“LUMIX S5Ⅱ”マーケティングと画質設計が語るヒットの裏側「気付きのきっかけはユーザーのコメント」
動画はこちら https://youtu.be/CY41ATVBXdo
パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社 イメージングビジネスユニット 左:画質設計担当 岡本晃宏/右:マーケティング担当 塩見記章
パナソニック株式会社は、フルサイズミラーレス一眼カメラ「LUMIX S5II」を2023年2月16日より発売。多くのお客様からの反響があり、ヒット商品となった。
成功の鍵となったのは“絵作り”。マーケティング・塩見と画質設計・岡本の本音トークで、S5II誕生までの裏側を紹介します。
(以下、動画の文字起こし)
LUMIX S5IIは何がすごい?
塩見:今回、LUMIX S5IIが「カメラグランプリ2023」の「あなたが選ぶベストカメラ賞」という賞を受賞しました。 “絵作り”とオートフォーカスが両立できているという点が評価の対象になっていたと思っています。
像面位相差AFという新しいオートフォーカス方式を採用し、フォーカスの遅さだったり、ファインダーをのぞいた時に像が揺れて見にくいというお客様の声もあったので、それらを改善してきたのがLUMIX S5IIです。
LUMIXの“絵作り”とは?
塩見:「G9 PRO」というマイクロフォーサーズの一眼カメラを発売するときに、LUMIXの“絵作り”をしっかり体系化しようという動きが始まって、それ以降はその“絵作り”思想をもとに一貫したカメラの画質設計を行ってきたんです。
岡本:(G9 PRO開発時に)このカメラを使ってどんなアウトプット・色が出るのか?このカメラの“絵作り”の特長は何なんだ?というのを明文化していこうという「“絵作り”思想構築プロジェクト」が始まりました。機種開発と並行して思想の構築というのに取り組んでいったんです。
LUMIXの“絵作り”思想は、日本語でいうと「生命力・生命美」、英語では“Capturing It All.”といい、被写体のすべてを描き切るということを表しています。「被写体らしさを描き切りたい」という熱い思いが込められていて、人物であれば「生き様」や「美しさ」、「力強さ」までも表現したいという思いを、この単語でまとめています。
“絵作り”を売り方に活かせていた?
塩見:パナソニックが家電メーカーなこともあって、(売り方が)どうしてもスペック重視になるんです。しかし、色ってスペックに出ないんですよ。前モデルからこれだけアップデートされていて、お値段も、ほらリーズナブルでしょ?みたいな売り方がやっぱり分かりやすい。
ただ、カメラっていうのはそういうものじゃなくて「システム商品」なんです。例えば何台も代替わりをしていって、お客様としては家族の記録を共に歩んでいくような相棒になっていくかもしれない。そうなったときに、やはりカメラとしての一貫性や商品としての一貫性というのは、実はすごく重要です。だから、岡本たちが“絵作り”思想を作って一貫性とか統一性みたいなものを決めたということは、本来のカメラメーカーとしてのあるべき姿だったんだろうなと思います。
だけど、マーケティングとしてはそこに追いつけていなくて、「古い売り方」から脱却できていなかった。その点が大きな反省だと思っています。
古い売り方から脱却したきっかけは?
塩見:転機になるのが2021年の「CP+」LUMIX ONLINE。3日間、計27時間の生ライブ配信を行いました。参加しているカメラメーカー各社さんがYouTubeでライブ配信やっていたんですけれど、LUMIXはコメントをオンにして、皆さんからコメントを受け付けていました。
その中に、コメントで圧倒的に多かったのが絵に対する評価でした。「LUMIXの色が好き」「絵が好き」など、みんな口を揃えて「絵が良いですよね」って言うんです。私たちマーケターたちは「絵が良いって何だ…?」って思いながら、(登壇した)クリエイターたちに話を合わせるために「そうですよね。うちには“絵作り”思想がありますから。」みたいな話をしていたんです。でも「待てよ、きちんとそこを深掘りすると何か変わるかもしれない」と気づいたんですね。
そして、“絵作り”や“色”にマーケティングをシフトすることを考え始めました。
岡本:(翌年の)CP+2022の時は“COLORS OF LUMIX”がテーマでしたよね。それを聞いて、急に“色”を推してきたので、びっくりしました。今まで全然推していなかったのに。
塩見:CP+2022の時にもすごく“絵作り”への評価が高かったのと、LUMIX S5IIの話がマーケティングにはもう入ってきていました。
“絵作り”から着想した新機能とは?
塩見:LUMIX S5IIには「リアルタイムLUT」という機能が追加されました。憧れのクリエイターが作るカラープリセットをカメラの中にインストールして、シャッターを切ったらそのクリエイターの絵作りでアウトプットができるという機能です。これを聞いて、マーケティングに使えないかな?と思って始めたのが「LUMIX Color Lab」というプロジェクトで、有名なクリエイターと組んで、クリエイターにLUTを作ってもらいました。
岡本:まずは我々の“絵作り”思想を理解していただくために、ご説明もさせていただきました。その上で、クリエイターの方の表現でLUTを作っていただきました。
塩見:LUTは無償で公開しました。最初、公開した時は多分お客さんは「はーん…」って感じだったと思います。
岡本:動画の方はある程度は馴染みがありますが、写真の方はLUTって普段は使わないので、「はーん…」だったでしょうね。
塩見:LUMIX S5II発表時に「そういうことだったんだ!」みたいな感じになって、リアルタイムLUTが一気に伸びました。また、当社のポリシーが「クリエイターに寄り添う」ことなんですが、例えば自分の子どもの写真を撮ったり、旅に行った時に撮ったり、自分の趣味の車を撮るとか、自分で何かを表現する人を私たちは皆「クリエイター」と呼んでいます。
クリエイターの頭の中では多分すごいことができているんですよ。だけど、今ある道具がそれに追いついていないんです。そこになるべく追いつけるように開発することが、カメラメーカーの使命だと思っています。頭の中にあることを具現化するために、どういったことを提供できるか?というのを常に考えています。
岡本:リアルタイムLUTも結局、そういうことですね。今までフォトスタイルという形で我々が考える色々な“絵作り”を提供してきたんですけれど、そこからもう一つ外へ表現の幅を広げるには何ができるかと考え、もう自由な表現をしてもらおうということで、この機能を着想して開発を行ってきました。
LUMIXにとって“色”や“絵作り”とは?
塩見:私たちにとって“色”は、ユーザーさんとコミュニケーションできるきっかけになったもので、そこに対して貢献していくことがLUMIXの使命なのかなと思っています。今後、やっぱり絵を決めていくのはユーザーであるべきだなと思っていて、カメラを道具として使って、自分の世界観を表現することをもっと楽しんでほしい。だから、色とか“絵作り”は私たちがユーザーさんと一緒に楽しむコミュニケーションの中心のようなものだなと思っています。
岡本:“絵作り”っていうのは、やはりそのカメラにとって最終アウトプットである映像・写真に直結しているもので、クリエイターの方の表現を支える非常に重要な要素だと思っています。クリエイターの方と会話をしながら、我々もこだわりを持って(LUMIXを)進化させていって、LUMIXというブランドを信頼して使っていただけるように。それを支える柱にしていきたいなと思っています。
塩見:僕らマーケティングは、所詮モノは作れない。私たちは一見派手なことやっているように見えますけど、泥臭く画質設計をして、いいものを積み上げてくれる設計・開発の味方たちがいるということが、マーケティングの強みの一つになるかなと思います。
クリエイターやユーザーに向き合い続けた結果、“絵作り”という強みにたどり着いたLUMIX。
生命力・生命美という“絵作り”のコンセプトを守りながら、新たな表現を探して、次のフェーズへと進化していく。
【製品情報】
LUMIX S5II商品ページ
https://panasonic.jp/dc/products/s_series/s5m2_s5m2x.html
「LUMIX S5II」が「カメラグランプリ2023 あなたが選ぶベストカメラ賞」を受賞
https://panasonic.jp/dc/products/s_series/s5m2_s5m2x/camera_gp.html
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