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4人の子育てとシリコンバレー生活から生まれた「コミュニケーションツール」とは

著者: Coloridoh Inc.

Coloridoh(コロリドー)は4人の子どもを持つママであり、シリコンバレーで起業家向けのシェアハウスを運営していた私、竹内ひとみが、キャリア、コネ、お金がゼロから生み出したプロダクトです。

世界初の遊んで食べるクッキー生地は、一見単純なアイディアなのですが、2年以上の開発期間を経て誕生しました。

「食品」という枠にとらわれず、「コミュニケーションツール」として国籍、世代、性別を超えて「誰もが楽しめること」にこだわった意味やストーリーをご覧ください。


誰もが抱える子育てとキャリアの悩み

ドットコムバブルと言われる2000年前後、私はソフトウェアベンチャーの営業職として働きまくっていました。みるみる成長する市場と会社のスピード感が大好きで、やり甲斐も感じていましたが、2003年、結婚、長男の妊娠をきっかけに産休へ。

仕事は続けたかったものの、接待も多く不規則だったので復帰は諦め専業主婦へ。最初のうちこそその生活も楽しめましたが、だんだんと社会との距離ができ、自分のアイデンティティが崩れるように感じて行く中、それを払拭するかのように資格取得を決意。ジャンルは何でも良かったのですが、家族を持つ上でも無駄にならない「食」関連の資格をいくつか取得しました。


長男が生まれてからは初めての子育てに奮闘しながらも、消耗する毎日に抗うように、料理コンテストに応募。3つ応募して3つとも受賞したのです。

このことがきっかけで、「好きな料理で仕事ができるかも」とキャリアを意識するようになり、たまたま転職サイトで見つけた大手料理教室の講師として採用されました。


子どもがまだ小さいからと夫には働くことに反対されましたが「産んだことを後悔したくない」と説得し、家事もこれまで通り、迷惑はかけないことを条件に働き始めました。仕事は楽しかったのですが、2年後の二人目妊娠をきっかけに再び専業主婦に戻り、自宅でママ友たちに料理教室をしたり、雑誌のフードコーディネーターをしたりしてました。



子育て期間はキャリアのブランク?

長男が幼稚園に通うようになり、一気に増えたママ友。いろんな悩みを共有しているうちに、「みんなやってるから簡単なんじゃない。みんな泣きながらも踏ん張ってる」と感じ、「子育てをもっと楽しくできないか」という想いが強くなっていきました。

自分自身も8年間で6度の妊娠、2度の流産、4度の出産と、10年近く乳幼児のいる生活を続け、「今はそういう時期」と割り切りながらも働きたくても働けない状況にジレンマを感じずにはいられませんでした。


加えて夫の事業もうまくいっておらず、生活も楽ではなかったため、精神的にも厳しい状況が続きました。それでも働けない分、夫への全面サポートを決め、夫の仕事も手伝い始めたのですが仕事のことで口論になることもあり、夫婦関係はギクシャクし始めました。


「離婚」の二文字が頭をよぎり始めた頃、「私が子供4人を育てていこう」と決意し、転職サイトで仕事を探し始めました。すると「35歳まで。大卒以上」の条件ばかり。当時40歳で短大卒の私が応募できる職種がなかったのです。営業には自信もありましたし、子供達を食べさせていくというモチベーションもかなり高いにもかかわらず。加えて4人を育ててきた10年間は履歴書に書くところがなく、単なるブランク。私は子育てを通じて人間的にも成長できたと感じていましたが、それは評価されるでもなく。

「こんなのは絶対におかしい。世の中のシステムを変えていきたい!」

と強く思ったものの、単なる主婦。そこで少しでも影響力がつくのではないかと、初めて「起業」を意識した瞬間でした。


ちょうどその頃、夫が「シリコンバレーにいきたい」と言っており、出資者も現れました。夫婦関係も見直し、話し合いの末、家族全員でアメリカで再出発することになりました。

シリコンバレーでの刺激的な生活

引越し代を出す余裕もなく、飛行機に預けられる1人2個の段ボールのみを持ち、誰も英語を話せない状態で渡米しました。まさに裸一貫からの再スタート。

子供たちの学校の手続きなどに追われながらも、毎日ガレージセールを回り、家具や備品を買い、渡米後1ヶ月でなんとかシェアハウスをスタートさせました。


シェアハウスでは自分たちだけが食事をするのも気を使うので、「どうせなら全員分ご飯作るわ」と、ゲストや家族を合わせて毎日20人分作って提供していました。夕飯1回で15合のお米がなくなり、買い出しもCostcoで大量に。みんなの好みやアレルギー、宗教やビーガンなどを聞いて、それに合わせて調理するのは、メニューを考えるだけでも一苦労。


それでも食卓を囲むことで、ただの同居人ではなく、家族のような絆を感じるようになり、「食」の大切や素晴らしさを改めて強く感じるようになっていきました。

アイディアは突然に

朝から晩まで働きづくめ、休みもお給料もない生活に限界も感じていました。そんな中、起業のアイディアも探しており、いくつかアイディアが出たものの、スケールするイメージが持てなかったり、初期コストがかかりすぎるなど、なかなかコレといったものが見つからず、焦りはじめていました。


ある日、持ち寄りパーティに呼ばれ、用意するお金も時間もなかった私は、一番手っ取り早くできるチョコチップクッキーを大量に焼いて持参しました。それが意外にも好評だったのですが、隣にいたママ友がボソッと「私もクッキーを焼くようなお母さんになりたかったなぁ」と呟いたのです。


「こんなの、ほんと簡単だよ!」と私が言うと、「うちの子アレルギーだし、私もオーブンとか使ったことないから」と遠慮気味に彼女は答えたのです。

「じゃあ、私が何かアレルギーフリーで美味しいクッキーレシピがないか、探してみるよ!作り方は教えるし!」

と、クッキーについて調べ始めました。アメリカでクッキーといえば、出てくるレシピはほとんどが「チョコチップクッキー」。

油脂が多いため焼くと生地が流れて広がるので、全て同じ形になってしまうため、

「もっとカラフルな生地で、好きな形のクッキーを作れたら楽しいのに!」と思い立ち、そんな製品がないかどうか探してみると、一つあったが、どぎつい色で、美味しくなさそうな上、アレルギー対応はしていなかった。


「粘土のように遊べて、焼けば食べられるクッキー生地で、アレルギーフリーで実現させたら私が世界初!?」

しかも、クッキーや粘土は世界中で愛されている。アレルギーの子供も昔より増えている。グローバル展開すれば、スケールするイメージも初めて持てたこともあり、「コレならいける!」と確信しました。


夫に相談すると反対されたものの「このタイミングは逃したくない! ここからは自分の人生を歩みたい」とすぐにアメリカで会社登記をし、いよいよ会社をスタートさせることに。

開発の沼にハマる

フードテックベンチャーの傾向としても植物由来の製品が人気で、レシピも順調に開発できたころ、クラウドファンディングで支援を募ることに。結果、様々な国から支援者が集まり応援メッセージと共に目標を達成。いざ、返礼品を送ろうとした時に驚愕の事実が発覚しました。


なんと、アメリカにはクール宅急便がなく、開発した冷凍クッキー生地は送れないことがわかりました。当時のレシピに使用していた原材料は開封後要冷蔵のものがあったため、常温でクッキー生地が保存できないかどうかから調べ直すことになりました。


ここからが想像していたよりもずっと時間がかかってしまう、開発の沼への道にハマるのでした。

「誰もが簡単に楽しめるように」と、生地の状態で売ることにこだわったものの、生地状にするには欠かせない水分を菌が繁殖しないレベルまで落とす必要がありました。

加えてアレルギーフリーにするためには卵や牛乳も使えません。ヴィーガンクッキーではよく使用されている、おいしさを補填するためのナッツや大豆も使えないのです。

また、水分の代わりに油を足すことで生地にしてみても、油が多いと焼いたら広がってしまい、せっかく素敵な形を作っても、崩れてしまいます。


毎日、ネットやスーパーマーケットで何かフィットする原材料がないかを調べ、購入しては実験の日々。約2年の試行錯誤を繰り返し、なんとか商品としての可能性が見えたところで特許を申請し、投資家を本格的に集めるために株式会社へ変更もしました。


しかし、アメリカの投資家は興味は持ってくれるものの、キャリアもコネもなく、ワーキングビザすらもない日本人女性ということで、出資までにはなかなか至りませんでした。そこで、アメリカ在住の日本人起業家たちを探し、DMし、ノウハウを尋ねたところ、最初は日本で出資を募り、日本で実績を積んでからアメリカで資金調達したことなどを快く教えてくれました。


ようやく歯車が動き出し、、、

2020年、コロナ禍になり、オンラインで出資するエンジェル投資家も増えたことから、無事資金も調達できました。またアクセラレータープログラムもオンラインで開催されるようになり、味の素と小学館のアクセラレータープログラムにエントリーしたところ、両方で優秀賞を受賞。少しずつ環境が整いはじめていきました。アメリカでも協力してくれる工場も見つかり、いよいよローンチに向けて本格スタートを切ろうとしていた矢先の2021年、突然家のオーナーから「家を売りたいから出て行って」と通告を受けました。


アメリカでは通告を受けてから1ヶ月以内に必ず退去しなければなりません。急いで家を探したものの、コロナ禍でなかなかいい物件がなく、結局一旦全ての家財道具をレンタルストレージに預けて、一旦シェアハウスはストップ。家族6人で車やモーテルで寝泊まりしながら物件を探し続けましたが、お金もどんどん減り、このままでは引越しどころか、日本へ帰国するお金さえなくなってしまう。。。最悪のことを想定し、日本への飛行機のチケットを調べると高騰しまくっていた中、一日だけ安いチケットを見つけ、すぐに購入しなければまた値段が変動するため、5分で翌週出発のチケットを買い、帰国を決断しました。


もちろん引越し代は無いため、帰りの飛行機も預かり荷物の範囲で一人2つの段ボールだけを持って帰国。子供たちにとっても7年ぶりの日本。夫は仕事が無いまま、ストレージの整理もありアメリカに残りました。


「私がやるしかない」と、子供達の学校の手配をしながらも一刻も早くビジネスも軌道に乗せる必要があり、ローンチに向けて再出発。

ところがアレルゲン管理された工場がなかなか見つからず、クッキー生地以外にもパッケージやWebサイトなど、ものづくりの大変さを思い知りました。


それでも改めて日本でもクラウドファンディングをしたり、応援者も少しずつ増え、工場も1年かかって見つかりました。

2022年9月にローンチ。同年12月にはミドリムシで有名なバイオベンチャーの株式会社ユーグレナとのコラボで緑色のメロン味がラインナップに追加し、さらに改良を重ねる中、2023年7月、coloridoh(コロリドー)の生地が大幅アップデートに成功。

崩れやすいという課題を解決し、食感や味がUP。新しくバナナ味も追加し、増粘剤、乳化剤の使用を廃止するなど「より安全に、楽しく」なって、6色、6つの味で販売開始できました。


ようやく本当のスタートライン。まだまだこれからですが、各地のイベントやキャンペーンも色々企画しております。


coloridohは単なるクッキーの生地ではありません。「誰もが楽しめるコミュニケーションツール」です。国境や性別、言葉や世代、宗教の壁を超えて、クッキー作りを通じてお互いの内面を垣間見たり、何が好きか、表現の違いなども楽しみながら、笑顔を増やせるお手伝いができたら、本当に幸せだな。と思っています。


まだまだ成長していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。


 

◾️竹内ひとみ 略歴

1974年兵庫県生まれ 4児のママ。Shibuya Startup University 1期生。東京都女性ベンチャー成長促進事業 APT Women 7期生。

2014年に家族でシリコンバレーに移住、起業家向けのハッカーハウスをスタート。7年間で60カ国、6,000人以上のゲストを迎えた。その経験から言葉や世代、性別を超えたコミュニケーションを楽しむツールとして、coloridohをスタート。2021年、味の素と小学館のアクセラレータープログラムに採択されたことを機に帰国。生地の改良や工場探しを重ね、2022年9月、正式に日本でローンチ。ママ起業家として絶賛奮闘中。

WEB  https://coloridoh.jp/

 




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