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ACESに感じた「人柄の相性」リードクリエイトとのAI活用プロジェクト、パートナーに選ばれた理由とは(後半)

著者: 株式会社ACES

「優秀なリーダーを育て、活気溢れる組織づくりのサポート」を掲げる株式会社リードクリエイト。リーダー育成や組織開発を軸にしたソリューションとして、主には人材アセスメント(能力評価)プログラムやトレーニング、関連するコンサルティングを手掛けます。

対面での実施を主としてきた同社にとって、コロナ禍はまさに変化の時。AIを活用し、従来以上のサポート体制を築くべく、ACESはDX推進の一助を担うパートナーとして伴走しています。なぜ、ACESが重要な責務を担うパートナーとして選ばれたのか。ACESに期待することと共に、今後目指す目的地への構想を伺いました。


※ 本記事は『日本初のリーダー育成プログラムを世界へ展開するために。リードクリエイトと共同開発する「AI評価者」の展望(前半)』の後編です。

DXに至る「2つの壁」を定義することから始まった


 われわれは2019年度まで、アナログ環境で対面のアセスメント研修しか提供できていませんでした。新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年からはビデオ会議ツールなどを用いたアセスメントを行うなど、変化への対応を求められていたのは事実です。

ちょうどその頃「Symphony(シンフォニー)」というアセスメントプログラムをリリースをしていて、アセッサーの持っているノウハウの標準化も課題ではありました。


福原 今回の取り組みを始めるにあたって、大きく二つの壁があったと感じています。一つは、リードクリエイトさまの業務を理解し、どの課題から関わっていくのかを定めること。さまざまなアセスメント演習などの業務の流れを知り、いかなる課題に対して、われわれACESの技術を用いるのか。そのファーストステップを定義することが必要でした。

もう一つは、リードクリエイト社内がDXという目的を達成するために、データ整備などのフローを定義し、確立させることでした。


笠原 確かにデータ整備やストックの点では、従来は明確なルールがなく、個々の社員がアナログで取得し、保管するなどバラバラで、全社的な整備は遅れていましたからね。


福原 おっしゃるように、いざDXに取り組もうと考えても、それらのもとになるデジタルデータが、しかるべき状態で会社として貯まっていませんと、なかなか前進はできません。現状はどのような保管がなされていて、そこでDXを実現していくにあたって、成すべき「データのあり方・持ち方の定義」から始めていきました。

2020年の12月から、それらのDXコンサルティング兼設計がスタート。それらができた2021年度の5月から約1年間かけて、AIとしての実現性を見つつ、システムを構築していくというPoCが走り出しました。現在も引き続き技術検証と、それを実際に現場へ落とし込むための検証を進めているところです。



 リードクリエイトとしても、自らが担っていることを言語化していくという、良い訓練になったと感じています。


笠原 社内でも「AIプロジェクトを始めます」という話をしたら、快い反応があったのですが、蓋を開けてみるとデータの整備や保管の徹底など、まずは泥臭い作業が多くて(笑)。でも、それらが前提として必要な作業であることを理解したからこそ、地に足を着けて社員も取り組めたのだと思います。ACESさんが、その道筋をきちんと提示してくださったのは、とても助かりました。

トランスフォームを実現する意味を知り、そして覚悟を持つ

笠原 作業を始める前の社内を振り返っても、データの「置き場所」も「置き方」もすべてがバラバラでしたから、まずはそれらを整え、ルールを決めていったんです。SDカードやDVDといった記録媒体に分かれてしまっていたようなデータも、現在はクラウド環境から概ね取得できる状態まで、この1年ほどでしっかり変わっていきました。


田村 やはりAIという技術は、いわゆる「魔法の杖」のようにきらきらして傍目に見えるものですが、それを実装させるためには泥臭い作業が欠かせません。というのも、DXは「デジタルトランスフォーム」の略ですが、その本懐はやはりトランスフォームにある。それを実現させるためにはリーダーシップがとても大切です。

「このゴールへ絶対にたどり着く」と目指し、実現するためにも、泥臭い作業は全て突破していかなければなりません。デジタルへ忌避感を持つ方を巻き込んでいくといった困難にも、全面的にご協力をいただいています。


福原 私どもが取り組む他のプロジェクトに比べましても、リードクリエイトさまの進みは「速すぎる」といえるほどで(笑)。やはり「DXのために必要な取り組みや要素」に共感し、ご理解いただいたところと、トランスフォームに対するご覚悟を決められたところが大きく作用していると感じます。トランスフォーメーションは組織や事業も含めて変わらなければなりませんから、覚悟が必要。粘り強く向き合っていただき、ありがとうございます。


田村 ヒアリングや議論を交えても、意思決定のクイックさには驚かされました。進めているDXに対してACESをパートナーとして迎えてくださったことで、われわれとしてもAIの活用をとても構想しやすい状態にあります。泥臭い作業でいえば、ベテランのアセッサーの方々からの知見の共有は、本当に地道に続けていただいて助かりました。


笠原 ベテランアセッサーに協力依頼する際には、丁寧なコミュニケーションを心がけています。実践的なデータを収集するために、実際にアセスメント受講者とアセッサーが1対1で面談するところを動画で記録します。それをベテランアセッサーに見ていただき、気になった部分を細かく記録をとってもらいます。

たとえば、緊張された方には「唇を何度も舐める」といった行動が表れるもので、そういった発露を見逃さずに記録するんです。「動画の何分何秒のところで、受験者の特徴やリーダーとしての特性を感じたか」を一つひとつExcelデータに落としてもらいます。それに対して、私たちがタイムスタンプとのズレがないか、といった点をチェックしています。


田村 そのように判断していただいた行動特性などを、ACESはAIに学習させ、ひたすらアルゴリズム化していく。その精度へのフィードバックをもとに、改善を続けています。

今後、リードクリエイトさまが培われた知見が、デジタル環境で行われる面談でも生かされ、人間と一緒にAIが仕事をして、共に進化していくループが回っていく期待が持てるところまでは来ていると感じています。


事業開発パートナーとしてACESを選んだ理由

 でも、本当にこんなふうにDXに取り組んでいくとは、最初は想像もしていなかったんです(笑)。

リードクリエイトとしてのデジタルプラットフォーム構想を考えるうえで、私がある方の講演でAIに関するお話を聞き、「これだ!」と感じて、まずはさまざまな企業を100社ほど調べるところから始まりました。

実際にAI関連企業から5社ほどに問い合わせをして、お話をしてみたのですが、正直に申し上げてどれも「従来までのITの延長」としか感じられなかったのです。それが、ACESさんとの出会いで大きく変わりました。問い合わせをしたら、すぐに田村さんがいらっしゃってくれて。


田村 最初から正直に、これまでの経緯や目的地、現状のお考えまでを聞かせていただきました。ただのデジタル化ではなく、プロフェッショナルな方々とAIがかけ合わさることによる、プラスアルファの相乗効果に期待を寄せていることが伺え、いかにそこへたどり着けるのかといった盛んな議論を、時間は短いながらも交わしたことを覚えています。

私としても「リーダーを育てていく」というリードクリエイトさまのミッションは、確かにこれからの日本にも大事なことですし、AIやディープラーニングとの相性も良いはずだと思えました。ACESとしても、デジタルのちからで事業を加速させていく文脈とマッチすると感じました。

デジタルトランスフォーメーションには、現状理解、トランスフォームしたゴールの設定、ボトルネックとなる要因の特定といった議論が欠かせません。一緒にプロジェクトを進めていく中で、リードクリエイトのみなさんが惜しみなく現場の情報などをヒアリングからお教えいただけることは、現在でも強い前進力となっています。

AIとは「アーティフィシャル・インテリジェンス」ですから、そもそも「携わる人間が現場で何をしていて、どのように考えているのか」というインテリジェンスから理解しなければ、それをアーティフィシャルにできるわけがないのです。


 今のお話にも通じますが、数ある企業からACESさんと組んだのは、その人柄にもあったと思いますね。AIの技術者と会う中で、議論やディスカッション、ヒアリングといったコミュニケーションが難しいと感じるケースが正直に言って多かったのです。

でも、ACESのみなさんは、本当に話をたくさん聞いてくれる。われわれに耳を傾けてくれながら、時にはこちらでも理解できるようなレベルにまで論点を明確にしてくれるおかげで、対話しながら進んでいける。それはリードクリエイトでよく携わるメンバーほど、実感しているポイントではないでしょうか。


福原 私たちからしても、リードクリエイトのみなさんが、われわれACESに寄り添っていただけていると、深く感じています。


「日本にリーダーが増えたか」が目指していくべきKPIに

田村 私はACESに対して、アカデミアの最先端技術が社会へ実装され、その社会に実装されていたことがアカデミアに返るという結果を生み、さらにはアカデミアの人材が社会で活躍できる場をつくるといった「正のループ」を作りたいのも、創業の思いとしてあります。

今回の取り組みは、ヒューマンコンピューターインタラクションの研究領域において、学術的な発表にもつながる成果が出てきていますね。「プロの見え方」を機械と一緒に再現していくという論文が権威のある学会でも発表され、グローバルに結果が出てきているのも、実に喜ばしいことです。


 今後のプロジェクトの弾みにもなりますね。現在でいう年長世代は、まだまだAIより人間によるフィードバックを受け入れやすいようには感じますが、デジタルネイティブな世代はむしろAIによる評価を信じる傾向にあっても不思議はありません。あるいは、人間とAIの両方の評価を得たほうがフィードバックの精度が上がってくる。

それにより「気づき」の精度も高まる。結局、人間は「気づき」という刺激がないと、自己改革できるタイミングがないのです。アセスメントという評価だけではなく、AIによる可視化をはじめとした「AIがもたらす刺激」の先に、われわれが後押しできるビジネスが伸長できる余地がある。今、日本に元気がないのはリーダーが不在だからという一面もあると考えていますから、そこへの期待は大きいです。


田村 そうですよね。自分自身も、これからの時代に必要なリーダーを育てることにコミットしていきたい気持ちが強いです。多くの人がAIなどデジタル技術の研究に注力しがちなのですが、実はリーダーのほうが希少価値は高い。DXによるトランスフォームを牽引するのもリーダーです。

長期的な目線では、リードクリエイトさまとACESのプロジェクトは「日本にリーダーが増えたか」が目指していくべきKPIになるかもしれません。ますます「リーダーシップとは何か」をサイエンスして、言語化が進み、もし学べるものになったのであれば、育成によってリーダーを増やしていくことも望めます。15年後、20年後くらいに振り返ったとき、それが成し遂げられる事業が作れたらと思っています。



笠原 言語化することで、リーダーとしてもっと高めるべきポイントを明示できるのであれば、ぜひとも受講者に見せてあげたいです!


 当面はBtoB事業として組織内リーダーにフォーカスしていこうとは考えていますが、人材流動化が進むことを念頭に置くと、今後は個人にデータが紐付くようにしていったほうが採用やアサインも含めて、活用余地の大きなプラットフォームに進化させられそうです。


福原 一口にリーダーといっても、その有り様はまちまちです。自分にとって向いているリーダー特性が測れるようになれれば、より多様な組織で活躍できるでしょう。先天的な良さを活かしながら、後天的な要素を伸ばしていければ、それこそ新入社員のときからリーダーとしてのレバレッジをかけていけるはずです。日本企業を新入社員から底上げしていく仕組みにできるかもしれません。


田村 アセスメントとして評価する瞬間だけでないところまで価値提供ができますよね。人間だと誰かに寄り添うことはできませんが、AIであれば常に共に歩むパートナーとなり、そしてアセッサーとも連携できる。


 現状はアセスメントを受けることそのものの敷居が高いですから、それをもう少し下げられたらと。脳ドックまでいかなくても健康診断を受けるようなイメージです。大切なのは、自分で自分をちゃんと理解したうえで行動を選択できること。特に後天的な要素である「実際の行動」は変えられる部分です。行動の選択肢を増やすために、能力の特性や自己理解を促せれば、リーダーは必ず増やしていける。そう信じています。






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