衣服のスペシャリストがチームで挑む、快適で美しいオフィスウェアの開発
フォーク株式会社が、文化学園大学、旧ワコール人間科学研究所 元所長篠崎彰大氏との三者で挑む「究極のコンフォート」共同開発秘話
フォーク株式会社(https://www.folk.co.jp/)
事務服 nuovo(ヌ―ヴォ)ブランドページ
(https://www.folk.co.jp/brand/nuovo/)
【ストーリーの概要】
- 究極のコンフォートとは
- 共同研究のきっかけ
- 学生モニターによる着用テスト
- 仮説検証を繰り返し、究極のパターンを追求する
- 究極のコンフォート(ベスト、オーバーブラウス、ブラウス、スカート)
- 進化し続けるための共創
2023年で創業120年を迎えたユニフォームメーカーのフォーク株式会社は、1960年よりオフィスウェアを企画製造販売しています。
オフィスウェアの老舗であるフォークがファッションの名門校である、文化学園大学 服装造形学研究室と、株式会社ワコール人間科学研究開発センター(旧、ワコール人間科学研究所)、元所長の篠崎彰大氏との共同開発によって産みだした、着心地と美しさの共存を目指す制服、「究極のコンフォート」の商品開発についてご紹介します。
■ 「究極のコンフォート」とは
フォーク株式会社の「究極のコンフォート」シリーズは、毎日長時間事務服を着て仕事をする女性が「心も身体も快適に過ごせること」を目的に作られた事務服です。フォークの事務服ブランド「nuovo(ヌ―ヴォ)」では、共同研究によって開発されたパターン(洋服の型紙)を使用した事務服を「究極のコンフォート」シリーズに分類しています。
パターンは服の見た目や着心地を決定づける、いわば設計図です。当時使用していたパターンは、女性の体形の変化に十分対応できておらず、構造線やゆとりの配分などが不適切で、着用時に不要なシワができ、窮屈さがありました。これを解消するために、徹底した着用テストと改善を繰り返して生み出したのが「究極のコンフォート」のパターンです。
■ 共同研究のきっかけ
初めて事務服を着用したフォークの女性デザイナーがその窮屈さに、「毎日長時間着ても快適でいられるよう、改善したい」と感じたことが、この取り組みのきっかけでした。
当時の事務服はデザインの可愛らしさと価格で競い合っており、着心地に着目した開発を行っているメーカーは多くありませんでした。フォークはメディカルウェアの開発で着心地に関するノウハウを蓄積しており、事務服においてもいち早く、この観点から開発に取り組みました。
このテーマについて、当時メディカルウェア事業に携わっていた篠崎彰大氏に相談したところ、篠崎氏のアドバイスで、ファッションの名門校である文化学園大学にも協力を仰ぐことになりました。こうして、衣服のエキスパート三者による事務服の共同開発が2015年4月に始動しました。
文化学園大学
学生モニターの着用テスト実施と人間工学に基づく立体裁断法を用いたパターンの監修
篠崎 彰大氏
結果の読み解きや課題点の洗い出しなど、前職で培った豊富な経験に基づく仮説立案や着用テストの監修
フォーク株式会社
制服や事務職員の日常動作などのノウハウや情報を提供
共同開発は、製品にまつわるあらゆる情報を洗い出し、徹底的に製品を理解することから始まります。使用されている資材、なぜその形状をしているのか、パーツの枚数は適切か、工場の縫製技術、生産効率や納品形態などすべての要素を理解することで広い視点で議論し、製品を根本から見直し、精度の高いパターン開発を目指します。
■学生モニターによる着用テスト
この共同開発で採用したのは、約30名の文化学園大学の学生モニターによる着用テストです。制服は、同一のデザインを様々な年齢、体型の人が着用します。文化学園大学の在学生から、同じ9号サイズでも、恰幅が良い人、骨格が華奢な人など、身体的特徴が異なる約30名をモニターに選定しました。
モニターは、自社・他社の人気製品と試作品を着比べて、見た目や着心地を評価します。事務職の業務を鑑み、①下にあるものを取る動作、②上にあるものを取る動作、③座った状態で床にあるものを取る動作、④デスクワークの動作の4つの姿勢を基本に、アイテムごとに必要な動作を適宜追加し、動作検証を行います。
その際、モニターを一人ずつ撮影し、どのような体型の人がどう評価したのかを記録します。モニターが服飾を専門に学ぶ文化学園大学の学生であることから、的確な評価を得ることができるのもこの着用テストのメリットです。
データの量と質は、分析の質につながります。こうした着用テストの手法により、量・質ともに十分な精度のデータを収集し、分析の高度化を可能にしました。
■仮説検証を繰り返し、究極のパターンを追求する
収集したデータを基に、篠崎氏がパターンの弱点を分析し、文化学園大学の人間工学に基づく立体裁断法でフォークがパターンを作り直す。改善した試作品は再度比較評価し、十分な結果が得られるまで改善と評価を繰り返します。こうしてデータの取得と分析を徹底して繰り返すことで改善を極め、究極のパターンを作り出します。
□ 究極のコンフォート「ベスト」
共同研究は2015年6月より事務服の主力アイテム、ベストからスタートしました。
2016年2月に第1弾となる製品FV36196を発表、2019年2月には更にアップデートされた4アイテムを発売しました。胸の高さを出すだけでなくアームホールの形状を見直し、腰のくびれ、肩甲骨の高さを立体的に包み込むことで、「適度なゆとり」を確保しながらも「美しいシルエット」になりました。動いても余分なシワが寄らず美しい形をキープします。
□ 究極のコンフォート「オーバーブラウス」
2016年2月に製品化された第二弾のオーバーブラウスは、丸みを帯びてきた現代の日本人女性の体型データを丁寧に検証し、「現代女性のボディラインに合う、立体的なパターン」を開発しました。事務作業の動作検証を経て、肩甲骨の丸みを作り、デスクワークの姿勢をそのままパターンへ落とし込むことで「肩回りの着心地」を改善。背中のくびれを表現することで見た目の美しさを向上させました。
□ 究極のコンフォート「ブラウス」
第三弾のブラウスでは、ベストやジャケットを重ね着することに配慮し、縫い代の不快感をなくすよう肩線の位置を設計。背ヨークで肩甲骨の丸みにフィットさせ、袖付けを工夫するなど動きやすさを追求した結果、モニターの90%以上が「動きやすい」と回答するブラウスが2017年2月に完成し、大ヒット商品となっています。
□ 究極のコンフォート「スカート」
スカートの研究を進める中で、ウエストのゴムが着用感に大きく影響する一方、着用時の「安定感」「きちんと感」は、「ゴムウエストのラクな着心地」と相反関係にあることが分かりました。着心地に最も関係する脇部分だけをゴムにすることで、きちんと感と着心地の良さを両立させ2018年2月に商品を発売しました。
■研究の成果を正しく伝えるための努力
専門性の高い研究成果を分かりやすく伝える事も、本プロジェクトの大切な仕事です。
リアル店舗を持たない私たち制服メーカーは、カタログなどの情報で製品の特長をお客様に理解していただく必要があります。研究チームはパターンの完成後、カタログ製作チームや撮影チームと何度も話し合いを重ね、最良の表現を模索します。フォーク社員に対しても、専門知識を学ぶ機会を設け、お客様からのお問い合わせに対応できる体制づくりを目指しています。
■ 進化し続けるための共創
このように私たちは、それぞれの強みを持ち寄り、究極の着用テストと改善サイクルにより、「究極のコンフォート」を作ってきました。
フォークが事務服の製造販売を開始したのは1960年。女性の社会進出、個性の尊重など、昭和、平成を経て、時代が求めるスタイルは刻々と変化しています。これからも女性の身体的変化、価値観の変化に対応していくため、三者の共創により、価値創造を続けていきます。
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