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80代の著者さんもおられます。

ガラスがヒーターになるってどういうこと?ダブルグラスヒーターの仕組みと未来について開発者に聞いた

著者: 株式会社エクセルリビング

左)家電ライター・田中真紀子氏、右)エクセルリビング代表・矢島友和氏


みなさんはヒーターというと、どのようなものを思い浮かべますか。遠赤外線ヒーターやセラミックファンヒーター、オイルヒーター……様々な種類が出てくると思います。でも「ガラスヒーター」を知っている人はほとんどいないのではないでしょうか。


そんなものあるの?と思われた方、実はあるんです!それがこの、SONOBI(ソノビ)の「DOUBLE GLASS HEATER(ダブルグラスヒーター)」。透明なガラスを額縁で囲んだようなデザインからは、とてもヒーターには見えませんが、このガラスがヒーターのように発熱し、周囲をやさしく暖めてくれるのです。


では、なぜガラスがヒーターになるのでしょうか。その仕組みや製品化に至る開発秘話、そして“発熱するガラス”で思い描く展望について、開発に携わったエクセルリビング代表・矢島友和氏に話を聞きました。


text.田中真紀子

導電膜ガラスを用いた業界初のガラスヒーター


――そもそもDOUBLE GLASS HEATER(ダブルグラスヒーター)とは、どのようなヒーターなのでしょうか。


私が2017年に立ち上げたエクセルリビングが展開するインテリア家電ブランド・SONOBI(ソノビ)の第一弾となる製品で、電気を通すガラスを搭載したパネルヒーターです。2枚のガラス自体を発熱させることで、輻射熱が周囲をじんわり暖めると同時に、2枚のガラスの間から暖かい空気が上昇(煙突効果)して対流を作ります。

インテリアとしても遜色ないデザイン、Sonobi「ダブルグラスヒーター」

ダブルグラスヒーターの上部、通気口から温められた空気が上昇する


――「ガラスが発熱する」と言われても、いまいちピンときませんが、どういう仕組みなのでしょうか。


もちろん一般的なガラスは電気を通さず発熱もしません。ですが「導電膜」と呼ばれる透明な素材を貼ると、ガラスに電気が通って発熱できるようになるんです。この技術自体は以前からあるものですが、コンシューマー向けに製品化したのは、おそらくこのDOUBLE GLASS HEATER(ダブルグラスヒーター)が初めてではないでしょうか。


――なるほど。ガラスがヒーターになるメリットは、やはりスタイリッシュなデザイン性ですか。


それだけではありません。ガラスは蓄熱性が高いため、省エネ性に優れているのです。実は多くのヒーターに使用されているアルミやスチールは蓄熱性が低いため、放熱と熱供給を連続して繰り返さなければならず、電気代が高くなりがちです。


その点、このDOUBLE GLASS HEATER(ダブルグラスヒーター)は、熱供給をしなくても一定時間暖かさを保つことでき、消費電力を抑えることができます。さらにアルミやスチールに比べて10〜20倍の放熱率があり、熱効率が非常に良いというメリットもあります。

下から冷たい空気を吸い上げる煙突効果(チムニー効果)により、1.5メートルの高さまで温める

導電膜ガラスを利用したヒーターと一般的なパネルヒーターの電気代比較

せっかくの素晴らしい技術、多くの人に活用してほしい


――導電膜ガラスを使ったコンシューマー向け製品は業界初だそうですが、どのような経緯で製品化が実現したのでしょうか。


もともと、このコア技術に精通した創業者が、主にホテル向けなどにオーダーメイド製品を作っていたのですが、「この素晴らしい技術を一部の産業用に留めておくのはもったいない」と考え、一緒に製品開発させていただくことになりました。そして、導電膜ガラスのインテリア性と蓄熱性の高さを生かした製品として、ヒーターの製品化に踏み切ったのです。


でもそこからが大変でした。設計図が完成し、いざ製造しようとなったときに、生産してくれる工場がない!というのもDOUBLE GLASS HEATER(ダブルグラスヒーター)はおよそ10個以上のパーツから成り立っているため、それぞれを工場に委託する必要がありますが、今まで創業者が委託していた工場が次々に閉鎖してしまったのです。そこで新たに委託できる工場を探し、一から関係性を築いていくのに、時間がかかってしまいました。

Sonobiブランドオーナー、エクセルリビング代表、矢島友和

家電ライター・田中真紀子


――確かに製品自体は2018年に発売を開始されましたが、本格的に一般販売されたのは、2022年秋でしたね。


2018年の発売当初は、小ロットでなんとか作っていたため、入荷しては売り切れ、入荷しては売り切れ、という状況でした。でも在庫がなければ新規流通もできず大きな機会損失になりますし、ブランドとしての広がりも頭打ちになるため、台数を出すことは急務でした。おかげさまで昨年、やっと需要に応えられる数が生産できるようになり、現時点では、数百台単位でご購入いただいていますので、これからも多くの皆さんに知っていただきたいと思っています。


――どのようなユーザーが多い印象でしょうか。


デザインはもちろんですが、やはり価格が高いぶん、その価値を感じてくださった方が購入してくださっている印象があります。モノを持たないミニマリストのお客様も多く、厳選したうえで選んでくださっているのだと感じます。さらにDOUBLE GLASS HEATER(ダブルグラスヒーター)は構造がシンプルなので故障も少なく、万一故障しても、多くは部品の交換で済ませられます。壊れたらすぐに買い替えるのではなく、修理しながら10年、20年と長く愛用していただける。私たちはそんな家電ブランドを目指しています。

矢島がブランドに関わることで手掛けたひとつ、新色「グレー」を加えた

導電膜ガラスを通して家電や社会に新たな価値を提供したい


―DOUBLE GLASS HEATER(ダブルグラスヒーター)はどのような使い方をするといいですか。


DOUBLE GLASS HEATER(ダブルグラスヒーター)は2枚のガラスから発する熱と同時に、上部から昇る対流が特徴です。2枚のガラスの間は、1.1㎝と非常に狭いため、本体下部から入り込んだ冷たい空気は、狭い空間で温められながら勢いよく押し上げられ、高さ1.5mあたりまで昇って対流を生み出します。

導電膜ガラス(モノハガラス)は、厚く重厚感がある


ですから、使い方のおすすめとしては、窓際に置くこと。上昇する気流が窓から侵入する冷気をブロックするとともに、対流によって足元もしっかり温めてくれますし、光が当たるとよりきれいに見えると思います。そのほかガラスの両面から暖かさが伝わるため、テーブルの下に置いてこたつのように使ったり、ソファの足元に置くのもいいですね。


また空気を乾燥させにくく電気代も抑えられるため、長時間使用する寝室にもおすすめ。一般的なヒーターに比べて安全性が高く、ガラスが異常に熱くなったら自動で停止する機能も備えています。あとは、ガラスならではのスタイリッシュなデザイン性を楽しんでほしいですね。


メンテナンスフリーなのも、使い続けやすいポイントです。基本的なお手入れは、表面が汚れたら拭き取っていただくだけですが、本体が静電気を起こさないため、ホコリがこびりついたり、内部に入り込むことはほとんどありません。万一、天面からガラスの間に細かいゴミが落ちてしまったときは、細長い棒に薄手のタオルやキッチンペーパーなどを巻きつけたもので取り除いてください。100円ショップに売っているすき間掃除用アイテムを活用するといいと思います。

※表面温度が最大で80℃(ハイモード)になる場合がありますので、小さいお子さんやペットにはご注意ください。

ガラスの隙間に埃は滅多に溜まらないが、棒に布を括りつけて掃除もできる


――今後、SONOBIの新製品のご予定はありますか。


もちろんです。この導電膜ガラスにはまだまだうちに秘めた可能性がありますので、それをどんどん製品に落とし込んでいきたいと思っています。現在構想しているのは、照明や調理家電。またDOUBLE GLASS HEATER(ダブルグラスヒーター)も基幹技術はそのままに、よりユーザーに合わせたカスタマイズはしていけたらと思っています。


そもそも私たちがブランドを立ち上げた大きな理由として、安い家電が大量生産、大量消費、大量廃棄される現状に危機感を感じた創業者の思いを受け継いだことにあります。誰かの犠牲に成り立っているビジネスをこのまま続けていては、社会や地球環境は立ち行かなくなる。そこで、私たちが持つ導電膜ガラスの技術を使って何かできないかと考え、誕生したのがSONOBIです。導電膜ガラスを通して、今までにない価値を提供し、良いものが適正価格で取引されることが当たり前になる社会を目指していきたいと思っています。


SONOBI

https://sonobi.jp/


田中真紀子について

家電を生活者目線で分析し、雑誌やウェブで紹介する家電ライター。日常生活でも常に最新家電を使用し、リアルな使用感や魅力を発信している。さらに自宅には大型家電から小型家電、美容家電まで常時200以上をそろえ、日々使いこなしを研究中。メディアやメーカーの取材や監修、テレビ・ラジオ出演など、専門家としての依頼も絶えない家電のスペシャリスト。


https://makiko-beautifullife.com/


エクセルリビング代表・矢島友和について

株式会社エクセルリビングCEO。みずほ銀行5年間、介護の会社3年間を経験したあと介護事業で独立するも挫折。シニア向けの不動産賃貸事業をサラリーマンをしながら続けるがECを中心とした通販事業に舵を切る。2019年5月クラウドファンディング開始以降、累計40プロジェクト・総額4億円の支援を受けた。0から1のビジネスを立ち上げるのが好きな35歳。


https://www.excelliving.net/




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