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製品作りの根底から見直す、お客様の声を第一に考えて生まれ変わった「Wacom Cintiq Pro 16(2021)」の開発秘話【前編】

著者: 株式会社ワコム


クリエイティブなユーザー向けのペンタブレット分野で常に業界をリードし続けている株式会社ワコム。2017年にリリースしたクリエイターやプロフェッショナル向けの液晶ペンタブレット「Wacom Cintiq Pro 16」から大幅にアップデートされた「Wacom Cintiq Pro 16(2021)」が11月5日に発売されました。アップデートするにあたり、お客様の声をいかに反映できるかを最大限に考え、根底となる製品企画を見直しました。今回は前後編で「Wacom Cintiq Pro 16(2021)」の製品企画プロジェクトや製品の変更ポイントをお届けします。前編では「Wacom Cintiq Pro 16」をアップデートする経緯や新しくなったワコムの体制についてご紹介します。プロジェクトに参加したテクニカルサポートの松本健太郎、プロダクトマーケティング マネージャーの小幡幸結、エンタープライズ / デザイン教育グループ統括マネージャーの角井健一、デザインテクノロジー&エクスペリエンス マネージャーのホルヌング ティロ、プロダクトプロジェクトマネージメント マネージャーの坂本裕介、プロダクトプロジェクトマネージメントの佐藤照子の6名に、話を聞きました。

ユーザーファーストを目指したチーム


―今回「Wacom Cintiq Pro 16」をアップデートするにあたり、製品企画チームが変わったと伺ったのですが、詳しくお話いただけますか?


小幡「2017年に発売したWacom Cintiq Pro 16のアップデート版として今回の製品が生まれました。アップデート版を作るきっかけになったのは、発売以降お客様からいただいた、たくさんのフィードバックです。それにお応えする形で、お客様の声をダイレクトに反映して機能や使い方を改善しようという想いから、新しいWacom Cintiq Pro 16は誕生しました。」


松本「今回は異なる部署のメンバーが集まってプロジェクトを立ち上げ、製品を企画しました。このように部署をまたいだメンバーで製品企画を行うのは、ワコムでは初の取り組みです。今までは専任の部署が製品企画を担当していましたが、さまざまな部署のプロフェッショナルが集まり、少数精鋭のチームでプロジェクトを進める方法に変わりました。専任者ではなく、早い段階で多角的な意見を取り入れられるチーム編成に変わったのが大きなポイントです。」


坂本「それに加えて、日本に在籍しているメンバーでチームを構成したことも特徴の一つですね。従来は製品企画の専任チームは海外メンバーが多かったので、開発中に時差のタイムラグが発生したり、実物を一緒に見ることができない不便さもありました。今回のプロジェクトでは、顔を突き合わせて、同じものを見てその場で話し合いができたことはとても有意義だったと感じています。」

さまざまな部署でお客様と接しているプロフェッショナルが集結


―今回のチームはどのようなメンバーで構成されているのでしょうか?


松本「私はカスタマーサポートで働いているのですが、製品に対してのお困りごとやご不満の声が、とても集まりやすい場所なんです。製品の仕様上どうすることもできないご意見をいただくことも多く、歯がゆさを感じていました。そのような中、社内会議にカスタマーサポート代表として参加する機会があり、Wacom Cintiq Pro 16にはユーザーからたくさんのご要望をいただいていますと、強い想いも交えて報告したことがありました。製品に対する想いを評価してもらい、今回のプロジェクトのリーダーとして選出されました。」


―カスタマーサポートの方がリーダーに選出されるのはとても画期的ですね。


松本「そうですね。私の他にプロダクトマーケティングの小幡さん、エンタープライズ / デザイン教育グループ統括マネージャーの角井さん、エンジニアの坂本さんと、デザイナーのティロさん。製品プロジェクトマネジメントの佐藤さんの6人で今回のプロジェクトが発足しました。」


坂本「今回のプロジェクトには、前モデルのWacom Cintiq Pro 16に関わったプロフェッショナルな人材が選出されています。各々それぞれの思いがあって、製品をさらに良くしたいという気持ちから積極的な話し合いができました。想いの強いメンバーがプロジェクトを推進したことで、すごく良い製品改善に繋がったと感じました。」

前例がない新たなチーム作りへの挑戦


―新しい取り組みなので、前例がないチーム作りは苦悩も多くあったかと思うのですが、チーム作りで大変だった点はありましたか?


松本「手探りのスタートでしたね。誰も経験したことがないからこそ、どうやったらうまくいくか、みんなで考えながら議論を重ねて進めましたね。」


佐藤「正解が分からない中、本当に手探りでしたよね。」


角井「私たちはこのプロジェクトの専属ではなく、他に自分の仕事もある上で、このプロジェクトに任命されました。1週間の勤務時間、5日間8時間の40時間のうち、このプロジェクトに何十時間使っているんだろう…。元々自分の持っている必要な業務をどう効率的に進めるべきかと、葛藤もありましたね。」


―新しい試みで、衝突もあると思うのですが、プロジェクトはスムーズに進んだのでしょうか?


松本「各々考えているところは違うので、最初は衝突もあったかなと思いますが、それぞれの製品改良に対する真摯な意見がぶつかって生まれる衝突なので、尊重して、より良い製品にしていこうと思いました。個人ではなく、チームで考えるから衝突が起きたので、衝突はあってよかったのかなと感じています。」


坂本「お客様のご不満は、プロジェクトがスタートした時点で明確だったので、それに対してどう動くのかは、メンバー間で共通認識がありました。『お客様のご不満に思っているものは全て直しましょう』とメンバー全員が同じ目的を持っていたので、途中の衝突はそこまで多くはなかったですね。どう実現するのかというところで、意見が多少分かれることはありました。お客様に実際にお伺いしてお話を聞いてみたり、カスタマーサポートやマーケティングの意見を取り入れつつ、設計的に品質が保つことができるか。メンバーの知見にも耳を傾け、議論しながら一つ一つ決めていきました。」

他部署の連携で生まれる新しい価値観


―新チーム体制だからこその手ごたえはありますか?


坂本「全く初めての取り組みなので、やり方もなにもないのが逆に良かったのかもしれないですね。手順というのがないので、自分たちでどうするか考え自発的に動きました。逆に煩わしい手順もないので、そういう意味ではすごくやりやすい環境ではありましたね。もちろん苦労する部分もたくさんありました。前モデルのWacom Cintiq Pro 16の開発に携わっていたメンバーもいるので『こうしたい』ということに対してのアクションがとにかく早いです。判断に迷うときも都度お客様や関係者に聞いて、良くするにはどうしたいかという前向きな考えがどんどん生まれました。前向きな議論で、業務もスピーディーになりました。」


松本「以前は、作業工程やプロセスが決まっている中、製品開発を進めていましたが、開発だけを考えていると例えばマーケティングが何をしているのか、わからないことも多くあります。『この製品をつくった後はどうなるんだろう?』と、他の部署が計画している情報を把握しきれないこともあります。今回はさまざまな部署からメンバーが集まったので、それぞれがお話を伺ってきたお客様の声を反映するという側面に加えて、後工程など知らなかったことを補い合いながらプロジェクトを進められたので、新しい道を模索できるチャンスでもあったと思います。」


角井「開発部門や設計、部材調達、コスト、工場、検品などさまざまな工程に携わるそれぞれの人の仕事を知ることができたのは、すごく良い勉強になりましたね。」


松本「デザイナーのティロさんもメンバーとして参加しているので、デザイナーと直接やりとりができたのは大きな手応えを感じました。今まではある程度、企画やコンセプトが決まってから『どうですか?』と、各部署に確認が入っていたのですが、今回は企画段階でより多くのお客様の声を反映することができました。」


ティロ「さまざまな部署で仕事をしているメンバーが集まったので、製品計画の初期段階でも異なる視点を熟考した決定をすることができたのが良いポイントですね。」


松本「個人的には皆さんにすごく救われているところはありました。わからないことは多々ありましたが、それぞれの分野のスペシャリストの方が集まっているので、坂本さんや佐藤さんからはエンジニア側の目線からのアプローチ、小幡さん角井さんからはマーケティング視点の助言もいただきました。ティロさんはデザイナーとして、製品デザインをするうえでどういう風に企画内容をデザインに落とし込むか、そして製品パッケージといった細部へのこだわりなど、自分の部署で仕事をするだけではわからなかったことを学ぶ機会となりました。」

新チームだからこそ生まれた「Wacom Cintiq Pro 16(2021)」

―現行のWacom Cintiq Pro 16も素晴らしい製品だと思うのですが、どういった点を改善していったのでしょうか?


小幡「一番始めはお問い合わせ内容の分類や件数を集計しました。そのランキングを参考に、今の製品でお客様が問題を感じている部分の修正ポイントを決めていきましたね。」


松本「通常ですと、どれだけお客様から製品のお問い合わせがあるか、その『影響度』を見るのですが、それに加えて過去にあった問題を私の記憶も含めてリスト化したんです。日本国内外の製品修理、マーケティング、営業、カスタマーサポートのメンバーに問い合わせをしてこれまでの経験から『どういったことが重大な問題か、どういった部分を直してほしいのか?』を徹底的にヒアリングして、複合的なランキングリストを作りました。まずは率先してトップ10を直しましたが、最終的にはほとんど全て直せたと思っています。」


小幡「この製品はお客様の声を反映して作りましたということを心からお伝えしたいです。お客様に寄り添っていきたいというワコムの姿勢を製品という形でお見せできるのはとても良いと感じています。」



お客様の声を第一に考えた前例のないチーム作り。それぞれの分野のプロフェッショナルの精鋭たちから生み出された「Wacom Cintiq Pro 16(2021)」に期待が高まります。後編では11月5日に発売した「Wacom Cintiq Pro 16(2021)」の製品の仕様やアップデートされたポイントについて詳しくご紹介します。



→ 後編に続く

製品作りの根底から見直す、お客様の声を第一に考えて生まれ変わった「Wacom Cintiq Pro 16(2021)」の制作秘話【後編】



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