登山YouTuberやまくっく・やぎちゃんと‶熊野古道を歩きサウナで整う”ツアーに込めた、新たな巡礼文化を作ろうとする思い
1千年以上の奥深い歴史と豊かな自然を併せ持つ、世界遺産・熊野古道。
日本ユニストはこの地で、大自然の中でストレスをリセットする「リトリート体験」ができる1棟貸し宿「SEN.RETREAT TAKAHARA」を運営しています。
ここに2023年1月、新たにフィンランド式薪サウナ「Kumanoko Sauna」を新設。開業にあたり実施したクラウドファンディングでは、約220万円のご支援をいただきました。
クラファンの返礼品の1つとして企画したのが、登山ユーチューバー「やまくっく・やぎちゃん」と一緒に、1泊2日で熊野古道を歩くツアー。やぎちゃんには、2022年4月に開業したコンテナホテル「SEN.RETREAT CHIKATSUYU」の公式サイトで、モデルを務めていただき、その縁で今回のツアーが実現しました。
3月に開催されたツアーには、3名の方にご参加いただきました。
このツアーを企画した背景には、「‶熊野古道を歩いてサウナで整う”という体験を、ツアーを通して実現してみたい」という担当者の思いがありました。なぜこのツアーを実施することにしたのか、またKumanoko Saunaを通じてどういった観光のかたちを作り上げようとしているのかについて、このSTORYではお話します。
〈スピーカー〉
SEN事業部長 大﨑庸平
私は、"歩いて整う"という新たな巡礼文化を熊野古道に根付かせたいと思い、SEN.RETREAT TAKAHARAにサウナを作ろうと思いました。
熊野古道は外国人からの人気が高いにもかかわらず、日本人の方には価値と魅力があまり認知されていない場所です。そのため、インバウンド需要がなかったコロナ禍は、「今まで熊野古道に来たことがなかった日本人に泊まってもらえる宿」を目指し、宿を起点に楽しめるアクティビティの整備や食事類の充実をはかりました。
結果的に、2021年10月の開業以降、多くのお客様にお越しいただきましたが、一方で「SEN.RETREATに泊まり、さらに熊野古道も歩いた」という方はほとんどいませんでした。「今まで熊野古道に来たことがなかった方を呼ぶこと」には一定成功したけど、さらにもう一歩先の「熊野古道を歩き、巡礼文化を体感してもらうこと」を、次は実現させたい。そうすれば、もっと幅広い層の方に熊野古道の価値を知り、楽しんでもらえるのではないかと、考えるようになりました。
熊野古道を歩いて泊まるために何が必要か。考えてたどり着いたのが、サウナでした。
熊野古道を数時間トレッキングして、サウナと水風呂に入って整い、また翌日古道の続きを歩く。サウナなら、SEN.RETREATが掲げる「日常をリセットする‶リトリート体験”」に当てはまる。熊野古道は蘇りの道と言われるが、「整う」は「蘇り」と相通じる部分もある。「熊野古道における究極のリトリート体験は、サウナではないか」と思い、プロジェクトを始動させました。
おそらくサウナ好きな人なら、きっと自然とこの宿を見つけて訪れてくれるだろうと思います。ただ私としては、「トレッキングが好きな方に、実際にサウナに入ってお泊まりいただく体験を、ツアーとして実験的に行ってみたい」という思いがありました。それも、山歩きに慣れているガイドのような方をつけた上で実施できれば、より満足度の高い企画になると考えました。
そこで白羽の矢が立ったのが、やぎちゃんです。CHIKATSUYUの撮影に協力していただいた1年前に比べてYouTube登録者数が2倍以上に増えて、勢いに乗っているやぎちゃんなら、熱量あるハイカーの方を集めていただけると見込みました。
実際のツアー行程は、以下の通りです。
1日目
昼過ぎ 熊野古道中辺路の出発点・滝尻王子に集合
滝尻~高原を約2時間かけてトレッキング
夕方 SEN.RETREAT TAKAHARA到着
トレッキングで疲れた身体を薪サウナと水風呂で癒やす
夜 地元で捕獲された猪の肉をしゃぶしゃぶ鍋で味わう
2日目
朝 高原~近露を約2時間かけてトレッキング
昼 近露で昼食
近露から滝尻王子へ路線バスで移動し、滝尻王子で解散
ツアーに終始同行する中で、いくつか気づきも得られました。
一般的に登山をした後はあまりやることがありません。軽く食事をしてお風呂に入ったら、すぐに寝るというのがよくある流れです。
その点薪サウナは、「山歩きの疲れを癒やす」という実用的な側面がありつつも、非日常的なエンタメの要素もあるので、そうしたアクティビティを体験できるのはハイカーにとって新鮮ではないかと感じました。サウナ自体が歩いた後のコミュニケーションツールになり、お客さん同士で会話が弾むきっかけになっているのも、見ていて嬉しかった点です。
熊野古道を訪れてSENに泊まるからには、山を歩いて、宿も楽しんでほしい。
両方を心行くまで満喫することで、宿のコンセプト「RETREAT ~歩いて、遊んで、夢中で休んで~」を体現したいです。熊野古道のトレッキングに少し興味はあるけど、踏み出すところまで至っていない人の背中を後押しするような役割を、Kumanoko Saunaが果たせたらいいなと思います。
TAKAHARA、CHIKATSUYUの次は、新宮市に「SEN.RETREAT KOGUCHI」をオープンする予定です。KOGUCHIができたら、熊野古道の中辺路ルートを完歩できるようになるので、やぎちゃんとまた改めて、SEN.RETREATを泊まり歩くツアーを開催したいですね。
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今回ツアーにご協力いただいた「やまくっく・やぎちゃん」は、ユーチューバーとして活動を始める前にも、熊野古道を歩いた経験があったといいます。やぎちゃんに、熊野古道の魅力や、楽しむポイントを伺いました。
やまくっく・やぎちゃん
2020年2月、山やアウトドア・自身の生活について発信活動を開始、会社員をしながら毎週土曜夜8時に動画を投稿。SNS総フォロワーは10万人以上。
2022年4月に長野へ移住。夢は〈山好きのアジトを作る〉こと。近い目標は、海外のロングトレイル!
――やぎちゃんの登山歴はどれくらいになりますか
大学時代から始めたので、もう10年くらいたちます。北は北海道から南は屋久島まで、日本全国を巡ってきました。熊野古道は3年前に1人で歩いた経験があります。その頃はまだユーチューバーとして活動していなかったので、写真は残っていないのですが...。
――初めて熊野古道を歩いた際は、どんな印象を持たれましたか
中辺路の始まり・滝尻王子から熊野本宮大社まで2泊3日で歩いたのですが、道がきれいに整備されていて歩きやすかったですね。道しるべがちゃんとあるので、迷う心配もなく安心して歩けました。古道沿いにあるスタンプラリーを押していくことも、1人だけで歩く際の励みになったことを覚えています。
最終日は川湯温泉に入って、山歩きの疲れを癒やしました。
――熊野古道は一般的な登山と異なり、巡礼道という宗教色を持った特殊な道です。
他の登山と違うポイントなどがあったら教えてください
コロナ禍前だったので、外国人の登山客がとても多かったです。日本人はほとんどいなかったので逆に私が珍しかったようで、「What is your name?」と声をかけられるなど国際交流の機会が他の山よりも盛んで、印象的でした。
登山は山頂という1つのゴールをひたすら目指しますが、熊野古道は要所要所に王子と呼ばれる社があったり、牛馬童子などの石像があったりと、見所となるポイントがたくさんあるので飽きることがありません。前後を歩くハイカーに追いつき追い越されて、王子で休憩している際に「また会ったね」と声を掛け合うのも楽しかったです。
――熊野古道は外国人からの人気が高い一方、日本人の間では知名度が低く、関西在住者でも行ったことのある人は多くありません。やぎちゃんが熊野古道に行こうと思ったきっかけは何かあったのですか
大学時代から、スペインのカミーノ・デ・サンティアゴを歩いてみたいと思っていたのがきっかけですね。カミーノはキリスト教の巡礼道で、熊野古道とカミーノ両方を歩くと記念品が贈呈されるので、両方とも歩きたいと以前から思っていたんです。
社会人になって数年がたった頃に、「4日間ほどかけないと歩けないような場所に行って、山を堪能しよう」と思ったときに、熊野古道が候補に上がりました。
――3月に行ったツアーでは、3人のファンの方と歩き、SEN.RETREAT TAKAHARAに泊まりました
普通の山小屋だと狭いところで雑魚寝することが多いですが、お宿がきれいに整っていたので大満足でした。窓が大きくて日光がたっぷり入ってくる開放的なリビングも素敵だったのを覚えています。1月に新しくできた薪サウナも最高でした。私の夢は山好きのアジトをつくることなのですが、「私のアジトにもこんなサウナがあったらいいな」と思い、サウナをつくることを考えています。
――2度目の熊野古道はいかがでしたか
一般的な登山は一度山に入ったらひたすら山の景色だけが続きますが、熊野古道は途中に集落があったり、上りもあれば下りもあったりと、色々と表情が変わっていくのが飽きなくて面白かったですね。初心者でも歩きやすく、難易度の低いコースだったので、視聴者さんたちと楽しく会話しながら歩けたのは良い思い出です。
もしまた熊野古道を訪れる機会があったら、その際は語り部さんと一緒に歩いてみたいです。歴史や宗教に関する話を聞けば、何も知らずに歩いていた景色も違って見えるだろうし、旅の充実度も違ってくると思います。
1回目と2回目は熊野古道のメインルート・中辺路を歩いたので、次は大辺路や小辺路など他のルートも気になります。いつかすべてのルートを制覇したいですね。
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