コミュニケーションスキルを“見える化”する『グローバルマナー検定講座』開発への想い。多文化顧客対応・多国籍チーム協働のプロが改めて伝えたいメッセージとは
◆多文化共生社会で起こるコミュニケーション問題に 『資格取得』というわかりやすい仕組みづくりを
2011年以降、日本の人口は減少し続け、今なお減少幅に歯止めをかけることができていません。AI活用やDX推進による効率化で労働力低下に対する対策は打たれていますが、過去最高を記録し続けるほど外国人雇用は増加しています。
また経済分野では重要な成長分野として観光立国を推進し、インバウンド需要による強い経済を取り戻す様々な施策が行われており、いまや日本は「労働力」「観光」を中心に様々な場面において、外国人から「選ばれる国」にしていかなくては立ち行かなくなってしまいます。
一方で制度や賃金水準以外に、日本での働く環境や受け入れ側との言語・文化の相互理解が行き届かず疎外感を感じ、失意のまま日本を離れる外国人も増加しています。多様な人材を集めることは雇用対策だけではなく競争力向上や社会的発展にもつながるため、こういった異文化間コミュニケーションから起こる問題は軽視できません。
そこで、『資格取得』という誰もがわかりやすい切り口で「異文化理解・協働」というテーマの学びを深める機会を設けて、受け入れ姿勢(体制)の「見える化」を可能にする仕組み作りを我が社こそが、と思い至りました。
本ストーリーでは主にトリプル・ウィン代表取締役の森の視点から、講座開発の裏側をご紹介いたします。
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株式会社トリプル・ウィンは2013年4月に元JALの管理職3名で立ち上げた会社です。 代表取締役の森をはじめとして、それぞれグローバルなサービスを提供するプロフェッショナルとして、また部下後輩育成を担う責任者として30年以上のキャリアを積んできました。
しかし会社の状況により、予期せぬキャリアの転換地点を迎えます。人は本能で変化を恐れるもの。しかし大きな変化に対し、漠然と広がっていた不安の雲を綺麗に晴らしたのは、ある芥川賞受賞作家の言葉でした。
「何も失わずして次のものを手に入れることはできない。」
つまり何か大きなものを失った時は、さらに大きなものを得るチャンスなのです。
航空機という限られた空間で限られたツールを駆使し、多角的視点を意識して世界中のお客様対応を行うこと。サービス・パフォーマンスの質向上のため、日々、多国籍チームでコミュニケーションを密に行うこと。乗務員一人一人が会社の顔として活躍すべき現場であることをふまえた、部下後輩育成。私たちが長年取り組んできたそれらの経験値は、チームで行うビジネスでの成功を後押しするスキルに直結しています。
これからは人材育成・教育のフィールドにおいて皆様のお役に立ちたい。お役に立つことができる。そういった思いで研修会社設立を実現させました。
*所属講師が参加する勉強会
◆研修を実施する中で見えてきた「組織内のコミュニケーション」問題 受け入れ側の努力や体制づくりが必要不可欠
幸運なことに会社立ち上げ当初から多くのご縁をいただき、企業・病院・介護福祉施設からのご相談に応じて様々な研修を実施しました。その中で、業界や職種は違えど問題の大多数は「組織内のコミュニケーション」にあることが明白になりました。
さらに、外国人労働者が増加している現状も再認識することに。日本人同士でさえミスコミュニケーションの課題に苦悩する中、異文化コミュニケーションスキルについて受け入れ側はどのような準備をしているのかという疑問が浮かびました。
得られた回答は、ほとんどの企業で担当部署は準備するものの「なんとかなるだろう。現場に任せている。」という安易な考えでした。その度、多国籍チームで長年の協働経験のある私たちだからこそ、まず受け入れ側の努力や体制づくりが必要不可欠であると断言してきました。
*経営者・管理職対象のセミナーではコミュニケーションに関する様々なご相談が。
そもそも日本は鎖国までしていた島国であり、「目を合わせるのは失礼」などグローバルスタンダードからは離れた独自のマナー・コミュニケーション文化の歴史があります。これまで大きく変化してきているものの、そのアイデンティティが根強く残る面もあり、いまだ異文化コミュニケーションについては苦手意識を抱きやすい国民性であると言えます。
その背景もふまえて「なんとかなる」「任せている」ではなく、改めて意識を持ち丁寧な教育を行う必要があるのです。この時代に日本に希望を見出し、選んで訪れた外国人の方たちとはwin-winでなくてはなりません。
◆精神論ではなく実践スキルとして『グローバルマナー検定講座』を構築 学べば資格が取得できる付加価値を実現
しかし「受け入れ側の努力」といった漠然とした言葉では、本質的改善のスタート地点に立てません。確かな意識改革から組織風土の醸成につなげていけるよう、まずは病院・介護福祉施設などのご依頼から「外国人対応・異文化コミュニケーション」のプログラム構築を始めました。さらに事例研究から改良を重ね、企業向けにも、精神論で終わらぬ実践スキルの習得を重視した「インバウンド対策研修」を開発しました。
ただこうした研修は、意識の高い企業・組織や必要に迫られた現場からのご依頼にとどまり、広く普及するということにはなかなか直結していかないのが現状です。
日本人の「知らない」から生まれる文化間コミュニケーションへの苦手意識や漠然とした不安を取り除く役割を果たしたい。コミュニケーションとは、人生を彩り道を切り拓くためのもので、win-winを生み出すもの。誰もが億劫がらずにコミュニケーションを楽しみ、糧にしていく世界であってほしい。
そこで、多くの人にまずは興味を持っていただけるよう「学べば資格が取得できる」という付加価値をつけた講座を新たに開発しました。それが『グローバルマナー検定講座』です。
「グローバルマナー」というと何か壮大な、目に見えない概念のように感じる方も少なくありません。そもそも、マナーというもの自体がとらえどころのない、堅苦しいものとされがちです。しかしマナーは世界のどの国においても、その発展とともに常に存在してきた身近なものでもあります。
「こころ」は だれにも見えないけれど 「こころづかい」は見える
「思い」は見えないけれど 「思いやり」は だれにでも見える
*宮澤章二『行為の意味』
円滑なコミュニケーションのための表現スキル。それが「マナー」なのです。このスキルは人と人とのやり取りが無くならない限り、ずっと存在し続けるものでしょう。
「グローバルマナー検定講座」では、コミュニケーションに関して現在のグローバルスタンダードの知識を整理するとともに、抽象概念の言語化や実践スキル(行動)への落とし込みを行います。
昨年は初めて新入社員研修のプログラムにも導入し、ある総合エンジニアリング企業様ではこれから世界を舞台に活躍される新入社員の皆様が「グローバルマナー検定3級」の取得者となりました。
すでにTVの報道情報番組や新聞等でも取り上げていただきましたが、3級講座は学生の皆様も受講可能な導入講座です。老若男女様々な方に気軽にご受講いただき、日本人は異文化コミュニケーションが苦手という認識を過去のものとする、その一助となることを到達目標としています。
講座を担当するのは当協会が認定したインストラクターです。(現在45名)
世界中の多様な文化背景のお客様に最適解の対応を行うプロフェッショナルであった元国際線キャビンアテンダントや、多国籍チームでの協働・人材育成の経験が豊富な元航空会社管理職などを中心とした講師たちが、よくある事例や最新の現場の声とともに伝えます。
検定はテキストを読み内容を回答するだけの資格試験ではなく、実践を重視し「再現できる=身につける=合格」という資格認定方式となっています。豆知識なども楽しく学べる中で、「自国の文化という“眼鏡”を外して世界を見る」その意識のきっかけ作りも、本講座や講師の使命と考えています。
◆あたりまえレベルの向上から、真の多文化共生社会の実現へ~好感と信頼は世界共通の成功への入口
先述の通り、マナーは「相手への敬意を示す表現スキル」として、太古から人々の交流交渉の場に存在してきました。良好なコミュニケーションは常に豊かな経験や人脈を呼び、自らの選択肢や可能性、得られるサポートが増えていき、自分が居心地よく楽しめてさらには活躍できる場面が多くなります。コミュニケーションスキルとしてグローバルマナーを身につけることは、一生の財産を得ることにつながると言えるでしょう。
*グローバルマナー検定3級講座の様子
「人と企業の未来を創る」ことが弊社の理念です。そして、真の多文化共生社会で誰もが自分に出来る形で社会で活躍できるよう支援することも、使命として掲げています。意識が変われば行動が変わり、行動が変われば未来が変わるというのは不変の真理。まずはそれぞれの意識=あたりまえレベルを向上させることから始まります。
「良き未来」に向かう道程の中、『グローバルマナー検定講座』を通じてたくさんの方に巡り逢えることを願っています。
*グローバルマナースクール三田校 ビル内ラウンジ
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