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コロナ禍で増え続けている“運動不足”が問題に。シニア世代だけでなく、若い世代にも必要な“筋活”とは?

著者: 学校法人 順天堂


緊急事態宣言が発出され、「ステイホーム」が求められた2020年4月以降、次のような“心身の不調”を感じる人が増えています。


・なぜか体が疲れやすい

・一日中ダラダラと過ごしてしまう

・よく眠れない

・睡眠時間はたっぷりだが、ぐっすり眠れない

・なにをするのも億劫

・集中力がなく、考えがまとまらない


これらの“不調”が生じる理由について、順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科(内藤久士研究科長)の町田修一教授は、こう話します。「そもそも、私たち人間は“動く生き物”。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止のために外出を自粛した影響により、昼も夜も家にいて身体を動かさなくなったことで、心身ともに不調が出やすくなったのです

そして、このように運動の機会が減り、運動不足の状態が長引くことで、シニア世代だけでなく、若い世代においても増えると懸念されているのが、筋力低下により引き起こされる「ロコモ」です。

(町田 修一 教授)

“ロコモ”とは?

「ロコモ」とは「ロコモティブシンドローム」の略称で、2007年に日本整形外科学会が提唱した概念です。加齢や運動不足などにより筋肉や骨、関節の機能が落ち、「歩く」「立ち上がる」など、移動能力が低下した状態を指します。

今まで無理なく上れていた階段がきつく感じるようになったり、買い物のために歩いて店に着く時間が今まで以上にかかったり、休憩なく歩けていた距離で休むことが必要になっていませんか? 実はこれらは“ロコモのはじまり”で、筋肉などの運動器の機能が低下しているかもしれません。

「ロコモ=高齢者の問題」と捉えられがちですが、筋肉・骨・関節などの運動器は運動不足によっても機能が低下してしまいます。「筋肉というのは非常に正直で、使わなければあっという間に減っていきます。そのため、筋肉を減らさないようにすることや、減ってしまった筋肉を元に戻すこと、つまり筋肉を活動させる“筋活”が必要になるのです」(町田教授)


今の自分の状態は? 椅子を使って簡単にできるロコモ診断

今の自分の身体がどういった状態なのか、身近なものを使ってチェックしてみることができます。それが「30秒椅子立ち上がりテスト」。高さ40cmの椅子での立ち座りを繰り返し、30秒間でできた回数から脚の筋力を評価する方法です。立ち座りの回数が19回以下の場合は、身体機能が低下し始めている可能性があり要注意です。積極的に“筋活”を心がけていきましょう。


<30秒椅子立ち上がりテスト>

【20回以上:身体機能は良好です】

今の状態が保てるよう、定期的に運動・スポーツを行いましょう。


【15~19回:身体機能が低下し始めている可能性があります】

今の状態の悪化を防ぐために、定期的に運動・スポーツを行いましょう。


【14回以下:身体機能の低下が進んでいる可能性があります】

運動に関しては、専門的な知識を有する指導員等に相談されることをお勧めします。積極的にカラダを動かすように心掛けましょう。


いつでも、どこでも、誰とでもできる、ロコモ予防のための“筋活”とは?

町田教授をはじめ、棗 寿喜 特任助教、沢田秀司 博士研究員らの研究グループは、「ロコモ予防運動プログラム」を開発し、近隣自治体と協力してロコモの予防・改善を目的とした運動教室や体力測定などの開催に取り組んできました。

これまで運動教室の運営などを担当してきた棗特任助教は、この「ロコモ予防運動プログラム」について、「特別なトレーニング機器を使わず、自分の体重やゴムチューブを利用して負荷をかける運動なため、“いつでも、どこでも、誰とでもできる”ことが特長」と話します。

棗特任助教とともに運動教室での指導を担当する沢田秀司博士研究員によると、3ヶ月間の運動教室において、参加者全体の大腿部前面の筋厚が約10%向上。さらに、前述の「30秒椅子立ち上がりテスト」でも、約10%の改善が認められたと言います。


“スペースレス”な運動教室の時代

このような「筋活」のための運動は、必ずしも誰でも同じ運動をすればよいわけではありません。例えば1日3,000歩しか歩けなかった人が、いきなり倍の6,000歩の運動を実施すると、膝を痛めたり、過度な筋肉痛を起こしたりしてしまう可能性があります。そのため、個々のレベルに合った運動を行っていくことが大切なのです。一方で、COVID-19の影響により、感染症対策を意識した「新しい生活様式」が取り入れられている今、従来のように対面でできる運動教室は、参加人数や実施方法などの見直しが迫られています。


そこで今回、研究グループが新たに立ち上げたのが、自宅でできる“筋活”やロコモ予防のための情報を発信するウェブサイト「順大さくら“筋活”講座」https://juntendo-kinkatsu.com/)です。会員(無料登録:https://juntendo-kinkatsu.com/start/)の方には、自宅で実践可能な「ロコモ予防運動プログラム」のトレーニング映像を公開。2020年9月にはオンライン上での運動指導や運動記録の管理ができる新しいサポートシステムの提供開始を予定するなど、“スペースレスな運動教室”の第一歩を踏み出しました。連携するFacebookページ(https://www.facebook.com/juntendo.kinkatsu)でも、情報発信を行っています。

(トレーニング映像では、トレーニングの留意点をわかりやすく解説)


「これまでの運動教室の様式は公民館などに20~30人程度で開催してきましたが、ポストコロナ時代であるこれからは、画面の向こうで数千人が一緒に運動する時代が訪れるかもしれません。参加者一人ひとりにオーダーメイド型のトレーニングプログラムを提供し、個に合った“筋活”をサポートすることが目標です。いつまでも画一的なメニューではなく、筋力が上がれば、適切なトレーニング内容が提供され、さらに筋力を高めることがスポーツ科学では重要なポイントになります。遠隔の運動指導であっても、対面式と同様な運動効果が得られるようにしていきたいです。」(町田教授)


どのような状況であっても、また、どの世代にとっても、“筋肉を活動(筋活)させる”ことは、健康に欠かせないもの。

人生100年時代に向かっている今だからこそ、“筋活”のニーズも高まっています。今後も順天堂大学の研究グループは健康寿命を延ばすために必要な“筋活”について、スポーツ健康科学のエビデンスに基づいた情報を発信し続けていきます。

(左から棗 寿喜 特任助教、町田修一 教授、沢田秀司 博士研究員)


<関連リンク>

■ポストコロナ時代にこそ「筋活」が必要! “新しい生活様式”に対応する「ロコモ予防運動プログラム」

https://www.juntendo.ac.jp/sports/news/20200716-01.html

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【順天堂大学】

■順天堂大学ホームページ:https://www.juntendo.ac.jp/

■順天堂大学スポーツ健康科学部:http://www.juntendo.ac.jp/hss/

■順天堂大学COI拠点:https://www.juntendo.ac.jp/coi-s/

■特設サイト「CO-CORE」:https://www.juntendo.ac.jp/co-core/

■JUNTENDO SPORTS:https://www.juntendo.ac.jp/sports/




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