1%の人しか飲まないなら、99%の人は潜在顧客。日本酒の魅力を新しい切り口で届ける「地酒コスメ」の開発ストーリー
株式会社つつわびは、日本酒・酒粕を原料とする「地酒コスメ」を製造・販売しています。「日本酒は香るほど、酒粕は見えるほど配合する」こだわりをもとに、新潟地酒ハンドケアアイテム、本生酒粕パック、新潟地酒フェイスマスクを製造し、クラウドファンディングサイトでも好評を博しました。
お酒を飲む人を100%とした場合、そのうち日本酒を飲むという人の割合は1桁%といわれています。酒粕を使ったコスメを作る理由は、日本酒の魅力を新しい切り口で伝えるため。地酒コスメ誕生までのストーリーに迫ります。
酒造りの過程で廃棄されてしまう酒粕を、なんとかできないか
地酒コスメ開発のきっかけは、代表の鳥居が前職のサプリメント関連の会社で働いていた頃、「酒蔵で廃棄になってしまう酒粕を、何か活用できる方法はないか」と酒蔵の方から相談を受けた出来事でした。
酒粕とは、もろみから日本酒を搾り出す工程で必ず発生する搾りかすのこと。日本酒の種類にもよりますが、酒米を醸造すると、その重量比で20〜25%もの量の酒粕が発生します。実は酒粕は栄養価がとても高く、たんぱく質や食物繊維、ビタミンB6などが炊飯米に比べて何倍も豊富に含まれているのです。
美容効果にも注目が集まっており、実際、酒蔵で日本酒作りをする杜氏の手肌はとても綺麗であることも知られ始めています。古くからは粕漬けや粕汁、最近ではお菓子などにも酒粕の活用が広がっていますが、それでもまだまだ酒蔵では余らせてしまい、廃棄されることも多いのが現状です。
板状の酒粕を細かくしたもの
代表の鳥居は、「酒粕はそんなにいいものなのに、捨ててしまうなんてもったいない!」と思い、酒粕の分野に進出することに。酒蔵に通い、やり取りをする中で、酒蔵のこだわりや日本酒の魅力にどんどんハマっていくのです。
日本酒の魅力を99%の人に届けるために
お酒を飲む人を100%とした場合、そのうち日本酒を飲むという人の割合は1桁%ともいわれます。日本酒の出荷量は右肩下がりで、廃業したり身売りする酒蔵は後を絶ちません。しかし、見方を変えれば「約99%の人は日本酒の潜在的なユーザー」ということ。つまり、日本酒の魅力の伝え方によっては、まだまだ伸びる市場なのです。問題はどうやってその魅力を伝えるか。
代表の鳥居自身、もともとは日本酒への興味が深かったわけではありません。日本酒を飲まない人に「これはいい酒だ!」「この酒はうまい!」と言っても、あまり興味を持ってもらえないでしょう。鳥居もその一人でした。
日本酒の魅力は味だけではありません。地酒は各地域に根差したお酒であり、それぞれのストーリーがあります。原料となるお米を育てる農家の方々、酒造りに欠かせないきれいな水を守るために森林整備をしている地元の方々、その方々の想いを引き継ぎ酒造りをされる杜氏や蔵人。多くの方々の想いが詰まった日本酒は、舌で味わうだけでなく、心でも味わうものだと、鳥居はその魅力の深さを感じるようになります。
酒蔵訪問 (写真左:麒麟山酒造株式会社 齋藤社長 写真右:鳥居)
その地域の魅力、文化的な要素、伝統、職人技、発酵。日本酒の魅力を伝える切り口はいくつかある中で、近年では全く新しい切り口も出てきました。それが「美容」です。酒粕や日本酒を使ったコスメを、今まで日本酒を飲むことがなかった人に使ってもらうことで、日本酒や酒蔵に興味を持ってもらうきっかけを作れるのではないか。その着想から、地酒コスメの開発が始まりました。
エキス化せず、そのままの酒粕を配合したい
近年、酒粕や日本酒を取り入れた美容アイテムをちらほら見かけますが、一般的には水で薄めてろ過した「酒粕エキス」が化粧品に配合されているものです。しかし、株式会社つつわびは、エキス化せずにそのまま酒粕を配合しようと考えました。
なぜなら、酒粕も日本酒と同様に酒蔵のこだわりや想いが詰まっているものであり、使用する方にもその魅力に気づいてもらうため、「日本酒は香るほど、酒粕は見えるほど」たっぷりと、なるべく元に近い状態で使いたかったから。そんな思いから、他に類を見ない生の酒粕を配合したコスメ開発に挑戦。
しかし、酒粕は扱いが難しいという商品化する上での難点があります。例えば搾りたての生の酒粕をそのまま配合しているフェイスパック。最初はなかなか滑らかなクリーム状になってくれず、苦戦しました。滑らかにするには酒粕の配合量を減らす、酒粕の配合量を増やすとボソボソになる。これの繰り返しでした。
<開発当初の本生酒粕パック。かなりボソボソとしているので、薄く延ばせない>
原料を投入する順番やタイミング、混合する方法など様々な工夫をすることで、ようやく現在の滑らかなクリーム状のパックに仕上がりました。約2年を費やしました。
<滑らかなクリーム状なので、薄く延ばせる>
酒蔵のこだわりを伝えるために、手作り
苦労を乗り越え、最終的には肌馴染みがいいとても滑らかなクリーム状に仕上げることができるようになりました。この酒蔵の思いが詰まった、さらに美容効果も期待できるコスメを多くの人に届けたい。しかし、もう一つの壁があったのです。
酒粕は酒蔵によって、さらには同じ酒蔵の中でもお酒の種類によって、水分量、粒の大きさ、滑らかさ、ボソボソ感、色、香りなどの状態が必ず違います。そのひとつひとつ違う酒粕を、同じ条件で地酒コスメに仕上げることは不可能で、その都度酒粕の状態を見ながら製造する必要があるのです。多くの人に届けたいと思っても、工場での大量生産ができません。
しかし、この酒粕の違いこそが、酒蔵が想いを込めて、こだわりを持って行った酒造りの結果なのです。酒粕に詰まっている酒蔵の想いとこだわりを、地酒コスメを使う方に伝え、日本酒に興味を持ってもらうことが、株式会社つつわびの目指していること。数こそ多くは作れませんが、ひとつひとつ丁寧にコスメも手作りすることにしました。
人と人との繋がりを大切に
こだわりを込めて作った「本生酒粕パック」は、クラウドファンディングのMakuakeにて先行販売をしたところ、開始半日で目標金額を達成し、1週間で目標の200%を超えるという好評の結果となりました。使った方から、嬉しい声が届きました。
香り華やかで上品な質感。滑らかな塗り心地で、しっとりモチモチした肌感に仕上がりました。朝起きた時にふわふわとした肌をずっと触っちゃいました。37歳だけど、肌は20代です。
この「本生酒粕パック」は酒粕の効果をすぐに実感できる商品。試してから購入したいという方のために、店内に洗面台がある店舗「my GAKUYA」(名古屋市栄)で販売しています。
<my GAKUYA (名古屋)>
<my GAKUYA の商品棚>
株式会社つつわびの「つつわび」という言葉は、「人と人との繋がりを紡いで創る、和の美しさ」という意味を込めた造語です。この人と人との繋がりを、代表の鳥居は酒蔵に関わる中で強く感じるようになりました。米農家の方など酒造りを支える地域の方と、酒蔵の方。酒蔵の杜氏の方々。さらに、作り手と消費者も、商品を通して繋がっています。
株式会社つつわびは、このような繋がりを大事にし、また大きな繋がりを作っていくことで、「美しい和」を広めていきたいと考えています。
あなたも是非、「お肌で利き酒」をしながら、日本酒の世界観を感じてみませんか?
■株式会社つつわび公式ホームページ
■公式Instagram
https://www.instagram.com/sakekasu_facemask/
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