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今日が、残りの人生の最初の1日。

コロナ禍のCAが語る。「IT兼業で変わった、地方の魅力とキャリア観」とは?­

著者: 株式会社アクシス


◆Topics

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  • コロナ禍の影響を受けた航空業界と、人口減少が進む鳥取県。
  • 「やってみたい。」3回の面談を経て、自ら応募したIT企業での移住兼業
  • 全く異なる働き方。“数秒のコミュニケーション”で培った経験を営業に。
  • CAでは経験できない「逆算思考」で、進化した乗務員スキル
  • 【兼業で変わったキャリア観。】ANAグループ全体の進化へ「CAの育成に携わりたい。」
  • 二拠点生活で気付いた、地方の魅力とITの可能性とは?

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新型コロナウイルスの影響で世界的にも減便が相次いだ航空業界。新しい生活様式に合わせて、航空会社では様々な取り組みを開始しています。ANAグループでは2,000人以上のグループ社員が外部の企業などへ出向。さらに、客室乗務員が地方に住んで兼業や副業ができる制度を設けるなど、新たな働き方を推進しています。


一方で、人口減少や地域経済の停滞に苦しむ地方自治体も、移住者や観光客の増加に向けて、企業との連携を進めています。このような中、鳥取県はANAグループの客室乗務員の移住を受け入れ、企業とのマッチングを支援する取り組みをスタート。県内の魅力を発信し、移住・定住人口の増加や観光促進活動に取り組む「とっとりへウェルカニアンバサダー」として、任命しています。


〈入社したアクシスのオフィス前にて〉


アンバサダーの一人、長慎之輔さんは、航空会社とは全く異なるIT企業のアクシスに入社。再生可能エネルギーやスマートシティ分野など、ITを通じた様々なシステム開発や新規事業を手掛ける同社の中で、ITとリアルを融合した「超地域密着型生活プラットフォーム Bird」を展開するバード事業部で勤務しています。


今回は、兼業・移住生活を通じて、地域の魅力に触れるとともに、客室乗務員として日本各地を訪れてきた独自の視点で、鳥取の魅力を発信されている長さんに、普段のお仕事内容や生活、今後のキャリアの展望などについてお話をお聞きしました。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

先ずは移住や入社、配属までの経緯について教えてください。

「もともと食べ歩きが好きで、プライベートでもインスタグラムで投稿をしていたんです。そんな中、社内の公募で、鳥取県の地元で愛される飲食店に特化したフードデリバリーサービスの『トリメシ』に携われるプロジェクトを目にしました。その他にも米子市の観光協会等の募集もありましたが、「食やSNSに携わって魅力的な発信をしたい。客室乗務員として、食の魅力的な提案をしてみたい」と思い、営業企画職に自ら応募しました。

スキル向上は勿論ですが、単純に「やってみたい。」という気持ちが強かったです。ANAの移住・兼業担当者と面談後、アクシス社の人事部、バード事業部の方と2回面接をして、無事配属となりました。」


採用面接もしっかりと経て、着任されてるのですね。

普段はどのような業務をしているのでしょうか?トリメシについても教えてください。


「トリメシは、鳥取発の地域密着型フードデリバリーサービスです。地域の飲食店様が中心に加盟して、地元の美味しい料理を楽しめるのが特徴なんです。

普段の業務では、店舗への訪問取材やサイト上のメニュー文章の作成を行っています。また、トリメシ加盟店様の増加や店舗集客に向けた施策として、インスタグラムの更新業務もしています。」


〈トリメシの加盟店を取材する長さん(写真左)〉


ちなみに今回の兼業・副業制度では、どのくらいの頻度で働かれてますか?

「ANAの客室乗務員として働きながら、週2日~3日、月だと10日を目安にアクシス社で働いています。リモートもできますが、作成業務が多く、直にコミュニケーションを取れた方がスムーズなので、出社するようにしています。」


〈インタビュー中の様子〉


従来の仕事とはかけ離れた内容に見えますが、業務面の大きな違いは何でしょうか?

「CAの業務では、機内を歩き回り、忙しい面もありますが、1日単位で仕事が完了します。一方、営業企画の仕事では、ずっと座りっぱなしで一日中画面に向き合うこともあります。また、2週間や1カ月後などの長いスパンで先を読まなければいけないのが、CAとの大きな違いです。一緒に働く仲間でいうと、CAでは毎回異なるクルーで組成され「はじめまして」からスタートすることも多いのですが、アクシス社では同じメンバーで一緒に働くため、現場で必要となるチーム力の種類も異なります。」


そのような対照的な仕事の中で、これまでの経験が活かされたことはありますか?

「客室乗務員は、ちょっとした会話の中から、お客様が求めているものを引き出す必要があります。“わずかな時間の中で、いかに気付けるか” これは営業としてお客様と接する中でも、とても役立っていると感じます。」


〈鳥取に移住したANAのCAの皆さん~大谷海岸清掃ボランティア~〉


・客室業務の経験がしっかりと活かされているのですね。長さん個人の経験としても、何かあればお聞かせください。

「もともと私自身は、誰かをワクワクさせたい、人に喜んでもらいたい。という気持ちが以前からありました。昔は飲食店でアルバイトしていたこともあり、ちょっとでも「おいしそう、食べてみたい」と思ってもらえるように、記事を作っています。自分の性格や経験的にも、相手の立場になって考えることが合っているみたいで、とても楽しいです。」


逆に、現在の営業企画職としての経験が、今後のCA業務に活かせると思いますか?

「はい、食事時のメニューの提案や説明力に繋がっています。また、もう一つ大きいものがあるのですが、それが“タスクの目標設定力”です。『目標に対して、何をどう進めていくか』という視点が、既に現在の客室乗務にも活かされています。


普段の業務では、目の前のことに集中・優先しがちなのですが、ゴールや目標を自ら立てて、逆算して行動していく営業企画を経験してからは、少しずつ変わってきました。


〈岩美町のサンセットクルーズにて〉


視野も広がって、先を意識し、頭の中を整理できるようになり、去年よりも余裕を持って客室乗務が進められるようになりました。安心できる空の旅をご提供するためには、安全管理も大事な要素ですが、緊急時の冷静な判断・対応に活かせるスキルを、兼業を通じて学べたと思います。」


CAとしても重要なスキルが、IT企業という意外な場所で身に付いたのですね

「直接言われたわけではないのですが、航空会社としては、コロナ禍で便数が減る中で「個人のスキルも向上して欲しい。」という期待があるのかと思います。全体では、何千人もの客室乗務員がいるので、個人的にも‟人間力・感性”を高める必要があるなと考えています。」


初めての二拠点生活を通じて、何か発見などはありましたか?

「鳥取に来る前は、砂丘とカニのイメージしかありませんでした。(笑)でも、『鳥取和牛』というブランド牛があったり、鳥取産の野菜も本当においしくて。

東郷湖や智頭町といった観光地や、6年に1度しか開催されないお祭、森林セラピーなど、沢山の観光資源があることを知りました。あと、余談ですが鳥取県は公共の施設、特にトイレが綺麗です。(笑) 実際に生活してみると、鳥取へのイメージが変わりました。」


<プライベートで移住生活も満喫 ~倉吉の弓道体験~>


仕事でもプライベートでも、色々な変化や発見があったのですね。

最後に、今後の業務への意気込みや、挑戦したいことがあれば教えてください。

「今は、トリメシをいかに多くのユーザーに使っていただくか、を考えていますが、今後は島根県など他エリアへの拡大も視野に活動したいです。グローバル化を考えると、英語版のトリメシサイトも作ってみたいですね。」


「ANAの社員としては、CAとして社内資格を取得するなど、キャリアアップするのは勿論ですが、「他の職種にもチャレンジしてみたい」と思うようになりました。

インストラクターという客室乗務員の訓練・指導を行う職種があるのですが、アクシス社や営業企画職で学んだスキルや経験を還元することで、ANAグループ全体のサービス向上に繋げたいと考えています。」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――

自分の興味や「やってみたい」という気持ちを出発点に、IT業界・鳥取県という異世界に飛び込んだ結果、CAとしての新たなスキルとキャリアの目標を手に入れた長さん。


「働く場所を選ばない」そんな価値観が社会にも浸透し始めている中、

アクシスでも「Shift the Local」を掲げて、企業の成長の軸を地域に見据えています。


インタビューの中で「地域×ITの可能性についてどう思うか?」という質問に対しては、以下のように答えてくれました。


「家の近所にはスーパーもなければ、車も持っていません。そんな地方だからこそ、ITの力が必要で、出来ることも多いと思います。高齢者の中には、スマホを使えない方もいるので、まだまだ開拓余地やIT活用の可能性があると考えています。」


鳥取県の平井知事は、過去の会見で、“転職なき移住”に向けたANAとの協調について語った他、アンバサダー就任式では、「新しいライフスタイルを提案し、いろんな形で情報発信していただければ」との発言もありました。


これからのトリメシを通じた地域の活性化は勿論、ANAグループの客室乗務員として全国の都市部と地域を繋ぐ役割を担う、長さんの今後の活躍から目が離せません。




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