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ストーリーの著者は、読者でもあります

”飲食店で働く人を、少しだけ尊い存在にしたい”  〜身体的安定 × 心理的安全への挑戦〜

著者: 株式会社h,a,s!


2013年に設立された株式会社h,a,s! (ハズ)。現在は、自家製ミートソースpotto、食堂カフェpotto、potto×タニタカフェ、石窯やき芋きょうもいも、テストマーケティング拠点「飲食店.β」など10店舗を展開中。常設店舗以外にも、SNSで火がつきメディアにも多数取り上げられた「94日後に閉店するローストビーフ食堂」など、時代の変化を楽しみながら様々な専門業態に挑戦している企業です。



外食企業の副社長として「上場」を経験

代表の田端はh,a,s!を立ち上げる前、創業メンバーとして外食企業の立ち上げを経験しています。新卒では入ることができなかった上場会社というものに憧れを持ち、上場を目指していました。そして店舗数が50店舗を超えた頃、実際に「上場」という目標を達成することができたのです。


※画像提供:クックビズ株式会社


しかし、「上場」に辿り着いてみたとき、「本当に上場が必要だったのか?」という疑問が湧いてきました。副社長でありながら、ずっとこだわって現場に立っていた田端は、年間10店舗を超える新規出店の立ち上げに、ほぼ全て立ち会っていました。出店には様々な業務が発生しますし、体力的にも精神的にも大変なことは多いです。しかし、男女関わらず、体力の問題や適した働き方というものは、個人によって大きく異なります。田端自身もちょうどこの頃に、甲状腺ホルモンに関わるバセドウ病を患い、約1カ月の入院を経験しました。その経験により、ホルモンという見えないけれど身体には大きな影響を与えるものについて考えるようになりました。同じように、ホルモンバランスを崩して体調を悪くしたり、精神的にも疲弊する女性社員がいることに気付いたのです。その頃から、働くことと人生は深く繋がっていると、強く感じるようになりました。


上場をすると、決まった期間までに店舗数や売上にコミットしなければならなくなります。そのためには、再現性の高い店舗展開が重要。目指していたはずの上場企業だったはずなのに、家族のように大切にしていた社員やスタッフが次々と体調を壊し、疲弊し、離れていってしまっているという矛盾を感じた時に、もっと違ったビジネスモデルがないのか、自分なりに追求してみたくなったのが、h,a,s!を設立するきっかけとなりました。



「働く女性」がコンセプト

h,a,s!は、働く女性中心の経営を目指し、「働く女性」がコンセプト。展開する業態も朝から営業して、ランチが主体のカフェ業態。「働く女性」というのは、女性が働く職場としての意味もあるし、主婦層をターゲットにして、店に来るお客様としての「働く女性」も意味します。そして我々は主婦も「働く女性」と捉えています。


女性が働いたり、過ごしたりできる店を、都心ではなく住宅街につくろうと思いました。働く女性がベビーカーで都心に出るのは大変。でも住宅街であれば、気軽に来れるのでは?と考えました。ターゲットである主婦の方のゴールデンタイムは、子供を保育園や幼稚園に預けたり、小学校に行っている時間帯の11時から14時あたりです。この時間帯に友達とカフェでランチをしたり、お茶をしたり。またはその時間を使って働きたいというニーズがあるのでは?その予想は的中し、求人に応募してくる方は7:3の割合で女性が多く、実際に働くスタッフも同じ割合で圧倒的に女性が多い職場になりました。



”核”はアルバイトスタッフ

新店スタッフの面接は、アルバイトも社員もすべて田端が実施しています。その理由は2つあります。


ひとつは、面接を通して労働市場の情報を得ることです。何を通じて応募したのか。なぜ応募したのか。他にどこに応募しているのか。労働市場は3ヶ月くらいで変動するので、データではなく直接話をして「今」を知りたいのです。


もうひとつは、新店のオープニングメンバーの重要性が高いから。特にアルバイトスタッフは、思い入れを持って長く続けてくれるスタッフが多いです。社員は店舗異動をする可能性がありますが、アルバイトスタッフはお店がある地元に住んでいて、長期間にわたり、そのお店で仕事を続けてくれます。そして、そのスタッフが“店の核”になります。この“核”に当たるスタッフとのコミュニケーションを大事にしています。核となるスタッフがどういう人なのかによって、社員の配属を決定します。h,a,s! ではこのように、この核となるアルバイトスタッフが、社員を教育してくれています。


アルバイトスタッフの働き方

女性の働き方には『時間』という軸が大きく影響しています。最近では男性の育休取得などもありますが、キャリアの中断は多くの女性が直面する問題です。10代、20代から築いてきたキャリアは、結婚や出産というライフイベントによって中断せざるを得ない場合があります。そして子供の成長という時間の経過によって、徐々にキャリアを再開していくという、それぞれの置かれている環境や状況に合わせて、柔軟に働き方の提案や変更をさせていただいています。多くの女性は『時間』によって影響を受けているものの、とても有能で経験も豊かな方が多く存在しているのも事実です。そのような方がアルバイトとして勤務いただいているということは、h,a,s!にとって大きな財産だと考えています。


■食堂カフェpotto都島店/岡野さん 〜社員の教育も担当する、お店の中心的存在〜


オープニングスタッフとしてアルバイトで入社。お子様の成長に合わせて、少しずつ勤務時間も増えており、現在は都島店の中心的な存在となっています。新しい社員が入社すると、岡野さんが教育係を担当することも多くあります。「社歴が長いので、相手に気を遣わせないように配慮しています。」もちろん、新しく入ってきた学生アルバイトの教育も担っており、少しずつ成長していく様子を見ることが、自分自身のやりがいになっていると言います。岡野さんは、これからも新しいことにどんどんチャレンジしたいと意欲を見せてくれています。



食堂カフェpotto×タニタカフェ フレンドタウン交野店/北野さん 〜母と娘、親子でアルバイト勤務〜


交野店にオープニングスタッフとしてアルバイトで入社した母の北野さん。カフェが好き、料理が好き、人と関わることが好きと、全て揃っていたpottoで働きながら、4人の娘さんを育てています。去年、長女が高校生になり、アルバイトを探していたところ、ちょうどお店でも新しいスタッフを募集中だったので、声を掛けて一緒のお店で働くことに。普段はシフトの時間が違うので、一緒に勤務する機会はなかったのですが、年末に一緒に勤務する機会がありました。「しっかり声を出して仲間と協力して仕事をしている姿、お客様に真摯に接している姿を見ることができ、娘の成長を感じると同時に、感動しましたね。」娘さんは、「初めてのアルバイトで不安がいっぱいだったけど、職場環境や仕事内容など母から事前に聞けていたので安心して働くことができました。」楽しかったこと、嬉しかったことなど、同じ職場で働いているからこそ、何倍も分かり合えるのかもしれません。


■食堂カフェpotto吹田紫公園店/森さん 〜パティシエのキャリアを活かした働き方を実践〜


まだ子供が小さかったので、子供の学校と家から近い店舗で勤務している森さん。

面接時に、同じ母親という立場だった上司に「困った時はお互い様」と快く受け入れてもらったと言います。「社長との距離も近く、アルバイトという立場でありながら直接意見が言えたり、それをカタチにできるということにやりがいを感じています。」森さんは、お店で提供する商品開発もパティシエだった知識と経験を活かし、味の調整や保存方法の提案、オペレーションの構築をはじめ、商品を一から開発をしていただくこともあります。アルバイトでも、それぞれの経験やスキルを存分に活かして働くことができます。


働くことと人生は深く繋がっている

働くことと人生は深く繋がっている。そう感じてから、働くスタッフの声にできる限り耳を傾けてきました。中には、女性ホルモンや月経諸症状の影響によって、1か月のうち1週間程度しか体調がよくないという女性も居ました。田端自身も40歳になった頃から、若いころに比べて疲れが取れにくかったり、体調が良くない日も増えてくるなど、同じような実感がありました。体調が万全ではない状態で仕事をしている女性の大変さが想像出来たのです。このことを男性従業員もまず知り、想像し、感じ、理解することが大切。働く女性がコンセプトの当社ですが、すべて女性が考える方が良いとは思っていません。男性も一緒に考えることが大切だと思っています。



現在h,a,s!では、全従業員で女性のメンタルヘルスや体調管理の勉強を定期的に実施しています。つい最近、女性のそういった症状やそれに伴う経済的・時間的負担を軽減できないかという想いのもと、PMS(月経前症状群)や月経付随症状、更年期障害などに対応した『低用量ピル・超低用量ピル※』を会社負担で購入できる制度を導入しました。 


※低用量ピル=卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンを配合した薬。排卵抑制、子宮内膜増殖抑制、女性ホルモンのバランスを一定に整える効果が期待されている。


全従業員を対象とした勉強会を通じて、男性従業員からは、体調の変化などに対して理解したいという気持ちはあるが、どのように声を掛けたら良いのかわからないなどといった声が聞かれました。そして、女性従業員からは、男性にばかり理解を求めるのではなく、女性側も男性に寄り添いながらプロジェクトを進めていきたいという前向きな声もありました。このように、お互いが理解し合えるきっかけを作ることで、男性も女性も一緒に考え、より良い職場環境を目指していければと思っています。



飲食店で働く人を、少しだけ尊い存在にしたい

今回新しく導入した低用量ピルの制度は、はじめの一歩を明確にするためのキッカケと考えています。昨今の「飲食店で働く=ブラック」というイメージを、グラデーションのようにでも変えていきたい。何年掛るかは分かりませんが、ブラックからグレーに、そしてオフホワイトに。少しづつ、より良い方向にグラデーションしていくことにより、飲食店で働く人を少しだけ尊い存在にしたい。日本の飲食店は世界に誇れる財産であり、それは間違いなく”人”で成り立っています。飲食店が優しさややりがいがあり、そして心理的安全がある場所になるために。h,a,s!の挑戦はまだ始まったばかりです。



<会社概要>

会社名: 株式会社h,a,s (ハズ)

所在地: 大阪市都島区友渕町2-8-31

代表者: 代表取締役 田端 弘一

設立 : 2013年3月4日

URL : https://www.potto-has.com/

事業内容: 飲食店の企画、運営、コンサルティング

運営店舗:自家製ミートソースpotto(2店舗)、食堂カフェpotto(3店舗)、potto×タニタカフェ(3店舗)、石窯やき芋きょうもいも(1店舗)、飲食店.β





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