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人の数だけ、物語がある

価値を失ったお米を、食べられる形でアップサイクルする。「箔米プロジェクト」から、こだわりのカレーが誕生するまで。

著者: 株式会社ジパングフードリレーションズ

2023年6月1日、株式会社ジパングフードリレーションズは、運営するジパングカリーカフェの新しい取組みとして、廃棄米(流通規格外米)をアップサイクルさせて作る『箔米カレー』を 完成させました。


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箔米カレーとは、日本で問題になっている「食品ロス」に立ち向かい、社会に貢献できる自社のオリジナルプロジェクトである「箔米プロジェクト」の取り組みの1つです。


農家で問題になっている割米や未熟米などの流通されない規格外米を米粉にした「箔米粉」(自社開発商品)を、自社の得意分野である和風出汁のカレーと合体させる事で、食べるだけでSDGsに貢献できる商品が完成しました。


本商品を開発するまでには、課題に直面する農家さんとの出会い、またフードロスを減らすための挑戦がありました。本ストーリーでは、代表である安藤のカレー作りを始めたきっかけから、取り組みの全貌をお伝えします。


幼少期の思い出とオーストラリアでの生活からジパングカリーカフェをオープン。

代表の安藤は、あまり裕福ではない母子家庭で、祖母の家で育ちました。母は昼も夜も働いていたこともあり、寂しいと思う日もありましたが、元気や明るさを取り戻すキッカケになったのは、祖母や母の料理です。


中でもお気に入りは祖母お手製の「牛スジがゴロゴロ入ったカツオと昆布の大阪和風出汁のおでん」。そして、本当の楽しみは牛スジと煮崩れた野菜のウマミがたっぷり溶け出した和風オデン出汁にカレー粉を入れたシメの「出汁カレー」でした。30年前は今の半額以下で購入でき安価だった牛スジ肉。それは牛肉が大好きだった安藤に、貧しくてもたくさん肉を食べさせたいという愛情と思い遣りが詰まったカレーでした。


幼心に『食は人を元気にする!世の中を明るくする“希望の光“なんだ』と料理人になる夢を持ったと振り返ります。


しかし、料理人を夢見た矢先の17歳に病に倒れ、安藤は5年以上に渡る長い闘病生活を送ることになりました。立ち仕事ができないことから、料理人の夢を諦めて、20代は会社員として働きます。30代になり病気を克服したことで、もうひとつの夢であった海外生活を実現するため、オーストラリアで1年間過ごしました。


そこで日本の出汁や料理が高く評価されている事を知り、祖母の作ってくれた「出汁の効いた和風カレー」を思い出し帰国。祖母や母の愛と、自分の2つの夢が繋いでくれ、現在の和風出汁カレーの誕生となりました。


30代で過ごしていたオーストラリアのゴールドコーストという街は、南北に全長57キロも白いビーチが続く、自然と都市が調和したリゾート地です。そんな地域に住む地元の人達は、ビーチ沿いのオシャレなカフェで、毎日食事をするという文化がありました。


しかし、過ごす中で目に入る、そのカフェの様子は、我々日本人にとってはビックリする光景が広がっています。


天井が高くて広々として、ビックリするほどオシャレな空間のカフェの店内で、出されている料理は『日本の丼、うどん、ラーメン、寿司』でした。海外風にフュージョンされた料理や空間は心地よいギャップを産み出していたのです。


それを体感した安藤は、「空間を逆輸入したい」と考えるようになりました。そこで考え付いたのは、海外気分を味わえて、本格的な日本の出汁を使ったカレーを提供するカフェでした。もし、それが都会の真ん中にあったら、仕事の合間の1時間の休憩中、休日の友人や恋人と過ごす時間を忙しい日本人の中に少しでもリラックスを味わってもらえるのでは無いか。そんなプチ旅行気分を味わえる場所が自分たちの手で提供出来るのではないか、と考え、2017年3月に開発した和風出汁カレーを提供する「ジパングカリーカフェ」をオープンします。


流通されない企画外米が増えていることを知り、「箔米プロジェクト」を立ち上げる。

箔米カレーは、店舗の立ち上げ後から取り組んでいた「箔米プロジェクト」から誕生した商品です。このプロジェクトは、2022年7月に懇意にしている農家さんから受けた相談がきっかけでした。


その内容は、『割れ米・未熟米』といった市場に流通させることができない企画外米が、夏の猛暑などの異常気象で年々増加しているというものでした。時間と労力をかけて作られた貴重なお米であることは間違いないのに、割れたくらいで10キロ60円などで安く叩き売りされ、家畜の餌や、肥料や糊(のり)の原料になっています。



さらにスーパーマーケットの袋入りの米は「精米して1ヶ月経ったものは商品棚から撤去して廃棄(規格外米の処分)している」といった実情がありました。様々な理由で捨てられる規格外米を、どうすれば減らせるか?なんとかならないか?と模索していくことになります。


より広い視点で課題を見ていくと、日本全体で年間646万トンを越える食品ロスが発生し、一つの社会問題となっていました(平成27年度 消費者庁調べ)。そして、廃棄される食材のうち、多くの割合を占めるのは「米」だったのです。


そんな価値を失ったお米を、価値あるものに変換(アップサイクル)できないか、食べることができるものを食べるものに変えたい。そう考えていく中で、色彩選別し、粉砕して米粉に変える事を思いつきました。価値を失った米の形を変えることで、生産者、飲食店の役に立ち、問題解決に向け社会に貢献できるのではないかと想い「箔米プロジェクト」発足に踏み切ります。

廃棄米の粉砕に協力してもらえる業者さんを探すのに苦労したり、

様々な問題が発生したが、なんとか価値がなかったお米に箔をつけ米粉に変えることに成功し「箔米粉」と名付け開発できた。

今まで提供してきたカレーに、箔米粉を活用できないか。日本の抱える問題の解決を目指して完成した、新商品。

そのようにして開発された「箔米粉」は、高騰する原料(小麦)費の高騰も解決することを目指していた。そのため、飲食業界ではうどん作りやカレーパンなどに活用をされてきた。

そこでジパングでは『箔米粉』を自社のカレーに活用することはできないかと考え、開発に取り組みました。

そして2023年4月、『箔米カレー』の完成に成功した。材料の中で使っていた小麦粉の分量を減らし、代わりに『箔米粉』を足して作っており、ジパングカリーカフェで楽しむことができる。


まさに、箔米粉を使って作ったからこそ、食べるだけでSDGsに貢献できる。本来は廃棄される予定だった食品を食べることで、フードロスの削減に寄与することができます。そして、商品のポイントはそれだけではない。

①環境だけじゃない!「カラダにも優しいカレー」

「箔米カレー」では小麦粉の使用量を減らし、お米が原材料の箔米粉を使用しているので、普通のカレーと比べて油の吸収率が低くヘルシーなカレーとなっています。さらに消化が良く、胃もたれしにくいなど、米粉を使うからこそできたカラダにも優しいカレーです。


②こだわりの昆布と鰹の旨味が凝縮された・大阪出汁

鰹と昆布の大阪出汁を使用しています。日本近海で採れる『鰹の本削節』と、北海道の『高級羅臼昆布』の普段料亭などで使われない(端っこ)からとった和風出汁がベースになっています。身体だけでなく心まで満たしてくれる出汁を目指し、丁寧に食材を選びながらもサステナブルに配慮し素材本来の「おいしさ」を​追及しました。


今後の展望

このカレーを通じて、一人でも多くの人に問題を知ってもらい、そして手軽にできる「食べるだけ、置くだけ、おいしくSDGs」に参加してほしい気持ちがあります。


カレーが拡まってほしいという気持ちも、もちろんありますが、それよりもサステナブルなマインドが一人でも多くの人に拡がってほしいなという気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。






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