数百の試作品を経て、約5年越しに商品化を実現。ほうれい線目立ちの深い悩みにメイクで挑む物語。「トワニー ドラマティックメモリー」開発秘話
カウンセリングブランドのトワニーから、新しく登場する「トワニー ドラマティックメモリー」は、多くの人が悩みを抱える「ほうれい線の目立ち」にメイクで挑む新しいアイテムです。発売までに約5年という月日を要した新商品は、部署の垣根を飛び越えた多くの人との縁を力に誕生しました。今回は、「トワニー ドラマティックメモリー」の研究・商品開発に携わった飯田さん、宮崎さんに、「トワニー ドラマティックメモリー」誕生秘話について話を聞きました。
(左:宮崎さん、右:飯田さん)
◆ベースメイクで「ほうれい線の目立ち」のお悩みに挑む
―まずは、新商品「トワニー ドラマティックメモリー」の特徴についてお聞かせください。
飯田:塗膜が収縮することで肌を引っ張り、ほうれい線を一時的に目立ちにくくするベースメイクアイテムです。化粧水と化粧下地を使用したあと、ほうれい線に沿って線を引くように「トワニー ドラマティックメモリー」を塗布します。液が乾くと薄くしなやかな膜ができるのですが、そのときに縮む作用を利用して、肌を引っ張るのです。メイクの仕上げはパウダーファンデーションで行います。
宮崎:ほうれい線の目立ちには、シワ(溝)と頬のふくらみの2要因からできる影の影響がほうれい線の目立ちに影響すると考えています。指でほうれい線外側の肌を引っ張ると目立ちにくくなりますよね。それをベースメイクで実現させるのが「トワニー ドラマティックメモリー」なんです。
◆「IWF発想」を掲げプロジェクトを開始
―「トワニー ドラマティックメモリー」の開発話の前に、お二人のこれまでのキャリアについてお聞きしたいと思います。
宮崎:2005年に入社し、ポイントメイク商品の開発、その後カナダで口紅についての研究留学、スキンケア商品の開発を経て、2018年からはメイクアップ化粧品の新規技術開発グループのグループリーダーを担当しています。
飯田:私は2007年に入社して以来、ベースメイク商品の研究開発を行ってきました。宮崎さんはカナダでしたが、私にはアメリカのカリフォルニア大学に生物工学を学びに行った経験があります。この時に学んでいたのはポリマーを利用した生物模倣材料。これが「トワニー ドラマティックメモリー」の着想に繋がっていたと感じます。
―肌にはさまざまな悩みがある中で、ほうれい線をテーマに選んだのはなぜですか。
飯田:ほうれい線は見た目年齢に与える影響が大きく、悩まれているお客様が多いという認識がありました。また、ほうれい線は、目尻のシワ(以下シワで統一)と比べると深く、頬のふくらみが大きな人はより目立って見えるので、「埋めて目立ちにくくする」という従来の自社技術では限界があったのです。
「ほうれい線を一時的にでも目立たなくしたい」というお客様の要望を叶えるため、「Immediate Wrinkle Free (今すぐ ほうれい線の悩みから 解放したい)という想い」から「IWF発想」と呼ぶプロジェクトを始動させたのです。
宮崎:分かりやすくかつチャレンジングな引き込まれるテーマ設定だと感じましたね。今回「トワニー ドラマティックメモリー」の開発に飯田さんと一緒に取り組めることになったときには縁を感じました。飯田さんがカリフォルニア大学に留学に行く際、ベースメイクチームに異動してきた私が同じテーマを引き継いだことがありましたので。また一緒に取り組めることが嬉しかったです。
飯田:私も宮崎さんには縁を感じていました。出身地も近いんですよね。昔からアドバイスをもらう機会も多く、頼もしく感じています。
―ほうれい線にメイクで挑もうと思ったのはなぜなのでしょうか。
飯田:入社当時から肌の形状制御という観点で化粧品の研究開発にチャレンジしてみたいと思っていたんです。加えて、ベースメイクの研究を進める中で、機能塗膜を肌に形成することで、テカリを抑制できることを知り機能塗膜の可能性を感じていました。ほうれい線は目立ちやすい分、悩みも深い。大きなチャレンジになるだろうと思いましたが、ぜひとも応えたいと思っていました。
―他にも化粧品ブランドがある中で、トワニーから発売することになった理由は何ですか。
宮崎:プロジェクトが始動したときは、まだトワニーで発売するとは決まっていませんでした。きっかけは、2019年頃に実施した消費者調査です。その場に参加していたトワニー商品開発の担当者(丸橋さん)がIWF発想に共感してくれ、話が進みました。「トワニー ドラマティックメモリー」の処方や使用方法は新規性が高く、お客様に効果をより感じていただくためには、購入時に使い方をしっかりお伝えし、購入後にもフォローをすることが大切だと考えていました。一方、トワニーは生涯カウンセリングを掲げ、お客様の悩みに寄り添うことを大切にしているブランド。ドラマティックメモリーの商品化に適していると確信しました。
◆ゼロベースからの研究開発が生んだ、部門の垣根を超えた「連携」
―研究を進める中で大変だったことについてお聞かせください。
飯田:これまでにも多くの研究や商品の開発プロジェクトに携わってきましたが、「トワニー ドラマティックメモリー」は処方、製造法、使用方法のすべてが新しかった分、これまでで1番苦労したなという感覚があります。ほうれい線を目立ちにくくするための膜を作るには、高い収縮性と適度な柔軟性という相反する性能を持つ素材が必要でした。これが本当に難しかったですね。あらゆる原料会社から原料を入手し、検討を重ねていきました。
また、処方の新規性が高いため、参考にできるものがありませんでした。各分野のプロフェッショナルにもヒアリングを行いながら、ゼロベースで処方を検討し、新処方を開発。その新処方の製造方法を生産技術部門と確立するのも大変でした。
あとは使用方法ですね。皮膚の断面構造も参考にしながら何百回も塗布を続け、今の方法に辿り着いています。開発研究の5年間で作った試作品は数百。実験ノートも10冊を超えるボリュームになりました。
宮崎:今回の研究では他部署にも力を借り、連携しました。当社研究所には、ポリマー研究のプロフェッショナル、シワ研究のプロフェッショナル、クレンジング研究開発のプロフェッショナルなどさまざまなプロフェッショナルがいるのですが、「トワニー ドラマティックメモリー」は彼らのプロ精神をくすぐる商品だったようで、よく議論が起きていましたね。チャレンジを猛烈に応援する社の文化に非常に助けられました。
―例えば、どのような助けや連携が印象に残っていますか?
宮崎:一例を挙げると、クレンジングですね。初期のプロトタイプの処方は自社内の一般的なクレンジングでは落ちにくく。クレンジングのプロフェッショナルの知見に助けられました。私が立てたスケジュールを見て、先輩方に「遅すぎる」と言われたこともありました(笑)が、多くの知見が集まって、研究が一気に進むときは、地に足がつかない感覚すらありました。
飯田:様々な面で新規性が高い分、段階を踏んでやっていきたい想いもありつつ、スピード感も大切なので、そこは周りに引っ張ってもらった部分も大きかったですよね。自分たちの限界を超えるものづくりができるワクワク感が大きかったです。
◆協力を越え、協働。関わった人すべての想いになんとしてでも応えたい。
―技術を確立したあと、実際に商品にしていくまでに大変だったことはありますか?
飯田:肌への塗布方法を考えるのに苦労しました。ほうれい線にはさまざまな見え方のタイプがあるため、処方設計だけでは乗り越えられなかったんです。結果、生活者研究のプロフェッショナルと社内で呼ばれる担当者(池田さん)が、シワ(溝)の目立ちと頬のふくらみ感という2軸でほうれい線の見え方を9タイプに分けるという新しい試みにチャレンジしてくれました。
そして、どのタイプであってもほうれい線が目立ちにくく仕上がるような塗り方を検討しました。
図:ほうれい線の見え方9タイプ
宮崎:お客様に感じて頂きたい「効果感」と「使用感」のバランスの落としどころも議論になりましたよね。塗膜が収縮する力が強い処方は、ほうれい線が目立ちにくくなるという「効果感」は得られやすい。一方で、塗膜の収縮力は肌負担と感じられがちな「使用感」につながる。使用感を考慮して「効果感」が知らず知らず下がっていることがあって。そのたびに「これって、そもそも何のためにやってるんだっけ」と立ち止まって考えることもありました。
原点回帰のために最もほうれい線が目立ちにくくなる処方を皆で試す場面が何度もありました。
飯田:最後の最後まで、様々な部署に確認を取りながら、現在の処方設計に落とし込んでいきましたよね。
宮崎:「ドラマティックメモリーはどのメイクアイテムと組み合わせられますか」というご質問に対する返答を考える必要がありました。きれいに仕上げて頂くために、トワニー商品の中で検討し、様々な組み合わせを検証し、おすすめアイテムを1つずつ決めていきました。
―その他、商品開発において、印象に残っているエピソードはありますか?
宮崎:私は隣の部署のマネージャーであり、尊敬する先輩から「つらいことがあっても、とにかく飯田くんの隣で元気に笑ってろ」と助言をもらったことが印象に残っていますね。先輩自身も新しいチャレンジに関わった経験がある方なので、担当者にのしかかるプレッシャーが想像できたのだと思います。私まで深刻な顔をしていたら、飯田さんの支えにならないよと教えてくれたのでしょう。というわけで、笑顔を心がけていましたよ(笑)
飯田:そうだったんですね。そう言われると、忙しい中でも相談に行くと気さくに応じてくれるカジュアルさと熱さの両面があるなと感じていました。
宮崎:あとは、本当に社内のいろいろな方の協力や応援を得てきたことでしょうね。シワ(溝)と頬のふくらみからほうれい線の見え方タイプを提案したのも私たちではなく、池田さんという方で、元々は別のチームだったのに、今ではまるで、最初から同じチームだったような心強い存在です。こうして、応援してくれた人たちのためにも、何としてでも上市しなければという気持ちがありました。
飯田:そうですね。社内でシワ研究のプロフェッショナルと呼ばれている方から「難易度が高い研究だけど、チャレンジする価値があると思う」と言ってもらえたことが縁で、この商品の開発を進めるにあたり協働で研究するきっかけになりました。部署の垣根を超えてお客様の願いに応えていけたことが非常に印象に残っています。
◆「トワニー ドラマティックメモリー」は生まれたばかり。これから大切に育てていきます
―今回の開発に対する振り返りの感想、今後への想いをお聞かせください。
宮崎:本当にいい経験をさせてもらっているなと思っています。みんなでスクラムを組んで挑戦できているなと。ここに至るまでに多くの部署の人達との関わりが持てたことで、会社という組織の見え方も変わりました。全く異なる部署・立場の人達が集まる場でも、困難な課題を乗り越えるためには、それぞれが腹を割って議論せざるを得ず、それが結果的に強い絆に繋がりました。今後も、社内の絆をフル活用し、共創事例を増やしたいです。
飯田:宮崎さんと同意見です。今回の取り組みでできた絆は本当に大きく、これまであまり携わることがなかった方にもヒアリングができたことで、垣根を超えた繋がりができました。「トワニー ドラマティックメモリー」はまだ生まれたばかりで、ここからは育てていく段階に入りますから、これからもいろいろな可能性を探っていきたいですね。また、「トワニー ドラマティックメモリー」に限らず、お客様が抱えている悩みに対して、これからも新しいご提案をしていきたいと思っています。
社内の様々な分野の専門家の知見を結集し、部門の垣根を超える研究が行えたことで実現に至ったトワニー ドラマティックメモリー。飯田さんが最後に語ってくれたように、誕生後は商品として育てていく段階に入ります。次回のストーリーでは、ドラマティックメモリーの商品としての開発・育成について振り返る「商品開発編」をお届けします。
花王メイクアップ研究所
飯田 将行
2007年入社後から、ベースメイク商品の研究開発を担当。
お客様が解決は無理だとあきらめている悩みに対して、既成概念にとらわれず、チャレンジすることがモットー。
研究留学での経験と学びを経て、トワニー ドラマティックメモリーの研究開発・提案に至る。
花王メイクアップ研究所
宮崎志洋
2005年入社。ポイントメイクの商品開発に携わった後、研究留学。その後スキンケアの商品開発を経て、2018年からはメイクアップ商品の新規技術開発グループのグループリーダーを担当。
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