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【DEMODAYレポート★Part2★】リコーのアクセラプログラムTRIBUS2022 統合ピッチ、3年ぶりのリアル開催

著者: 株式会社リコー

Part2では、社外スタートアップ企業8社のピッチ内容をご紹介します。これらの企業は、昨年10月に開催されたスタートアップピッチコンテストでの採択以降、リコーグループとの連携を伴走支援する「カタリスト」とともに、リコーグループや連携パートナー企業のリソースを活用し、事業の具体化、事業加速に向けて活動してきました。それでは早速、その成果をご覧いただきましょう。


<社外スタートアップ企業> ※以下、事業概要/所属/代表者名の順


1.補助金申請の未来を変える、補助金・助成金の申請書作成支援クラウドサービス

Scalar株式会社 吉田光志

初めに登壇したのは、Scalar株式会社の吉田氏。担当したカタリストが「補助金申請の未来を変える企業」と語る同社は、補助金・助成金の申請書作成をデジタルで支援する唯一のサービス「Scalar Self」を提供しています。このサービスでは、申請したい補助金を選ぶと、画面上に一問一答形式の質問が次々と表示されます。最たる特徴は、事業内容などに応じて、次に表示する質問やヒントの内容が最適化されること。記載した内容は全て、申請書の該当箇所に入力された状態でダウンロードすることが可能です。


プログラム期間中は、カタリストと25回の打ち合わせを行いながら共創の方向性をすり合わせ、リコージャパンの補助金申請に係るさまざまな部署へのヒアリングを実施し、課題や要望を見出しました。現場の声をもとに検討を重ねた末、Scalarとしては初の試みとなるIT導入補助金の申請補助をサービスに一部実装しました。また、ものづくり補助金を活用したプリンター導入支援施策をリコージャパンPP事業部と共に構築。印刷業向けイベントでリコージャパンブースに参加し、お客様10社を対象とした補助金申請キャンペーンを開始しました。「リコーのプリンター導入を通じて、お客様のDX化を促進していきたい」と吉田氏は抱負を語りました。現在は、IT導入補助金申請用のコンテンツが既に完成しており、更なる連携に向けた打ち合わせを重ねているとのことです。


2.独自の水力発電技術を用いて、治水のDX&エネルギー問題を解決する

株式会社ハイドロヴィーナス 上田剛慈

続いて、渦の力を生かした「振り子発電」技術を活用し、独自の水力発電機「Hydro-VENUS」の開発を手掛ける株式会社ハイドロヴィーナスの上田氏が登壇。同社の取り組みの柱は2つあります。


1つ目は、治水のDXに関わるソリューションの提供です。電線や通信線のない山間部の河川や地下水路を含め、水の流れのあるあらゆる場所に「自己発電センサネットワーク」を配備し、クラウドに集積したデータを天候や水門制御の情報と共に、AIで解析。これにより、地域固有の学習モデルを構築し、リスク予測、治水や灌漑のナビゲーションの提供につなげることを目指しており、現在、実証実験が行われているところです。

2つ目は、安全・安定で枯渇しない潮流発電によって、エネルギー問題に対するソリューションを提供すること。「TRIBUSに参加した当初、潮流発電への取り組みは、将来的な目標とお伝えしたが、この発電を活用したいという自治体が出てくるなど、ここ数ヶ月で状況が変わってきた。まずは、小さなところからスタートを切っていきたい」と上田氏は話しました。


アクセラ期間中の取り組みとしては、出資に向けたVCヒアリングにおいて、カタリストが同社に対する期待とTRIBUSの支援内容を紹介したほか、潮流発電とリコー環境事業開発センターとの連携が推進され、今後の協業に関する具体化が進んでいるとのことです。加えて、同社が申請する公的資金を用いた潮流発電実証試験にリコーとともに参画することへの合意も図られました。


3.「未病」を可視化し、従業員のモチベーション改善につなげる

新たなプラットフォーム

YOJYO net株式会社 伊藤和憲

次に登壇したのは、明治国際医療大学発スタートアップ企業・YOJYO net株式会社の伊藤氏(同大学鍼灸学部学部長・教授)。特定される原因がないのに、痛みが持続・再発する慢性疼痛に悩む患者を多く診てきた中、「最初のきっかけはモチベーションの低下だと気づいた」ことが、健康改善事業の立ち上げにつながったのだそうです。


プログラムでは、同社が開発した体調管理アプリ「YOMOGI⁺(ヨモギプラス)」をリコーエレメックス株式会社で生産現場に従事している従業員に使用してもらい、「エンゲージメントと体調の関係」を調査しました。YOMOGI⁺は、病気と健康の中間である「未病」状態を可視化できるアプリで、日々の体調や食事、歩行数などの情報を入力することで、身体の状態を自分自身で把握・管理できます。調査の結果、従業員のやる気は、人間関係や家族のサポートと密接な関係にあり、それがエンゲージメントにつながっていることが分かりました。

同社の活動の根底にあるのは、「健康は、個人の幸せだけでなはなく、周囲の人や社会の幸せになるもの」という考えです。アプリで体調を可視化させ、体調改善プログラムとして、農業体験やワーケーションを通じて、地域活性化や雇用を生み出している同社の取り組みについて、「まさにリコーの「使命と目指す姿」である『“はたらく”に歓びを』を体現しているアプローチの一つだと思う」とカタリストは話しました。今後は、リコーエレメックスの従業員から、さらなる体調管理のデータを集積し、サービスの精度を上げていく予定です。


4.IoTセキュリティ×ブロックチェーン管理を駆使して、「共創」を深める

ビヨンドブロックチェーン株式会社 鳥澤周作

IoTセキュリティとブロックチェーン管理のスペシャリストであるビヨンドブロックチェーン株式会社の鳥澤氏は、リコーインダストリアルソリューションズのビジネスユニットと検討中の共創可能性について発表しました。


共創の第1フェーズにあたる現在は、「Co-Marketing/Co-Salesによる付加価値の向上」を共創テーマに掲げ、マーケティングにおける協業の企画を進めています。プロアクティブに受注機会を創出し、エンドユーザーをグリップして利益率向上を図ることを共創価値としています。第2フェーズ(中長期)の共創テーマは、「API連携による付加価値の向上」。DX促進化で必須となる端末基データの真正性を担保するべく、すでに意見交換会や勉強会がスタートしているとのこと。

Beyond TRIBUSと名付けた第3フェーズでは、「さらなる共創を図っていきたい」と鳥澤氏。「ビッグデータ構築・管理面への運用アドバイザリー事業(コンサル事業)や真正性の担保されたデータ構築・管理面へのオーディティングサポート事業(認証・認定事業・監査DXサポート事業)は、社会課題の解決につながる新事業になると思う」と語りました。


5.Intelligent IoT技術を用いた、デマンドレスポンス・ソリューション

株式会社Greenphard Energy 西山健人

株式会社Greenphard Energyが手がけるのは、機械学習の技術をベースにしたIntelligent IoT技術を用いたDR(デマンドレスポンス)のソリューション。DRとは「地域全体の電力の安定化のために、電力を使う側が協力して、その協力した分、対価がもらえる新しい仕組み」を指しています。


Greenphard Energyが開発するIntelligent IoTを既存の設備や機器に付加すると、それらの設備や機器自体をDRのリソースとして活用することが可能になります。これにより、省エネやコストカットを実現しながら、新たな収益を生み出すことができるというものです。

プログラムでは、リコーグループの生産現場に係る7部署へのヒアリングを実施し、課題や共創の可能性を探りました。リコーとGreenphard Energy、両社の強みを融合させ、新たな事業の展開を検討中とのことです。

「省エネやコストカットについては、お互いが持つ技術を持ち寄り、補完し合うような形で、リコーの多様な顧客基盤をベースに、我々のVPP(仮想発電所)やDRのバリューを付加していくイメージを描いている。リコーの皆様と共に、地域社会やエネルギー業界に貢献できる事業プロジェクトを一緒に作っていきたい」と西山氏は語りました。


6.愛犬との外出時の不安を解消!わんちゃん同伴可能施設の情報アプリ

株式会社spread with 梅本直輝

株式会社spread withの梅本氏が発表したのは、愛犬とお出かけ情報アプリ「ぐるわん」。犬を同伴できるカフェやホテルの詳細を可視化したアプリは、ベータ版のローンチ後、広告宣伝などによる影響を除いたオーガニックユーザー数のみで見ても、着実にファンを獲得し続けています。


プログラム期間中は、リコーの360度カメラ「RICOH THETA」を用いて、ぐるわんの360度画像投稿対応を実施したほか、犬を飼っているリコーグループ社員60名が参加したぐるわんアプリ検証活動により、アプリへのUIフィードバックが行われました。また、物販展開の実証実験として、リコーのガーメントプリンタ「RICOH Ri 100」を活用し、愛犬のプリント入りオリジナルトートバックの作成・プレゼントキャンペーンを実施しました。

「公共交通機関との連携のもと、ペットツーリズム業界を狙っていきたい」と梅本氏。 2028年に実現を目指すIPOに向けて、「中長期的に壁打ちさせていただける方や宿泊施設、旅行業界とのご縁をつないでくださる方を探している」と述べました。


7.キャンペーンのこれからを変える、ユニークQRコードを用いた革新的サービス

株式会社TwoGate 小林輝紀

ソフトウェア開発のベンチャー企業である株式会社Two Gateは、ユニークQRコードを用いた新しいサービスを展開しています。それは、空のQRコードを大量生成し、製品に印刷しておき、後から自由にキャンペーンURLを割り当てるというもの。このサービスの特徴は、生成したQRコードで消耗管理できること、複数のキャンペーンを同時に開催できることにあります。


従来、アーティストとのタイアップなどのキャンペーンを打つ場合は、数ヶ月前から準備しなくてはならず、企画→印刷→流通の順に進める必要がありました。かつ、デザイン監修などを含めて大規模な施策でしか、ラベルを販促活用できませんでした。一方、このサービスは、印刷→流通→企画で進めるので、素材さえあれば1週間前からでも調整が可能で、小規模から大規模まであらゆる施策でラベルの販促活用が可能です。

「SNS主流の今の時代にぴったりな考え方」と小林氏が語る背景には、企画の柔軟性が高まり、SNSなどの瞬発力を必要とする広告キャンペーンとの相性が格段に良いことに加え、1企画あたりのコストが格段に下がるので、気軽にマイクロインフルエンサーなどを起用しやすいメリットがあります。

プログラム期間中は、ラベル製造業者と共同で飲料メーカーとのペットボトルラベルへのQRコード印刷の協議を実施しました。リコーのオンデマンドプリンティングとTwo Gateの仕組みを用いて、アイキャッチシールをシュリンクラベル(熱で収縮し、どんな形の容器にもぴったりフィットするフィルム素材のラベル)に変えていく取り組みを提案しています。「このプリント技術を搭載したリコーのプリンターの普及を通じて、業界全体のキャンペーンコストダウンと、可用性向上を目指していきたい」と小林氏は話しました。


8.AI開発における教師データ作成の効率化を実現

FastLabel株式会社 上田英介

最後に登壇したのは、AI開発に必要不可欠なデータプラットフォームを開発・提供するFastLabel株式会社の上田氏。AI開発全体工数の約90%が、教師データの準備、作成に費やされている状況を受け、効率的なデータ管理、教師データ作成(=アノテーション)を行える独自のプラットフォーム『FastLabel』を開発しました。


プログラムでは、リコーの「お客様の“はたらく”に寄り添ったサービスと、それに貢献するデジタル技術・デバイスの提供」を実現するために、カタリスト及びデジタル戦略部と密に連携して取り組みを進めました。AIを使ったサービスを提供している開発現場のニーズ確認や現状把握を行ったのち、4部署でトライアルを実施中とのこと。ユーザーからは、承認フロー機能や品質の管理機能について一定の評価が得られているといいます。

今後は、プログラム期間中に検証したユースケースに基づき、リコーのシステムとの連携による、開発業務全体を効率化するデータインフラ基盤の実現について、検討を進めていく予定です。

「AIインフラを創造し、日本を再び『世界レベル』へ」をパーパスに掲げるFastLabel。「AIのインフラを共に作り上げていくことをきっかけに、リコーを世界レベルへと押し上げるべくご支援していきたい」と上田氏は述べました。


各チームのプレゼン後は、表彰が行われました。視聴者の投票によって選ばれるオーディエンス賞をはじめ、TRIBUS協賛企業賞、TRIBUS外部審査委員特別賞、また、社内起業家やカタリストとして活躍したメンバーの上司たちには、チェンジドライバー賞が贈られました。


審査員特別賞受賞者ら


社内外の審査員による講評で、株式会社Spiral Innovation Partnersの岡氏は「社内の起業家の皆さんは何度でもチャレンジしていただき、スタートアップの皆さんは、リコーのリソースを使い倒して、日本中に広がるようなサービスにしていただければと思う」とコメント。また、リコーの坂田氏は「緊張感があって非常に楽しい時間だった。Investors Dayが開催される7月まで、頑張ってほしい」と述べました。


Spiral Innovation Partnersの岡氏


リコーの駒場氏


最後に、TRIBUS事務局の森久氏より、まもなく始動する「TRIBUS 2023」の告知が行われました。2023年度のコンセプトは「より広く、より密に。」。リアルの場を有効に活用しながら、社内外の価値共創を加速させるべく、これまで以上に多彩な参加機会が用意されているそうです。社内・社外の挑戦者支援を通じて、挑戦者の想いを強く、広く、早く社会実装するための日本初の統合型アクセラレーションプログラム、TRIBUS。今後の発展に、ますます期待が膨らみます。






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