海老せんべいの老舗・坂角、ハンドクリーム〈エビカラミライ〉開発秘話。働く人の手と、豊かな海を守りたい。
2022年2月7日(月)海老せんべい〈ゆかり〉を製造販売する坂角総本舖は、初めてのスキンケアアイテム、〈エビカラミライ〉を発売。創業から134年、海老せんべい一筋に作り続けた老舗が、なぜ急にハンドクリームを?と、多くの方から戸惑いの声をいただきました。
「なぜ煎餅じゃなくてハンドクリームを?」「そのハンドクリーム、海老のにおいがするの?」
みなさまの疑問にお答えすべく、〈エビカラミライ〉という商品に込めた坂角総本舖の想い、その開発経緯をご紹介いたします。
海老と歩む、自然と生きる未来のために。
坂角は商品の主原料である海老を極め、海老とともに歩んできました。これからもおいしい海老せんべいをお届けするためには豊かな海を守り、未来へつないでいくことが何より大切だと考えます。
そこで海の資源を利用することで生じる廃棄物を削減し、有効利用によって循環させ、持続可能な形で海の環境を守っていくための「オーシャン・サイクル・プロジェクト」チームを社内で結成。プロジェクトの第一弾として、リーダーの伊藤さんを中心に、海老せんべいの製造過程で大量に廃棄される海老殻への取り組みをスタートしました。
↑オーシャンサイクルプロジェクトメンバーと、リーダーの伊藤真広さん(写真一番左:坂角総本舖マーケティング部営業企画課長)
海老とともに働く人の手を助けたい。
―――Q:「オーシャン・サイクル・プロジェクト」リーダーの伊藤さんに質問です。どうしてハンドクリームを開発しようと思ったのですか?
伊藤:坂角の海老せんべいづくりの背景には、つねに海老漁を担う漁師さんたちがいます。その手指は冷たい海風や海水など厳しい環境にさらされ、手荒れが絶えることはありません。
また坂角の工場で鮮度を保って海老を加工する人たちも手指を酷使しています。おいしさを支えるために働く手をすこしでも助けたいという想いがありました。
↑漁師のみなさんと、海老の頭取り加工のようす
―――Q:なぜ、海老の殻からハンドクリームが作れると考えたのですか?
伊藤:海老殻に含まれる「キチン」という天然繊維のような糖質がカギとなりました。鳥取大学発のベンチャー企業の研究によってカニの殻由来の「キチン」を活用したハンドクリームが開発されたと知って、海老でも同じことができるんじゃないかと思い、話を聞くために展示会に出向きました。そこで株式会社マリンナノファイバーの伊福代表と出会えたことが、海老殻を有効活用したハンドクリーム開発につながりました。
キチンナノファイバーのひみつ
―――Q:株式会社マリンナノファイバーの伊福代表にお聞きします。特許技術でキチンの微細化に成功したという、「キチンナノファイバー」について教えてください。
伊福:キチンはきのこにも含まれる身近な成分です。キチンナノファイバーは、カニや海老から取り出したキチンを、独自の技術で超極細繊維(ナノファイバー状)にしたものです。それにより、従来のキチン粉末では不可能だった他の材料との配合や形成がしやすくなりました。
↑株式会社マリンナノファイバー代表伊福伸介氏(鳥取大学工学研究科教授)
―――Q:〈エビカラミライ〉では、キチンナノファイバーがハンドクリームに配合されていますよね。お肌にはどのような効果が?
伊福:ハンドクリームにキチンナノファイバーを配合することで、肌にすっとなじんでいき、潤いをもたらします。緻密で強い被膜が荒れた角質層をなめらかにし、外部の刺激から肌を守ってくれます。しかも肌に密着するので、使用回数が少なくても効果を実感できます。
伊藤:お子さまからご年配の方まで年齢を問わずご使用いただけることも特徴ですよね。
↑子どもと一緒にエビカラミライを使うプロジェクトメンバーのようす
―――Q:海老殻からキチンナノファイバーを作ることは、カニとまったく同様にできたのでしょうか?
伊福:いいえ、実はそこが最も苦労した点でもありました。海老殻からキチンを抽出する際、アレルゲンなど不要なものを除去する工程があるのですが、カニと同じようにはいかず、完全に除去するために時間と工夫を重ねることとなりました。
↑海老せんべい〈ゆかり〉の原料天然海老と、海老殻から作られたキチンナノファイバー
環境にも人にもやさしいハンドクリームを。
―――Q:それだけ苦労されても諦めずに共同開発を続けてくださったのは、なぜでしょう?
伊福:海老を大量に扱う坂角総本舖が、廃棄される海老殻をなんとか有効に利用したいという想いと、「オーシャン・サイクル・プロジェクト」の考え方に共感したからです。
私がキチンの研究を始めた理由も、鳥取県の特産品であるカニの殻が大量廃棄されている現状から、この殻を有効利用できないものかと考えたことがきっかけでした。
伊藤:坂角総本舖と同じ想いで開発に取り組んでくださった伊福代表には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
―――Q:キチンナノファイバーは、やさしい想いから生まれた素材なのですね。今後に向けて伊福代表からひとこと、お願いします。
伊福:キチンナノファイバーは、スキンケア商品以外に、農業分野で植物の生長を促したり、食品への添加でもさまざまな効果が認められています。まだ研究中ではありますが、今後さらに広い分野で海老殻由来のキチンナノファイバーを活用できれば、たとえば世界中で海老漁に携わる人々にも、より良い未来が開けるかもしれません。
―――Q:さいごに、プロジェクトリーダー伊藤さんから、ひとことお願いします。
伊藤:伊福代表にご苦労いただいた甲斐もあり、とても良いハンドクリームが出来上がったと思っています。パッケージも、年齢や性別を問わず使っていただけるデザインを目指しました。
ちなみに、海老殻からキチンだけを抽出していますから、海老の香りは残っていません。ご安心ください。
自然へ、人へ、わたしたちの感謝がかたちになった<エビカラミライ>、手荒れに悩むすべての方に寄り添うハンドクリームです。ぜひお試しください。
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