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ここは、人生の物語に出会う場所。

利他の投資を広めたい ー会社四季報100冊読破まで25年間のあゆみー 

著者: 複眼経済塾株式会社

          複眼経済塾 代表取締役塾長 渡部清二


投資・経済・ビジネススクール「複眼経済塾」代表取締役塾長の渡部清二です。塾生に日本株投資を通して、企業を愛し、日本を愛でる利他の投資を広めたいと考え、2016年に塾を始めました。


延べの塾生数は3,500人に及びます。国内最大手の野村證券での個人向け・法人向け営業経験を経て、大手金融機関では伝えることが難しい利他の投資について、独立して、共に学びあう「21世紀の松下村塾」を作りたいと考え、独立しました。「貯蓄から投資へ」の旗印のもと、NISA(少額投資非課税制度)、iDeCo(個人型確定拠出年金)と制度は充実していきますが、金融商品はあふれてもいて、何を選んだらいいのか、何から学んだらいいのかわからない人たちのための教習所になりたいと考えています。


そんな想いで立ち上げた複眼経済塾では、月に一度、約1時間半のリアルとオンライン双方で参加可能なハイブリッド月例会の実施。また、そこで教えた企業選別方法などを自らも実践できるようにする約4時間に及ぶワークショップなど双方向の講義を提供しています。加えて、週刊や日刊でも塾生専用のSNSで独自コンテンツを配信したり、質問に答える塾生の方々と双方向コミュニケーションの学びの場を提供しています。


今回は、そんな私の挑戦のきっかけから、現在に至るまでのストーリーをお伝えします。

独立のきっかけとなった先輩のスパルタ教育

独立の礎となったのは、1997年に私の上司となった竜沢俊彦先輩のスパルタ教育のおかげで徹底読破を始めた会社四季報、切り抜きを始めた日本経済新聞、そして株価や金利などの日々の変化を手書きで記した指標ノートです。四季報は読み始めてみると面白く、最初は、空欄に感想をメモする程度だったのが、蛍光ペンを引き、付箋を貼るようになり、リポートをまとめるまでになりました。四季報を読んでいることで注目企業がわかるようになったのはもちろんのこと、話題が豊富になり、誰とでもコミュニケーションできるようになりました。

進化する読書術:四季報を2日半で読破すると浮かび上がるストーリー

私の四季報読破は、徐々に進化していきました。当初は下図のように、感想を裏表紙に書くというシンプルなものでした。読破にも1週間はかかっていました。


     完全読破初期の会社四季報では背表紙に感想を書きこむ程度だった


今は机をきれいに整頓するという儀式(大袈裟ですが)ののち、1ページ毎に蛍光ペンでハイライトし付箋を貼っています。100ページ読了するごとに折り目をつけ、2,000社までくると半分制覇したということでホッとします。仮眠をとりながら2日半、酒断ちをして一気に読んでしまいます。最後は、さすがに若干やつれ無精ひげも生えてきて疲れます。目も辛いです。しかし、一冊を通読しているうちに、一冊の本に流れる通奏低音のようなストーリーを感じるようになります。私にとっては、四季報が投資情報だけでなく小説にも見えているのです。

1998年から25年で世の中は劇的に変化

私は、こんな毎日を25年間過ごしてきました。今回、久しぶりに当時のキーワードを読み直してみると、25年前は、今と大きく異なる時代だったことが思い出されます。「NTT:PHS投資一巡」とあります。スマートフォンが当たり前になった今、「PHS」はとても懐かしい言葉です。「アウトソーシング」にも注目しました。利益の重要性が訴えられるようになり、企業が競って人件費や物流費の削減に走り、「アウトソーシング」が流行し、今や当たり前になってしまいました。


私が四季報を読み始めた1998年は、のちにエコノミストによって「日本経済変貌の節目の年」と指摘されるほどの歴史の大きな転換点です。価格破壊が注目されデフレが本格化しました。自殺者は3万人を超えました。こんな転換期の入口に四季報を読み始めることができた幸運には感謝するしかありません。当時、注目企業としてあげていたファーストリテイリングの株価は、25年間で300倍になりました。一方で同じく注目企業だったワタベウェディングはコロナ禍で他社のグループ下に入り上場廃止となりました。時代の大きな変化を感じます。

私の25年も激動でした

私にとっても激動の25年でした。1999年に、先日亡くなった安倍晋三元首相が苦しんだ潰瘍性大腸炎を患いました。腸が炎症を起こし自らが自らの身体を傷める難病で、当時はまだ全く治療法がわからず、バケツ何杯分もの新薬を試しました。薬だけでなく、当時話題になり始めていた手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」を使い大腸を全摘しました。それでも手術はうまくいっておらず、何度も腸閉塞をおこし、ついには、小腸も一部摘出しました。一歩間違えば、おそらく私は、今この世にいないことでしょう。会社の本棚には100冊の会社四季報を並べていますが、健康状態が極めて悪かった時に入手した2000年第1集新春号は、読むのが精一杯で付箋を貼れず蛍光ペンでマークすることもできませんでした。あれ以来、いつ死んでも後悔しない人生を歩もうと決意しています。いつまでも会社に仕えていてはいけないと考え、2013年に野村證券を退社し創業を準備、2014年に四季リサーチ、2016年に複眼経済塾を設立し、いずれも代表取締役になりました。前者は機関投資家向け。投資・経済・ビジネススクール「複眼経済塾」で、個人の方々と、森羅万象を学ぶことで投資の本質そして日本を知る活動を進めています。


       生死の境をさまよったこともあった入院生活

記念の100号で感じたテーマは、「日本回帰」

こうして25年間四季報を読んできた私が2022年10月1日に読破した100冊目の2022年第4集秋号で感じたこと。それは「日本回帰」です。日本には、とても良いニュースです。1990年代、グローバル化が進行し、円高も進んだことなどから、製造業は生産拠点をこぞって海外に移転しました。また、小売業などの非製造業も人口増加が加速する海外での売上高を伸ばしています。この結果、日本メーカーの家電を買っても、それは海外の工場の利益になってしまい日本から富が流出する現象が起こっていることが想像されます。


それがロシアのウクライナ侵攻で顕在化した西側諸国と中国・ロシアとの「新冷戦」構造や円安によって、「日本回帰」の動きが起きているのです。ある電器メーカーは、冷戦の激化による供給途絶リスクに備えるため、中核部品を日本で生産することにしました。円安で海外から輸入するワインの価格が上昇していることから、日本産のワインに価格競争力が生まれ国産ワインの出荷量が増えそうです、などなど、「日本回帰」の傾向は、日に日に鮮明となっています。


     2020年10月 100冊完全読破を達成し喜びで満ち溢れた瞬間

年金2,000万円問題でなく利他投資で自立した経済人を増やしたい

こんな環境下で、私は次のようなことを塾生に話しています。「『日本回帰』が軌道に乗るかどうかは、私たち1人1人の投資行動や買い物などの消費行動にかかっている」と。というのも価格を優先し産地や生産者などのことを考えずに行動した結果が国内空洞化だからです。年金2,000万円問題を憂いて、自らの資産をどう増やそうかということばかりを考える利己でなく、他の人たちが幸せになるために、どんなギブができるかという利他の考えを優先してみることが今こそ必要なのではないでしょうか。


もちろん、私たちの投資、消費行動によって、海外の方々が潤うことも利他の投資です。ただ、この25年間の海外シフトにより、国内のあちこちが寂れてしまった現実を見るにつけ、私たちは、今こそ、投資・消費の「国内回帰」をもっと意識するべきだと思うのです。複眼経済塾が、日本株、日本企業、そして日本を研究の中心に据えているのは、このためです。NISAも重要ですが、制度を活用する際に利他の心を忘れていないでしょうか。儲けたいという気持ちを否定するものでは全くありませんが、大義なき儲けを求めると破滅する危険性があります。複眼経済塾では、こうしたことを自分の頭で考える自立した経済人を増やしたいと考えています。


2022年10月1日100冊読破記念月例会を塾生の方々と日本橋兜町KABUTO ONEホールで


投資ツーリズムで地域に潤いをもたらしたい

日本企業そして日本の産業を、歴史も踏まえながら心底学びたいと思い、私は独立してから、全国の産業拠点をまわり、塾生向けの月報に文章をしたため、動画でも収録してきました。その数は7年間で約60か所に及びます。江戸時代、住友グループの原点となった愛媛県別子銅山跡を見学したり、トヨタ自動車や日立製作所などの大企業の発祥の地を訪ねました。また、会津藩(福島県)、薩摩藩(鹿児島県)など江戸時代にさかのぼる旅、さらには東北で縄文時代の遺跡も巡りました。一方で、大きな原発事故が起きた福島第一原発周辺も回り、古代から現代にいたるまでの日本人の歩みを産業という切り口で見ることで、本物の株式投資をしたいと考えています。リサーチして良いと思った場所は、複眼ツアーを組織し、塾生と2度、3度と訪れています。こうした流れをさらに拡大、深化させて、いずれは、投資ツーリズムとして広め、複眼経済塾は、日本の地域振興にも役立ちたいと考えています。



塾生と訪問した近代化産業遺産で住友グループを生んだ別子銅山跡地(愛媛県新居浜市)


四季報100冊読破をきっかけに、改めて複眼経済塾の歴史を振り返り、お伝えしました。

日本弥栄(いやさか)、複眼弥栄。ご共感いただけたら、ぜひ、共に学んでいきたいです。









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