にデジタル技術の研修を受講してもらいました。その中で私たちが目指すことやそのためのデジタルの必要性をメンバーへ共有し、一人ひとりが意義を理解して技術を身につけ、これを活かして現場で業務改善しようという手応えを持ってやってくれている結果だと思います。
―ビジネスエンジニアリング事業においてこれらのキーワードを大切に取り組んできた成果として、ほかに実感されているものがあれば教えてください。
社内には、以前から、メンバー自身の興味関心のもとに獲得した技術を使って驚くようなシステムを開発し、生産性向上を実現しているような現場がありました。「デジタル武装」の取り組みとして全社員向けの教育をスタートすると、こうした価値発揮の可能性が広がりました。
また、皆でデジタルを学んでいる中で突出した技術力を持つメンバーたちも出てきており、それぞれがVBAやAccessなどで業務ツールを開発して納品したり、クラウドサービスの導入を支援するようなビジネスを立ち上げたり、お客さまに貢献できる幅も広がってきています。
“テクノロジーを活用したプロセス変革の専門家”として認知された状態を目指す
―ビジネスエンジニアリング事業としての、今後の展望を聞かせください。
私たちは現在、主に「デジタルを活用したタスクの自動化」を手がけていますが、ここからさらに事業を進化させるために、大きく二つのことに取り組んでいきたいと思っています。
一つは、各現場で行ってきた自動化の取り組みを吸い上げてモジュールに変えていくこと。お預かりしている業務のワークフローを同じ規格で可視化してビッグデータとして集めれば、標準化された “業務プロセス” を定義できます。この業務プロセスと「この業務でどのようなテクノロジーを活用して生産性を高めているか」というデジタルのノウハウを掛け合わせて “業務モジュール” を作っておくことで、お客さまから依頼をいただいてから業務を開始するまでにかかる時間を短縮していきたいと考えています。
もう一つは、タスクの自動化からもう一段階進んで「デジタルによるビジネスプロセス全体の変革」にも挑戦すること。そのためには、これまでの自動化の取り組みをすべて繋ぎあわせてさらに進化させる必要があるので、ビジネスエンジニアリング事業の中にもCoE(Center of Excellence)組織を設け、エンジニアたちの技術を集結させて取り組んでいければと思います。
―より長期的な視点で、目指す姿とはどのようなものでしょうか。
私たちBPOベンダーは、“プロセスデザイン”の知見をもつ業務プロセス変革のプロフェッショナルであり、またその中でのテクノロジー活用についても誰よりも知見を持つ専門家だと自負しています。私たちが持つさまざまな業界や企業でのビジネス変革の経験とノウハウがあれば、素早く適切なビジネス/業務プロセスに変えていけるのだと認知され、BPOが専門職としての高いプレゼンスを獲得できている状態を目指したいですね。
それによって、BPOの領域ではたらく皆さんが自身の仕事に誇りを持てるような、また多くの人々にとってBPOが “習得したい専門性or専門職” になるような世界が実現できたら嬉しいなと思います。
―そのほかにも、取り組むべきテーマとして検討されていることがあれば教えてください。
私としては、ビジネスエンジニアリング事業にとって今後取り組むべきメインテーマとなるのは「脱炭素」と「AI」だと思っています。
脱炭素化が進むことで全産業がサプライチェーンを大きく変える必要に迫られ、現場でも新たなルールに対応するためにやるべきことが増え、手探りで取り組みを進める負担があるはずです。
またエネルギー転換によって旧産業での雇用が減少し、反対に新産業で雇用が不足することが考えられる上、さらにAIによってビジネスプロセスが変わり、雇用がこれまでと大きく変化する領域もあると言われる…こういった揺れ動く状況に、しっかりと対応していきたいところです。
―そういったテーマに対して、パーソルビジネスプロセスデザイン、そしてビジネスエンジニアリング事業としてどう貢献していきたいと考えていますか?
まずはこの労働移動という課題に対して対応してきた経験や知見を、世の中に展開していくことができると考えています。またBPOは基本的にメンバーを雇用して展開するビジネスですから、雇用のなくなった領域で活躍されていた方々の新たな着地点になることもできるのではないかなと。そういった方々を受け止め、必要な新しい知識を身につける機会をご提供し、一人ひとりの経験と新しい知識を活かせる別の現場での活躍を後押しする……そんな貢献の仕方もあるのではないでしょうか。
―最後に、今後パーソルグループにおいて、どのような役割を果たしていきたいと考えていますか?
産業構造がさまざまに変化し、それに伴って現場の仕事も変化していくと考えられる中、パーソルグループのほかの事業と私たちの連携が重要になるのではと考えています。
たとえば、人材派遣や人材紹介などの事業に、業務プロセスを深く知る私たちが入り込むことで、グループとして「この産業やビジネスがこのように変わっていくから、こういったリスキリングが必要だ」と定義できるかもしれないと考えています。“すでに一人ひとりが持っているスキル” と “今ある仕事” というピンポイントのマッチングだけでなく、「必要なリスキリングを行った上で仕事を紹介する」といった新しいアプローチにつなげるなど、これからさらに連携を広げていければと期待しています。
※2024年9月時点の情報です。
パーソルホールディングスが運営するWebメディア「TECH DOOR」では、パーソルグループ内で取り組んでいるITプロジェクトを紹介しています。本記事と併せてぜひご覧ください。
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