持たない、捨てない社会を目指す、家具と家電のレンタル・サブスク「CLAS(クラス)」。「循環」を前提としたプライベートブランド「CIRCLE」の開発ストーリー
家具と家電のレンタル・サブスク「CLAS(クラス)」を運営する株式会社クラスは、2023年4月、会社設立から5周年を迎えました。
クラスは「“暮らす”を自由に、軽やかに」というビジョンを掲げ、「持たない、捨てない社会」を目指し、家具や家電を捨てずに再利用し、循環させるビジネスを展開しています。そのために力を入れているリペア(修繕)・クリーニングと、循環を前提としたプライベートブランド「CIRCLE」開発の裏側について紹介します。
家具と家電のレンタル・サブスク「CLAS」、代表の実体験から誕生
CLASは代表・久保の個人的な実体験から生まれました。
1社目の創業を経て“会社”という組織を離れフリーになったとき、久保は大きな自由を感じました。時間や場所に縛られず、好きなように仕事ができるようになったからです。
しかしいざ自宅で仕事をはじめてみると、椅子が体に合わなければ、デスクも使い勝手が悪い。
今まで意識していなかった多くの不自由に気づきはじめました。空間に対するストレスを改善し、快適な暮らしを手に入れたい。でもどうしたら良いだろう?
引っ越すたびに家具や家電を捨てては買って、買っては捨ててを繰り返す中、家具をいつも見立ててくれる仲の良い家具屋さんに「家は借りているのに、家具を買うからおかしいんだよね」と言われたことがきっかけとなり、今のCLASのモデルにつながります。
「誰よりも自分が欲しかったサービス」
そんな久保の強い想いで、2018年8月、家具・家電のサブスクリプションサービス「CLAS(クラス)」の提供を開始しました。
個人向け・法人向けに事業を展開。自由で軽やかな手軽さで、会員数を順調に伸ばしてきた
クラスでは、個人向けのEC事業「CLAS」と法人事業「CLAS BUSINESS」を展開しています。
個人のお客さまはもちろん、法人向けのオフィス家具も好きなタイミングでECサイトから発注・返却できます。2018年8月のサービス提供開始から2023年3月時点におけるCLASの個人登録会員は20万人を突破し、累計利用者は3万人。
月々440円(税込)から気になる家具や家電を買わずに使えて、お試しできる気軽さにより、2018年8月から2023年3月まで、ECサイト経由で累計7万5,000点がレンタルされています。
法人向けCLAS BUSINESSは、必要なときに椅子1脚からでも発注・返却できる自由さと、初期費用を抑えられるコストパフォーマンスが支持され、1,600社が登録、累計900社に利用されています。
リペア(修繕)とクリーニングで、家具・家電を快適に美しく使用できる期間をできるだけ長く
CLASは、「ご利用→返却→リペア・クリーニング→次の方へ」という循環するしくみがベースとなっています。
お客さまに気持ちよくレンタルしていただくため、また、家具や家電を循環させ、快適に美しく使用できる期間をできるだけ長く保つためのリペアとクリーニングを重視しています。
CLASにはさまざまな家具がありますが、なかでも木製家具を数多く取り扱っています。
木製家具は、時を経て味わいを増すという良さがありますが、一方で傷がついたり、日焼けなどで色が変わったりすることも多くあります。
傷やくぼみを埋めたり、剥がれた塗装などを塗り替える作業には、知識や経験が必要です。
そのため木製家具のリペアは、専門の修繕・修理担当者がおこないます。
また、レンタル家電に求められるのは、美しさや清潔さ、そして、何より正しく機能することです。
そのため、部品を一つ一つバラしてクリーニングし、商品を美しく、清潔な状態に保ちます。丁寧なクリーニングと動作確認は、商品寿命をより長く延ばすことにもつながっています。
CLASではリペア・クリーニングのためのマニュアルも作成。常にアップデートを重ね、誰でも美しく正確に、リペア・クリーニングがおこなえるよう仕組み化しています。
家具・家電を利用し手放すことになっても、まだ使えるものは次に必要とされるお客さまに使っていただく。専門のチームによるリペア・クリーニングによって商品を長く快適に使い、ムダな廃棄を減らしていく。そうすることで、これまで5万点以上の家具・家電の再利用をおこない、廃棄を回避してきました。
ものを持たない、捨てない、循環させるビジネスモデルで、環境への負荷を軽減。SDGs12の「つくる責任つかう責任」と向き合い、持続可能な社会の実現を目指しています。
「再生できない商品」の多さが課題。解決すべく、プライベートブランドの開発に乗り出した
家具や家電を循環させ、みんなで大切に使うことを可能にしてきましたが、既存商品だけでこのビジネスモデルを上手く回すのは難しいことでもありました。
そこで、開発責任者であるEC事業本部ゼネラルマネージャー早川が各部署に直接ヒアリングを重ねたところ、「お客さまに届いた時に、部品が足りない」「返却された商品の部品が足りない」「パーツの種類が多すぎてわからなくなる」「メーカー依頼してもパーツを取り寄せられない」など、「商品が再生できない」という問題が浮かび上がってきました。
そもそも、家具や家電は「再生」することを想定して設計されていません。流通する商品のほとんどが、CLASが目指す循環型の運用に耐えられるものではなかったのです。
早川は、設計のコンセプトから見直し、「再生できる家具」を作ることを決断します。こうして、プライベートブランド「CIRCLE(サークル)」シリーズの企画がスタートしました。
社内インタビューで判明「パーツの多さが商品再生のネック」
商品を再生するには、一度組み上げたものを再びバラバラにして、再度組み立てなければならない。そして、家具をバラバラにできるということは、パーツが細かく分かれ、その分ネジも増えることを意味します。
創業当初からあったソファはパーツ数が100を超え、管理するだけでも多くの労力を必要としていました。また、メーカーに「長期で使用する」というビジネスモデルが理解されておらず、たったひとつのパーツが手に入らなくなったことで、同型の在庫すべてを廃盤にしなければならなかったこともありました。
CIRCLEシリーズをデザインするにあたり、最初に話をしたのが、リペア・クリーニングの担当者やお客さまサポートの担当者でした。商品を長く、質のいい状態で、お客さまに使っていただくにはどうしたらいいのかを考えたのです。
循環前提のものづくり、様々な工夫を盛り込んだ
その結果、部品やパーツ数をできるだけ少なくすること。そして、パーツをバラバラに分解できる、ということに行き着きました。
部品やパーツが少ないと構造がシンプルになり、お客さま自身が組み立てやすくなると同時に、メンテナンスもしやすくなります。パーツを分解できるようにすることで、どこか一部分が傷んだときも、その部分だけを交換すれば、商品を蘇らせることも可能になります。修理がしやすく、きれいな状態を長く保てる仕様になり、破棄する商品を減らすことができます。
テーブルやデスクの開発では、黒い天板をラインアップに加えました。これにより、ナチュラル色の木に多少の傷が生じても、黒の塗装によって、新品同様に生まれ変わらせることができるようになります。
これも“できるだけ捨てない”という、CLASの環境への考え方から生まれたものです。
CIRCLEシリーズのメーカーに選ばれたのは、早川が前職からつながりのあったエージェント(商社)。
設計・企画開始当初から、エージェント開発担当を巻き込み、長く使うこと、何度も組み立て・分解するプロダクトであることを伝えてスタートしました。
通常の設計でレンタル・サブスクすれば、2年が寿命となってしまうソファ。これを、一般的な原価にとらわれず内部設計の質を上げることで、10年使えるものになるよう依頼。同時にスキルの高い工場を指定し、品質の良さも確保しました。
分解できることで、配送による環境負荷も低減
開発前にはネジの課題もありました。CIRCLEで使用するネジは種類を絞り込み、数もできる限り少なくしていますが、それだけではありません。
早川はソファ、オットマン、サイドテーブル等これらを同時開発することで、商品をまたいでのパーツの共通化を図りました。たとえば、ソファで使用しているネジが、サイドテーブルの組み立てにも使える。これにより、「商品を再生する」という課題が解決へと大きく進みました。
また、CRCLEシリーズはコンパクトな設計と分解できることにより、配送にかかる環境負荷を減らすことにも成功しています。コンパクトな梱包であれば、通常の配送便で他の荷物と同時に届けることができます。配送するトラックの数を減らし、効率良くお届けできた分、環境負荷を減らすことにつながります。
循環型社会を目指し、全社を通じた取り組みを続けていきたい
こうして誕生したCIRCLEは多くのお客さまに支持されるシリーズとなりました。2021年11月の提供開始より、シリーズの累計貸出点数は約3,500点(2023年3月時点)。CIRCLEシリーズの開発は、CLASにとって大きなチャレンジではありました。
しかし、探究心と熱意があったからこそ、実現することができました。
CLASでは今もまた、新たなプライベートブランドの開発に取り組んでいます。
お客さまの声に真摯に耳を傾け、リペアスタッフからの情報を丁寧に汲み取ることで、より一層、循環型社会にふさわしい商品の開発を目指しています。
開発から設計、利用、リペアまで。CLASは多角的な視点でサステナブル社会の実現にアプローチしていきます。これからもお客さまとともに循環の「環」を広げ、心豊かな生活を送る方がひとりでも増えるよう、努力を続けています。
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ