コロナに立ち向かう!「Restaurant TOYO Tokyo」のEC事業への取組み
2018年3月、東京ミッドタウン日比谷に日本初進出を果たした「Restaurant TOYO Tokyo」。パリに本店を持ち、オープン前から大きな話題となり、開店と同時に600組の予約、半年以上予約で埋まるほどの人気を誇っていた。フランスの革新派美食ガイド「ゴ・エ・ミヨ2020」へも掲載され、2020年夏には東京オリンピックを控え、さらに順風満帆な状況が続くと、株式会社TOYO JAPAN代表の阿部洋介は確信していた。
※株式会社TOYO JAPAN 代表取締役/阿部洋介
■新型コロナウィルスによるパンデミック
そんな最中、世界中で新型コロナウイルスによる感染が拡大し、日本でも2020年4月に緊急事態宣言が発令された。リモートワークや外出自粛、商業施設の休業など、店舗を構える企業にとって、相当大きな影響を受けることになる。
「Restaurant TOYO Tokyo」は、日比谷ミッドタウンという立地特性や、高級フレンチ業態ということもあり、大企業の接待や、団塊世代の方がメイン顧客である。新型コロナウィルスの影響により、2月中旬からキャンセルが相次ぎ、客数は30〜40%減少、3月の売上は前年同月の60%にまで落ち込んだ。その後9~12月の非常事態宣言解禁後も売上は30〜40%減少、21年1月以降は更に60%以上減少した。また、一般的な飲食店と比較し、高級フレンチ店はそれぞれの役割で専門性があり、他の人員での代替が難しいため、どうしても人件費が高くなってしまう。売上が急激に落ち込む中で、このことが大きな課題となっていた。
現場のシェフやスタッフにとって、レストランはお客様あっての商売。少しでも来てもらえるお客様に喜んでもらえるように、日々向き合うしかない。高級フレンチはわざわざ来てもらって、ハレの日に使っていただく。この苦しい状況の中、本当に温かい常連様が顔を出していただく事に、心を込めてお迎えする。ただ、それだけではこの状況を乗り越えることができない。
多くの飲食店が、デリバリーへの対応を強化する中、「Restaurant TOYO Tokyo」はECの強化への取り組みを強化することを決断した。そもそも商業施設自体が休業となると、デリバリーも物理的に不可能であり、またビジネス街へのデリバリー需要が見込めなかった事が大きな理由であるが、それよりもECであれば、専門性の高い従業員が居ることを最大限に活かせるのではと考えたからだ。
ただECで料理を提供しているお店はたくさんある。その中で「Restaurant TOYO Tokyo」の価値をどう伝えていくか。多くの場合、工場で大量生産したり、調理業務を委託するなどの方法を取るが、我々は日比谷ミッドタウンの店舗の厨房を使い、当レストランの料理を手掛ける大森雄哉シェフによる手作りにこだわることにした。もちろん、その分大量調理には限界が出てくる。それでも、高級フレンチ店としての価値を伝えることにこだわることにした。
通販商品の第一弾は、大森シェフがフレンチシェフとしての哲学を学んだ、熊本の名店「洋食の橋本」で培ったカレーをベースに、東京食肉の仲卸でもある「銀座吉澤」から取り寄せた、厳選した黒毛和牛を使用した「欧風カレー」。2020年4月に数量限定でテスト販売したところ、数時間で完売となった。少し見えた光と期待。ここから本格的にEC事業への取り組みをスタートした。
ECに関しては、全て初めての経験。商品試作に始まり、プラットフォームの導入、手作りのラベル作成、梱包、配送準備まで、全てをレストランの中で行った。本来はお客様にお店にお越しいただくための場所と思いながら、でも送付先をみると見覚えのある宛名ばかり。本当に有難いと思った。
とにかく常に新しい商品の開発を続け、商品の投下を続けた。カレーの次は松坂牛のハンバーグ。そして年末の大型商戦である「おせち」も、初めてオンライン決済で販売を実施。例年よりも早い、10月には早々に完売をした。
そして大森シェフだけでなく、パティシエチームも商品開発に参加。大澤がブーダンテリーヌ・ド・ショコラ、塩崎がレモンハーブのチーズケーキそれぞれ開発し、新商品として投入した。
コンスタントに受注をいただけるようになり、更なる拡大を想定し、出荷と顧客対応をレストランではない事務所に設置。同梱の促進とスピーディーな顧客対応が出来る体制を構築した。
また、常連様ばかりに頼るのも限界がある。新規顧客の開拓を目的に、WEBサイトの更新業務と広告運用のアウトソースもスタートした。広告を運用し、明確なデータを得ることで、反応が良い商品、季節ニーズの取り込みなど具体的な対策や施策が見えてきた。費用対効果をみながら、一つの事業としての目標数値の設定まで具体的に落とし込んだ。
今後やより大きく成長するために、オンラインレストラン専用のキッチンを作ることを目指し、料理人が丹精を込めて作った料理を多くの方に届ける仕組みを作りたいと考えている。また、地域の文化として根付き、食育にも貢献し、レストラン同様の情報発信をしていく。
■もう一つの戦略「住宅立地への出店」
EC事業に取り組みながら、並行して取り組んていたプロジェクトがある。令和2年9月に東京目黒区にある高級会員スポーツクラブ、リバティヒルクラブ内で「Restaurant Solfege」を業務委託で開業。開業に伴い、コロナ禍というタイミングでありながら、新規の正社員も積極的に採用した。
高級住宅立地という事で、コンセプトは「上質なカジュアルを」とし、都心型商業地域だけでなく、コロナ禍で外食できない方々に近づく商売のチャレンジ。店頭では野菜の販売にもチャレンジ。店頭での販売をきっかけに、お店へのランチ誘導、またお客様との対話が行われる事になり、徐々に地域のお客様との繋がりが持てるようになった。常連様からのアドバイスやご要望も積極的に取り入れた。野菜に関しては、なるべく量販店と差別化した、契約農家から直接仕入れ、レストランでの利用とあわせてサステイナブル(食品ロスの低減)な取組みを意識している。
■今後について
世界中を巻き込んだ新型コロナウィルスにより、今まであったビジネスモデルを根本から見直す事になった。そもそも高級フレンチ店は、職人の専門性が必要で、他の人員で代替が難しい為、固定費がかかる。そして、都心部立地(顧客ターゲットエリアが広い)、ブランドに対する投資が必要など、ビジネスモデルとしての課題が顕在化された。
今後はしばらく、これまでメインターゲットであった、国内外のインバウンド、消費の強い団塊の世代、接待需要等が望めないと阿部は予想している。パリ本店も幾度のロックダウンが行われ、また観光立国であるインバウンド需要も一旦止まっている。また当社ブランドの象徴である世界的ファッションデザイナーの髙田賢三氏も、コロナにより急逝された。
料理人は、皿の上に向きあい、その創造性は付加価値を生み出す。今後IoT、テクノロジーが進み、家庭内の調理器具も加速度的に進化を遂げるだろう。そういった中で、料理人の将来にわたって活躍する舞台も、オフライン、オンラインがより垣根がなくなる状況になる未来が来るのではないか。
※2021年4月9~11日(日)パリ本店から中山豊光シェフ来日特別企画
「中山豊光×大森雄哉スぺシェルディナー」
■Restaurant TOYO online
Restaurant TOYOビーフカレー、松阪牛ビーフハンバーグ、八女茶のチーズケーキなど、全ての商品を手作りにこだわり、Restaurant TOYO Tokyo 東京ミッドタウン日比谷店の厨房で調理。レストランの味を、そのままご自宅でお楽しみ頂けます。
Restaurant TOYO online ( https://restaurant-toyo.online )
■Restaurant TOYO Tokyo
2009年中山豊光オーナーシェフがフランス・パリにて開業。1994年に渡仏、フレンチレストランの料理人として働き、その後パリの本格的な日本料理を経て日本が誇る世界的デザイナー・髙田賢三氏の専属料理人となる。和食の要素を取り入れたフレンチをカウンタースタイルで提供する。日本の懐石料理の美意識が存在するその世界観は 西洋と東洋の融合と調和を感じさせる、唯一無二の究極のフレンチと言える。2018年3月、東京ミッドタウン日比谷に日本初進出。オープン前から大きな話題となり、開店と同時に600組の予約、半年以上予約で埋まる。
店名 : Restaurant TOYO Tokyo ( http://toyojapan.jp/ )
住所 : 千代田区有楽町1-1-2 東京ミッドタウン日比谷3階
坪数 : 30坪 / 20席(カウンター8席、テーブル14席、個室6席)
連絡先 : 03-6273-3340 (予約受付/ 11:00~23:00)
営業時間 : ランチ / 11:30~14:30(13:00L.O)、ディナー / 17:00~20:00(19:00L.O)
■企業情報
会社名 : 株式会社TOYO JAPAN ( http://toyojapan.biz/ )
住所 : 東京都千代田区有楽町1-1-2 東京ミッドタウン日比谷3階
代表取締役 : 阿部 洋介
事業内容 : 国内外レストラン運営、海外企業日本進出支援、料理人教育及び輩出、飲食店独立支援
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